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「東日本巨大地震に思う」(その2)

2011年04月19日 | ムサシ

7 東日本巨大地震に関するマスコミの報道を見ていると,政府やマスコミは国民が知りたいことや知るべき情報を正確に知らせていないのではないかという疑問が強い。もっと迅速で的確な報道が必要であるし,マスコミの責任も大きいという気がする。

8 先日「ニュースの深層」という番組を見ていたところ,ある国会議員の話を聞いて驚いてしまった。それは福島原発は5メートルの津波を想定していたのに,14メートルの津波が襲ってきたため,想定外であったという弁解に関するものである。
 ところでその5メートルの津波を誰がどのようにして想定したのかであるが,万一の原発事故の危険性からすると,常識的には地震や津波の専門家の意見を聞いて,十分な科学的な根拠のもとに想定されたに違いないと思うだろう。ところで,関東,東北,北海道の東方では太平洋プレートが日本の岩盤の下に潜り込んでいるため,これまでマグニチュード7以上の巨大地震が頻発してきた。それ故,それらの事実を踏まえると,到底5メートルの津波の想定で十分である筈がない。調べてみると1896年(明治28年)には,明治三陸地震でマグニチュード8・25,津波の高さは38メートル,死者約2万5000人という巨大地震があったということである。このような過去の地震のデータは当然に重視されているべきであろう。原発は一旦破壊されると人間の力では制御不能な悪魔と化し,何万人単位の犠牲者が出る恐れさえあるから,今回の前述のような,想定を超えた津波であったとする弁解は,滑稽であるのみならず,余りのお粗末さに激しい怒りを禁じ得ない。

9 ところが原発に関する行政は原発を積極的に推進してきた経済産業省が全面的に管轄しており,国民の健康に責任を負うべき厚生労働省や環境省は,全く関与しておらず,権限外として全く口を挟めないというのである。そして5メートルの津波を想定したのは,経済産業省内のある委員会であり,半数以上の委員は電力会社から選任されているというのである。その委員会が,科学的な根拠に基づくのではなく,営業政策的見地から,「まあ津波は5メートルを想定することにしましょうか。」という具合に決めたというのである。このような驚くべき報道はこれまで全くされていないのではあるまいか。私は全く知らなかった。マスコミは一体何をしているのだろうとさえ思う。

10 また数年前に,国会で「チリ地震並みの巨大地震が発生した場合には,原発は危ないのではないか」という議論がなされた際にも,「大丈夫です。心配ありません。」という回答のままで終わったというのである。
 どうやらこの国は,何かが起これば必死に弁解はするが,何かが起こる前は甚だ無責任で杜撰であり,いざ事が起こっても,不都合な情報はできるだけ国民に知らせないで済まそうとしているように思われる。なぜかマスコミも的確で必要な鋭い報道をしないようである。こんなことでよいのだろうか。ひょっとするとこの国はとても情けない国になってしまっているのかも知れない。国民はバカにされていないだろうか。それなら国民はシッカリと目を見開いて,もっと激しく怒らねばなるまい。(ムサシ)


2 コメント

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Unknown (江崎友香)
2011-04-19 18:56:00
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abc (Unknown)
2011-04-20 08:23:04
 [不都合な情報はできるだけ国民に知らせないで済まそうとしているように思われる。なぜかマスコミも的確で必要な鋭い報道をしないようである。こんなことでよいのだろうか。ひょっとするとこの国はとても情けない国になってしまっているのかも知れない。]

 以前から同じようなことが行われ続けていると思います。最近になって、情けない国になったのではない。よく言われますが、為政者は、「民はよらしむべし、知らしむべからず」という前近代的な考えがいまだに変わっていない。
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