紙の月
銀行で契約社員としてパート勤務している
梅澤梨花が主人公。
彼女がじわりじわりと転げ落ちていき
約1億円を横領。
家庭では夫の言葉に違和感を持ち
その言葉の真意を聞くことはできない
そんな話し合わない夫婦。
明日に要るお金をそろえるために、
繰り返し偽の定期預金証書を作る。
顧客のお金に手をつけていきます。
金額を示す数字は意味のない数字。
枯れることのない湧き水のようなお金
何に対し支払っているのかももう不明。
歪んでしまった金銭感覚。
図書館の返却期限が迫っているのと、
ラストが気になるのとで
ページをめくる速度が加速します。
一線を飛び越え、
急速に破滅へと至る過程の
梅澤梨花の精神状態の描写がリアル。
お金に対する何ともいえない恐怖感、
いつ発覚するのかというハラハラ感もあって
印象に残る小説になりそうです。