酢豚のひとりごと

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『血は立ったまま眠っている』

2010-02-13 13:00:28 | 演劇
「血は立ったまま眠っている」 原作:寺山修司、演出:蜷川幸雄、出演:森田剛・窪塚洋介・寺島しのぶ・遠藤ミチロウ

「ムサシ」などを見てわかるように、蜷川幸雄は非常に美しい舞台を作る人だ。その蜷川が、何故これほど汚ならしい舞台を作るのかが不思議。
美的とは言えない、セックスシーン・放尿や嘔吐シーンが、それも延々と続くのだ。場所はシアターコクーンという大劇場、観客の大部分はV6森田剛のファンの若い女性。そんな対象が素直に受け入れるとは思えない。それでもやることに、「本当の芝居を見せてやる」という蜷川の気負いを見てしまう。

「血は立ったまま眠っている」は寺山修司最初の戯曲で23歳の時の作品。60年安保時代の若者の屈折する青春を描く。原作からは、蜷川の舞台ほどの汚ならしさは感じない。

森田剛(良役)は熱演だが、17歳の役はちょっときつい。たまたま前の席だったせいで、もう少し後ろだったら気にならなかったかもしれない。テロリスト灰男役の窪塚洋介は、かっこよい立姿で初舞台としては上出来。寺島しのぶ(良の姉・夏美役)は出番は短いが、存在感を見せる。

床屋などの舞台装置の細やかさに比べ、集団演技の部分は荒い感じ。猥雑さやエネルギーの方に重点を置いたせいだろう。
もう少し寺山戯曲の叙情的な部分で勝負して欲しかった。

疲れた手
の上に十一月のレモンが
ある
これは終着駅だ。
そこにゆくまでに私の人生は
さよなら
をもうあと何べん言うだろう
・・・
([血は立ったまま眠っている」より)



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