先月のニュースになりますが,法務省と有識者らでつくる「児童虐待防止のための親権制度研究会」(座長・大村敦志東大大学院教授)は,1月22日,虐待で児童養護施設に入った子どもを親が無理に連れ戻そうとする事例が後を絶たないことを踏まえ、施設長の権限を民法上の親権よりも「優越」させる規定を児童福祉法に設ける方針を明記しました。祖父母らが保護している場合などを想定し、親権を一時停止できるようにする民法改正の必要性も指摘したようです。(共同通信)
詳しくは,法務省のHP(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji191.html)をご覧いただきたいのですが,私のように家裁も担当している立場からすると,この改正は,必要不可欠であり,できるだけ早めに実現したほうが望ましいように思います。現在でも,親権喪失の制度がありますが,より実情にあった制度が望まれていました。このような研究会報告が出される前には,いくつかの悲劇的な事例もあり,やりきれない思いを抱かれた読者の方も多いのではないでしょうか。健やかな子どもの成長のためには,「親権」という聖域にもメスが入らざるを得ないということなのでしょうね。家族法及びその周辺領域も,どんどん変わっていく感じがします。
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親や親類でもない他人がどんなに心を痛めても、虐待による殺人(あえて「殺人」と言わせていただきます)事件は後を絶ちません。
また、それにかかわる判決も傷害致死で懲役10年程度。
子供をなぶり殺しにした大人に対して、なぜ殺人罪が適用されないのかが不思議です。
それはこういったニュースに眉をひそめる世の中の人のほとんどが感じていることです。
他人のできることは通報ですが、通報先の機関が十分対応していない場合も散見されます。
他人が、虐待親から子供を救える方法も、法に盛り込んでほしいです。
ゆっくり議論している間に、虐待によって3日に1人の罪のない子供の命が奪われているそうです。