22日の土曜日,電子速記研究会という速記官の集会に東京まで行ってきました。
裁判員裁判には速記録がどうしても必要だというのが私の持論で集会でもそのような発言をしてきました。特に評議の場面で,書記官や速記官に必要な録音録画箇所を検索してもらうのにそれほどの時間は要しないとは思いますが,評議室から書記官,速記官をいちいち呼ぶのでしょうか。時間的ロスのみならず,議論や思考の中断が避けられないように思います。現在の速記官の作成能力からすると評議開始までに文字の速記録を作成することは十分可能です。文字化されたデータは必要な箇所を目でほぼ瞬時に探し出せます。
迅速性が必要な裁判員裁判で供述の確認に無駄な時間はとれないのではないでしょうか。また当日,中途難聴者の会の方が,裁判員裁判に参加したいが,会場で実演されたような同時速記字幕のようなものを是非用意してもらいとの要望もありました。
この点からも速記反訳プログラム「はやと君」を使った速記が必要と感じた次第です。「花」
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あえて言えば「正確・精確司法」かもしれませんが、法廷で見聞きしたことで核心を認定する・・・そういう観点からすると、万が一の確認手段にこだわるのはあまり生産的ではないように思います。
毎年、国会や民間の速記者、関心を持ってくださる方と交流するフォーラムと、電子速記研究会総会&開発会議を10年間続けてきております。
世間から忘れ去られがちな裁判所速記官ですが、このような機会を通じて多くの方にアピールしたり、更に速記官としてのレベルアップをはかる有意義な場として開催しています。
こういう中で、速記タイプ・ステンチュラの法廷持込みが許可され、「はやとくん」プログラムの官用パソコンへのインストール許可も実現し、仕事環境の改善が一歩一歩されてきています。
最近のニュースでは、法廷の速記官用机の改善が検討されているようです。 本丸にどれほどの距離があるかは分かりませんが、公的な記録を責任を持って作り、残していくことの大切さを今後とも訴えていきたいと思います。
もう一つ考えたのは、私がいつも利用するパソコン要約筆記をはじめ、聴覚障害者のための情報保障としていろいろな手法がありますが、それらの間にあまり連携がないのが残念だということでした。文字で通訳するというコンセプトにもまとまりが見られにくいのが、手話に比べても認識の低い一因かもしれません。
さらに、速記官は年々減少しているそうですが、あれだけの技能が伝えられないようになるのはいかにもモッタイナイことです。「温故知新」を日本語に訳すれば「古きを捨てて省みず」となるのでは、まさかないと思いますが。