酢豚のひとりごと

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読書三昧(25年10月)

2013-11-04 09:43:52 | BOOK


読書三昧(25年10月)

抗がん剤の翌日、しゃっくりが止まらなくなった。前から時々症状があったが、こんなひどいのは初めて。うつむいてコップの逆から水を飲むとか、しばらく息を止めて我慢するとか「しゃっくりを止める方法」を、やってみたが効果なし。翌日はぴたっと止まったが苦しい一日だった。

今月はかなりバラエティに富んだ本を読んだ。

10月に読んだ本
桜木紫乃『ホテルローヤル』
綿矢りさ『憤死』
村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
小栗虫太郎『完全犯罪』
東野圭吾『夢幻花』
原田マハ『ジヴェルニーの食卓』
今瀬一博句集『誤差』

☆綿矢りさ『憤死』
4編の作品があるが表題の「憤死」より、「トイレの懺悔室」の方が面白い。内容は違うが最後がホラー風なのは、先月読んだ芥川賞の藤野可織『爪と目』に似ている。作品発表は綿矢りさの方が先のようだが。
「トイレの懺悔室」の内容は、小学6年生4人が親父と呼ぶ中年の男からキリスト教の懺悔室をまねて、懺悔をさせられる。時がたち今は社会人となった4人は同窓会で久しぶりに再会。おれとゆうすけ2人は親父の家を訪ねるのだが・・そこに親父はいず、一緒に行ったゆうすけは昔の彼ではなかった。おれをトイレに閉じ込め、ゆうすけは勝手に懺悔を始めるのだった。
ラストのインパクトは強く、綿矢りさの成長を示す作品であると思う。

☆村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
今でこそ乱読であるが、どちらかと言えばへそ曲がりなので、人がもてはやすものは近づかないようにしてきた。村上春樹を読むのはこの本が初めてである。だから過去の彼の小説と比べることは出来ないが、文句なく面白い。
そんなに突飛な題材でないのにもかかわらず、他の小説にはない異次元とおもえる世界に引き込まれる。主人公ともすぐ同化出来る。それはなめらかな文章と、音楽や陶芸や哲学やその他もろもろをさりげなく組み込む独特の手法によるものであろう。
最後の章だけはちょっとくどい気はするが。
過去村上春樹に手を出さなかったことをちょっと後悔している。

☆原田マハ『ジヴェルニーの食卓』
この本は四篇の中編小説からなる。それぞれ画家のマティス・ドガ・セザンヌ・モネが題材になっているが、物語はその画家の召使や画家仲間、画商の娘、そして画家の後妻の娘などの目を通して語られる。語りにはそれぞれ画家への強い尊敬、深い愛情が感じられる。本来なら絵への知識がないと感情移入がしにくいはずだが、原田マハはそれなくしても感動出来る作品に仕上げている。中で私が特に好きなのは、マティスのことを書いた「うつくしい墓」。
村上春樹を凄いと思ったが、原田の四編も珠玉の作品と言っていいのではないだろうか。文句なくお薦め!


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