読書三昧(29年5月)
医者から、とうとう使える薬がなくなったとの宣告。
まあ、あとは体力勝負。おいしいものでも食べて、のんびりしよう。
5月に読んだ本
山下澄人『しんせかい』
森晶麿『僕が恋したカフカな彼女』
恩田陸『錆びた太陽』
原田マハ『サロメ』
☆山下澄人『しんせかい』
第156回芥川賞受賞作品。
作者は、ドラマ「北の国から」を書いた倉本聰の主宰する富良野塾の二期生。入所からの生活をそのまま小説にしているように見えるが、作者いわくそうでもないらしい。
若くてとぼけた主人公に好感が持て、芝居の好きな私には内容的にも面白い。ただ芥川賞を受賞するほどの小説かと言われるとちょっと疑問。
ともかく人の名前がずらずら出てきて読みにくい。
独特の文体や自分を客観的に見る自分を登場させるなどを、味のある文章と見るかどうかは読み手の感性で違ってくるだろう。
☆森晶麿『僕が恋したカフカな彼女』
高校生の恋に無理やりカフカが入っている感じ。多少カフカに興味があるので、一応面白く読んだが、一般的にはどうなんだろう。ミステリー的な部分も意表をつかれることもなく、全体的にはまあまあかな。
☆恩田陸『錆びた太陽』
直木賞の「蜂蜜と遠雷」に次ぐ長編第一作という。
これが同じ恩田作品とは思えないすっとぼけた作品。原発事故汚染以後の制限区域を守るロボットたちのもとへ、人間の国税庁職員を名乗る風変わりな女性、財護徳子がやってくる。その目的は何なのか。最後まで明かされないまま話はすすむ。
中で徳子とロボットの噛み合わない会話が面白い。吉本の「のり」みたいなところもあり笑える。
内容は突拍子もないが、この作者の文章力と発想は抜群で最後まで引き付けられる。
軽いのりのまま終わるが、背景に原発の無駄、戦争のむなしさなども匂わせている。
☆原田マハ『サロメ』
またまた原田マハの美術もの。今回はオスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』の挿絵を書いたオーブリー・ビアズリーのこと。内容は主にその妹メイベルの目で描かれる。3人以外にも癖のある人物が登場し面白い。ただ作者のサロメへの思いが強くて、ドラマティツクに仕上げ過ぎたように私には思えた。
ご無沙汰です。しばらく会えず残念です。
宮澤賢治といえば、通信で詩を勉強した懐かしい記憶が・・・。
読書三昧参考にしています 時間がたっぷりあるので今は「宮澤賢治コレクション1から3」を読んでいますが3の初めは怖かったです それではくれぐれもお身体ご自愛くださいませ 山茶花