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1 今回は全米オープンテニスのまとめである。日本の錦織圭が3回戦で世界4位に勝利し,ベスト16に進出した。71年振りの快挙となったが,残念ながら4回戦は世界17位にストレートで敗れ,8強には入れなかった。しかし目を見張る活躍で,日本のテニスが突如世界の注目を浴びることになった。彼は世界126位から81位になった。
2 錦織を破ったアルゼンチンの世界17位(19歳)は世界6位のイギリスのマレー(21歳)に敗れた。そのマレーは何と準決勝であの世界1位のナダルを3対1であっさりとの破って決勝に進み,世界2位のフェデラーと対戦した。これまでの対戦でマレーに1勝2敗と負け越しているフェデラーがストレートで勝ち,全米オープンテニスを5連覇した。84年振りの快挙だそうである。優勝賞金は1億6200万円とある。羨ましい。
3 フェデラーは確かこれまで4年半もの長期に亘り世界1位を維持してきた。昨年までウインブルドン5連覇で,今年6連覇はならなかった。全英と全米の両方での5連覇は史上初だそうである。しかし今年全仏と全英,オリンピックで優勝しているスペインのナダルに8月20日ころ世界1位を明け渡し,2位となっている。
 既に何年も前のことであるが,フェデラ-の全盛期には,その風貌も含めて正確でミスしない完成品の「テニスロボット」の感があって,これ以上の選手は二度と出て来ないのではないかと思ったものである。その後ある時からフェデラーがしばしばイージーミスをするようになり,そしてやがて時々試合に負けるようになった。「フェデラー衰えたり」ということかと思っていた。フェデラーは今27歳でまだ若い。
4 ところが今回そのフェデラーが自信を回復し復活した。再びミスしないフェデラーに戻ったのである。そして優勝した。
 解説を聞いていると,フェデラーのミスが増えたのは,フェデラーが衰えたためではなく,対戦相手の腕が向上した結果だという。フェデラーがミスするような球を打つ相手が増えたというのである。
 ところがそのフェデラーが再びミスしなくなり,私が言う正確無比の「テニスロボット」として復活したのである。それは彼の技術が更に向上したということであろう。フェデラーは紳士的で常に冷静で,これまで余り感情を露骨に表現することはなかったのに,最近彼に変化が生じて,感情を強く表現するようになったという。しばしば大きくガッツポーズをし,雄叫びを上げるというのである。
5 フェデラーの復活は私にとってとても嬉しいことである。世界1位を失ってショゲている筈なのに,それをきっかけにして,更に飛躍したように思える。世界1位を失ったとき彼は人知れず涙を流したに違いない。そして密かに世界ナンバーワンへの復帰を決意し,激しい練習と工夫をしたのだろう。そしてそこに人間の心の有りようの大切さを読み取るのは深読みのし過ぎであろうか。
6 日本の大相撲を見ていて不思議に思うことがある。先場所あんなに大活躍した力士が,今場所は全く不甲斐ない相撲を取っており,とても同一人物とは思えないということがよくある。その原因として怪我をしたという場合もあるが,そうでない場合もあり,その原因は何なのだろうか。私はそれは心の有りようの違いではないかと思うのである。このことはスポーツに限らず,人生全般についても言えることであろう。更にいえば人間は同程度の素質を有していても,その志の高さと明確な目標を持つかどうかで,その人の到達する人間的な高さが大いに異なってくるのではないかということである。
7 フェデラーを見ていると参考になることが多い。あの小さなスイスという国のフェデラーが一体なぜテニスで長期間世界1位となり得たのだろう。これはとくと考えてみる価値のあることではあるまいか。我々はフェデラーの人生から我々の人生にとって何を参考にできるのだろうかと考えることは大きな意義があるように思うのである。
8 イギリスのマレーは不思議な選手である。他の選手はストロークを強打するので疲れが早いが,彼は見るからに軽々と打つので余り疲れないようである。しかし相手が打つ打球の力を上手に利用しており,彼の返球も球速が速く,ストローク戦のさなかに一瞬の隙をついて相手のサイドを抜いたりするのである。相手の球がバウンドをして最も高くなった時に軽く打つとそうなるようで,他の選手よりも打つタイミングが少し早いのである。この打法は大いに参考になりそうである。今回彼がナダルを破ったとき,彼の疲れは大したことはなかったように見えたが,相手のあのタフなナダルがしばしラケットを杖にして肩で息をする場面もあり,ヘトヘトに疲れていたというのである。解説者はナダルのこんな姿は初めて見たと言った。
9 それにしても世界は広い。ウインブルドンにおけるフェデラーに対するナダルのバック攻めの工夫といい,今回のマレーの打法といい,あのジャンプして打つ「エアー圭」といい,世界には面白い工夫をする人がいるものだと感心した。アルゼンチンの19歳,イギリスの21歳。あのスペインのナダルは22歳であるし,フェデラーはまだ27歳である。錦織は今18歳ではあるが,世界のそうそうたる選手もみんな若い。その中で錦織が世界のトップ10となって活躍するには強敵は余りにも多い。油断なく頑張って来年までにはトップ10になってほしい。そしてグランドスラムで優勝し,密かに彼を応援している私を含めた日本の応援団が感涙にむせぶ日が1日も早く来るように切に願っている。(ムサシ)



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