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「再帰性」

 とうとうガソリンが1ℓ130円台で給油できるようになった(セルフ給油所でのボーナス企画、スロットが3等の私は135円、2等の妻は133円だった!!)。夏のピーク時には180円近くもしていたのと比べれば、40円以上も安くなったことになる。満タンにして2000円近くも違う。すごい下がり方だと思わなくもないが、あの頃どうしてそんなに高いお金を払わねばならなかったのか、改めて腹が立ってくる。先物市場で7月3日に1バレル145.29ドルをつけたのが最高値だが、先週末には64.15ドルと半分以下にまで下がった。栄華を誇ったアメリカの金融バブルが一気にはじけた象徴のようでもあるが、ここまで株価が下がり、円高が進行してしまうと、「ざまあみろ!!」と快哉を叫んでばかりもいられない。かと言って私などが心配したところでこの金融不安がどうなるわけでもないから、先行き不安な気持ちを持ちながらも成り行きを見守るしかない。
 だが、アメリカという国は不思議、というか底力を持った国(または極めて鈍感な国)なのではないか、とMLBのポストシーズンの中継を見ていると思ってしまう。球場に集まる超満員の観客の熱狂振りからは、とても金融不安に見舞われている国だとは思えない。「そんなの関係ない」と知らぬ顔をしようとしているのか、あるいはせめて野球くらいは楽しもうと現実逃避しているのか、とにかくもTV中継を見る限り、国内では何も起こっていないように見えてしまう。まあ、野球を楽しむ余裕さえなくなったら、それこそ未曾有の国難になってしまうのだろうが・・。
 などと素人の私でさえ、心配する昨今の経済情勢であるが、日曜の中日新聞の書評欄に森永卓郎がJ・ソロスという金融投資家が著した「ソロスは警告する 超バブル崩壊=最悪のシナリオ」(講談社)について解説した書評が載っていた。森永は風貌が貧乏くさいし、オタクっぽい言動もしみったれた感じがして私は好きではないが、さすがに己の専門分野だけあって、ソロスの物の見方を要点よく解説していて、金融投資家がどういう方針で投資しているのかが少しばかり理解できたように思う。
 今年春に上梓された英語版の本書で、J・ソロスは「今年中にアメリカが作り出した巨大バブルが崩壊するだろう」と警告していたという。その警告はソロスが編み出した「再帰性」の理論に基づくものだという。私には初めて聞く理論だが、森永は次のように要約している。
 
 経済学が描く均衡の姿は誤っているとソロスは言う。経済学では、価格を媒介にして需給が一致する均衡価格が決まると考える。しかし、市場参加者の行動が市場そのものを変えてしまうために、時として市場で決まる価格は、本来の均衡とはかけ離れたところに暴走していく。投資家の行動が市場を変え、そのことが再び投資家の行動にフィードバックされる。それが再帰性。バブルはその典型だ。

 市場の空気を読み、機を見て敏なる変わり身の速さが投資家には必要なのであろう。ソロスの投資手法は、「再帰性によって本来の適正価格から大きく外れた商品を見つけて取引をする。本来よりも安ければ買い、高ければ売る。そして本来の価格に戻る過程で利益を得る」ことにあるという。ならば今回の金融不安の中でも、ソロスはうまく売り抜けて莫大の利益を得ているのだろうか?気になるところである。
 だが、これほど目鼻の利くソロスでもバブル崩壊の後に何が起こるのかは「分からない」と記しているという。私たちが知りたいのは、この後のことである。この金融不安がどれだけ私たちの生活に影響を及ぼし、どれだけ生活が苦しくなるか、そして少しでも楽な生活を送るためにはどうしたらいいか、ということである。しかし、それは金融投資家の職分ではないのかもしれない。彼らはひたすら利潤を追求する人々であるのだから・・。
 私が読んでも理解できることは半分もないだろうから、この本を読もうとは思わないが、こうした己の利益を第一義に考える人たちに世界の金融市場が牛耳られてきたのか、と思うと少々忸怩たる思いがするのも確かである・・・。
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