日本裁判官ネットワークブログ
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1 NHKの連続テレビ小説「てっぱん」を比較的熱心に見ている。朝見ることは困難なので,昼休みに事務所の応接机で,妻や事務員と手製の弁当を食べた後のティータイムに見ていることが多い。そのテレビを見ていて,先日私が怒る場面があった。

2 主人公は19才の女の子で,大阪の祖母の家で「お好み焼き」屋を営んでいる。実父母は結婚することなく,父は音楽家として大成するためにアメリカに留学したが,母は父と同行することを拒否して別れたというのである。別れた理由として,今の所それ以上の納得できる説明はない。父は母の妊娠を知らなかったという。母は主人公を生んですぐに病死し,主人公とは何のゆかりもない親切な育ての父母に育てられた。そして漠然と実父のことを知りたいと思いつつ,育ての親と実祖母との関わりの中で19年が経過した。

3 そしてある時,偶然実父が判明した。祖母は怒っていたため,孫のいない席で,父と名乗ることを認めないと伝え,父も了承した。育ての父母は迷いはするものの,しっかり者の育ての母が,祖母や養父(夫)らの反対を押し切る形で,「父として会ってやって欲しい。」と実父に頼んだのである。いつも感心しているが,この育ての母はとても頼りになる素晴らしい女性である。まだ主人公は実父のことを知らない。実父は「一晩考えさせて欲しい。」と答えた。

4 その翌日,実父は祖母の電話での頼みを受けて店に来て,実娘のお好み焼きを食べるのであるが,ついに父であると名乗らないままに去って行った。その時点では,主人公はその男性が恋しい実父であることを既に知っていたのである。そこで私の怒りが爆発した。父と名乗り,これまでわが子の存在を知らなかったとはいえ,長期間放置したままでいたことを詫びるべきであろう。私の怒りは治まらず,同様の視聴者は多いだろうと思った。

5 私の妻は,「ドラマのことなのに,そんなに怒るのはおかしい。」と言い,事務員もみんな笑っていた。いずれ後2週間余りで終わるテレビ小説であるから,それまでには実父と名乗ることにはなるのだろう。しかし子の気持ちを考えると,この場面で父と名乗るべきであったと思う。子が実父を恋しいと思うのはあまりにも当然のことである。目の前にいる男性が,「とても美味しい。」と言って,実娘が焼いたお好み焼きを食べ,主人公も,その男性が実父であることを既に知っていた。それなのに,「一晩考えさせて欲しい。」と言っていた実父は,父と名乗らなかったのである。余りにも不自然であると思うが,父と名乗らなかった理由は今のところ分からない。私は,実父の行為は実娘の心を踏みにじったと思っている。私の怒りは暫く治まりそうにないが,これは小説の展開の仕方としては難しいところではあろう。おそらく小説の最後に,感動的な父子対面の場面が展開することになるのであろうが,そのことを強く期待したい。(ムサシ) 

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コメント
 
 
 
本日の傍聴中の大地震!怖かっです (しんのまゆみ 秦野真弓)
2011-03-11 23:50:49
過日!シンポではムサシ様にも大迷惑おかけしました。実は!私の人生で
@[場違いな発言し・周囲の顰蹙かった過ち]何回もありました.心から反省致します
@さて東京地裁の[大地震・検知・告知システム]うまく機能
@私は本日!東京地裁民事部の人証調べ傍聴中
@自動放送にて
[緊急情報・今から震度4以上の地震が予想されます]旨の放送後!しばらくたち!大地震が到来しました
@全ての鉄道が抑止された為!私…生まれて初めて
【東京地裁⇒自宅間】を歩きました
@都内の主要道路!一般乗用車により大渋滞。そのため救急車等の緊急自動車の運行!差し障りありました
@やはり!今日みたく大規模災害発生時
なるだけ![一般乗用車の走行・遠慮するしくみ]
@行政側は確立して頂きたいな


 
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