「レミング 〜世界の涯までつれてって〜」 於:パルコ劇場
作:寺山修司 演出:松本雄吉(維新派) 出演:八嶋智人・片桐仁・常盤貴子・松重豊 他
今回の「レミング」は今までの寺山修司の芝居とは明らかに趣を異にする。
そこには淫靡でカラフルな寺山の世界はなく、モノトーンで乾いた感じになっている。すべて松本雄吉(維新派)の世界なのである。だから郷愁や母恋いも情感は淡くなる。筋立てがきれぎれな上、虚構と現実があいまいな(原作も多分曖昧なのだろうとは思うが)ため内容もわかりにくい。
ただ寺山の言葉については、維新派独特の表現がプラスに働き新しい言葉の世界を生み出している。
すべて松本雄吉の挑戦とも言えるのだが、今までの寺山芝居を期待すると肩すかしを食うことになる。
俳優は主演の4人のうち、松重豊がほとんど床から覗く顔だけの演技で面白い味を出しているが、他はオーディションで選ばれたという俳優たちに迫力で負けているというのが正直な感想。
維新派の魅力と寺山修司の魅力がうまくコラボレーションしていない芝居だと私は思うのだが・・・。(公演は5月16日まで)
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