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ガンダム(2)

 東海地区限定の「朝までガンダム」が先週の土曜11日に完結した。5月20日の記事に書いたように、最初の放送でキー局となった名古屋テレビ(メ~テレ)がガンダム生誕30周年を記念し、全43話を2ヶ月にわたって完全放送したものだ。毎回録画したため、私にはファーストガンダムがいつでも見られることになった。と言っても、途中まだ何話かは見ていないから、それほど立派なことはいえないが、今なお多くの人がガンダムに熱中している理由の一端が仄見えたような気がしている。否応なしに戦わねばならなくなった人間の苦悩が描かれていて、アニメの域を超えている・・。
 記念行事は全国規模で広がっているようで、お台場には等身大の高さ18mのガンダムが造られた。写真を見る限りでは精巧でまさに本物のガンダムといった趣がある。


 塾生の女子高生で、父親がガンダムの大ファンだという子がいる。家にはガンダム部屋なるものがあって、様々なガンダムグッズが所狭しと並んでいるのだそうだ。その子が「夏休みにお父さんとお台場まで1分の1ガンダムを見に行く」と言っていたが、私はそこまでしたくなるほどガンダムに入れ込んでいるわけではない。ただ30年前最初に放送された「ガンダム」を何回か見たことがあり、それまでのTVアニメとは一風変わった切り口で戦闘ロボットを描いていた記憶があったから、懐かしさも手伝って、この際全編見てみようと思って録画したのだった。
 しかし、縁とは不思議なものだ。録画した最終話を見終わった14日の火曜の毎日新聞夕刊に、名古屋テレビでガンダムのプロデューサーを務めた関谷渉さん(77)のインタビューが載っていた。それによると、79年4月7日に放送開始したものの、視聴率は低迷を続けた。6月に姿を消したシャアを復活させてテコ入れを図ったものの、視聴率はさしたる好転はしなかったため、結局翌年の1月いっぱいでの番組打ち切りが決まってしまった。全52話の予定が43話で終了してしまったのだそうだ。こうした事情をまったく知らなかった私は驚いたが、放送終了後もファンの熱い支持が続き、何度も再放送され、82年の再放送の平均視聴率は25.7%を記録し、最初の放送の2.8倍にもなったという。これにも驚きだが、ガンダムの魅力を関岡さんは次のようにまとめている。
「単なる戦争のアニメじゃない。敵方に魅力のある人物が大勢登場した。敵方が死んだ時、アムロたちは喜ばず、悲しんだ。敵と味方を超える深い愛情があった。疑問を持ちながら戦い、戦争には常に悲しみがあるという考えを貫いた」
戦争を知る世代の言葉として、重い響きを持っている。

 小説であれ、映画であれ、アニメであれ、名作と呼ばれるものには「正しい読み方や見方」があるように言われ、それを外れると邪道のように言われてしまうことも多い。だが、そうしたガイドラインこそが名作を歪めてしまう元凶となるのではないか。実際に読みもせず、見もせずに、世間の風評を鵜呑みにして、満足してしまうのは最も避けるべきことであろう。私もいつしかその陥穽にはまっていたが、私の目をくらましていた先入観を排除するため、従来はとても見向きもしなかったものにも近年は積極的に接しようとしている。そこから自分が感じ取ったもののみが己の糧になるものと信じ、今更ながらと思わぬでもないが、自分の知らなかった世界に足を踏み入れ、自分の幅を少しずつでも広げていきたいと思っている。

 でも、宮台はやっぱり無理。全く読む気が起らない・・。
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