ゆきてかえりしひび――in the JUNeK-yard――

読書、英語、etc. jesterの気ままなおしゃべりです。(映画は「JUNeK-CINEMA」に引っ越しました。)

少年時代  ロバート・R・マキャモン (ネタばれはないと思う)

2005-05-28 | 読書
今頃なんですけれど、マキャモンのBoy's Life(邦題「少年時代 (上)」 「少年時代 (下) 」)を読みました。

前にSpeaks the Nightbird 1 Speaks the Nightbird 2 (邦題「魔女は夜ささやく〈上〉」 魔女は夜ささやく〈下〉)、を読んだとき、「この著者の中ではこれが最高!」と思ったんだけど、こっちを読んだら、こっちのほうがもっと良かった。大傑作だと思う。

少年時代への懐かしさとほろ苦さとそして魔法が一杯詰まっている、極上のファンタジーでもあり、ミステリーでもある。まるでティム・バートンの映画になりそうな、不思議な香りが一杯詰まった宝物箱のような本。

登場する少年一人ひとりが愛情をこめて個性的に描かれている。他の脇役もよく人間観察されている。
特に父の人間臭さがたまらない。マキャモンは小さい頃両親が離婚し祖父母に育てられて、父親を見た記憶は4歳のときに再婚相手を伴って来たときだけ1回という。そんな彼が、父親への思いを投影して書いたと思われる、父――トムはまるで現実の人間のようにリアリティがある。

犬、自転車、映画、お気に入りの本、インディアンの矢尻、といった少年の宝物への描写も良い。愛情がにじみ出ている。子供の心をいつまでも忘れない著者の暖かさを感じる。

黒人の人権問題、ネオナチ、ホロコーストなどが物語の太い横糸となっていて、ストーリーに厚みをます。

Boy's Lifeby Robert R. McCAMMON


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