日本裁判官ネットワークブログ
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 先月のニュースになりますが,法務省と有識者らでつくる「児童虐待防止のための親権制度研究会」(座長・大村敦志東大大学院教授)は,1月22日,虐待で児童養護施設に入った子どもを親が無理に連れ戻そうとする事例が後を絶たないことを踏まえ、施設長の権限を民法上の親権よりも「優越」させる規定を児童福祉法に設ける方針を明記しました。祖父母らが保護している場合などを想定し、親権を一時停止できるようにする民法改正の必要性も指摘したようです。(共同通信)
 詳しくは,法務省のHP(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji191.html)をご覧いただきたいのですが,私のように家裁も担当している立場からすると,この改正は,必要不可欠であり,できるだけ早めに実現したほうが望ましいように思います。現在でも,親権喪失の制度がありますが,より実情にあった制度が望まれていました。このような研究会報告が出される前には,いくつかの悲劇的な事例もあり,やりきれない思いを抱かれた読者の方も多いのではないでしょうか。健やかな子どもの成長のためには,「親権」という聖域にもメスが入らざるを得ないということなのでしょうね。家族法及びその周辺領域も,どんどん変わっていく感じがします。


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コメント
 
 
 
Unknown (はるな)
2010-02-21 13:27:11
最近の虐待は、連れ子に対するものが多く見受けられ、虐待するくらいなら施設に入れるべきだと思います。通報を受けながらなんら対処もせず放置されあげくに死亡すると言った事例を繰り返し、幼い命が消えていきます。タバコの火を押しつけるなどは、その後もくすぶった痛みをともないます。近所の人も気がついてはいるが、通報するには勇気がいる事です。逆恨みされないとはいえませんから。難しい問題ですよね躾だと言われたら、あとは踏み込めませんから。
 
 
 
法の限界 (にゃあ)
2010-02-22 18:54:08
某SNSで児童虐待についてのコミュニティに参加しています。
親や親類でもない他人がどんなに心を痛めても、虐待による殺人(あえて「殺人」と言わせていただきます)事件は後を絶ちません。
また、それにかかわる判決も傷害致死で懲役10年程度。
子供をなぶり殺しにした大人に対して、なぜ殺人罪が適用されないのかが不思議です。
それはこういったニュースに眉をひそめる世の中の人のほとんどが感じていることです。
他人のできることは通報ですが、通報先の機関が十分対応していない場合も散見されます。
他人が、虐待親から子供を救える方法も、法に盛り込んでほしいです。

ゆっくり議論している間に、虐待によって3日に1人の罪のない子供の命が奪われているそうです。
 
 
 
Unknown (はるな)
2010-02-25 13:53:58
警察も市民相談においてすべて文書化するようにと義務付られましたが、先日、わが子(未成年)が原付バイクの売買トラブルで最寄の警察に相談にいきましたら、その相談員は、わが娘に対し、一発殴られればすぐ逮捕状出せるのにといったそうです。どう解釈したらいいのか吃驚です。警察官の質の向上のほうが深刻な問題です。この警察署は、以前も鑑別所に行く少年に頼まれ担当刑事が娘の携帯に電話し家の住所を聞き出したと言う前科があります。これが現状なのですから被害届を出していながら殺されるなんて事がおきるのです。
 
 
 
子どもの心 (toyoki)
2011-03-19 13:10:35
親が子どもを死なせてしまう事件は心が痛むけど誰からみても悪いのは親ですよね。でも子どもが親を殺傷する事件は親の心子知らずの様な見方もされます。8歳の母親を失った子どもが、父親に泣いて喚いて現在一緒に住む祖母の傍を離れるのを拒絶し父親が居なくなる事まで望むようになっているのに父親は遠方の実家に一人強制的に預けます。児童保護センターも弁護士も法律で親権には逆らえないと匙を投げ、子どもの精神もしくは身体的に障害が出たらでないと何も動けないのだそうです。子どもの心が健やかに育つための法律であれば、これは何故おきるのでしょう。親権を持つ資格があるのかを誰がみてもわかる事でしか判断されないのはどうでしょうか?実際の子どもの心の叫びを判断の中にいれてほしい。子どもが理不尽さに対する怒りを納めれず、将来親への暴力に繋がらない事を切に願います
 
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