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「組曲虐殺」 銀河劇場 こまつ座&ホリプロ公演
原作:井上ひさし 演出:栗山民也 音楽・演奏:小曽根真 他
出演:井上芳雄・石原さとみ・山本龍二・山崎 一・神野三鈴・高畑淳子
「蟹工船」の作者で、非合法の活動家であった小林多喜二の物語。
貧しい家庭であった多喜二一家は、小樽でパン屋経営に成功した叔父のもとにひきとられる。厳しい労働と小樽高商での勉学から社会運動に身を投じた多喜二。左翼誌「戦旗」に小説を発表するなど、次第に活動家としての地位を高めてゆくが、特高に目を付けられ地下に潜る。しかし最後は捕らえられ拷問の末、29歳の若さで獄死する。
悲惨な話なのだが、井上ひさしはこれを笑いを交えた音楽劇にした。普通なら冷酷に描かれる特高も、苦悩を抱えた共感できる人物として描かれるのが井上ひさしらしい。
多喜二の劇中でのセリフ「武器ではなく言葉で世の中を変える」は作者である井上ひさしの考え方でもあるのだろう。
公演のチラシに書かれた「内気でやさしい少年が、なぜ、三時間に及ぶ拷問に耐え、しかも虐殺さえも怖れない青年になりえたのだろうか。作家小林多喜二のこの〈なぜ〉に挑む」というテーマが、今一つはっきりしない物足りなさは残るが、そこが曖昧な分、幅広い観客に受け入れられる作品になった気もする。
俳優陣は再演ということもあり、流れがスムーズでまとまりが良く、気持ちよく見られる。
東京公演は12月30日まで。
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