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 4月後半に所用で東京に行った際に、昼間に空き時間ができたので、東京ヴォードヴィルショーの久しぶりの新作「トノに降る雨」を三軒茶屋のシアタートラムで鑑賞した。

 東京ヴォードヴィルショーは、地元の演劇鑑賞団体で「竜馬の妻とその夫と愛人」を鑑賞したのが最初で、その際、あめくみちこさん(「カーネーション」の周防の娘役は良かったなあ)の実物の美しさを含めて、いたく感激したのであるが、それ以来数回の例会では私の評価は下がり基調、どうも「竜馬」を超える作品に出会わないと感じていた。

 しかし、今回は、久しぶりの新作と言うだけあって、なかなか笑わせて泣かせるお芝居に仕上がっており、私の中でも「竜馬」はしのがないまでも、二番目に良いくらいの評価である。できれば地元の演鑑で取り上げて、多くの人に見てもらいたいと思わせる。

 時は、織田信長が尾張国をようやく統一しようという頃の設定。織田家の近隣の領主が主人公、ちょっとした運命のいたずらからその地位に就いた男が、極限的な状況の中で苦悩し、ついには領民のために重大な決断をするにいたる。施政者として危急時に領民のために何をなすべきなのか、今次の社会状況に鑑みても、胸に迫るものがある。弁護士急増の弊害が顕れる中、日弁連の舵取りに右往左往する執行部を重ね合わせたりして。

 とはいえ、いささか腑に落ちない点も残る。ラサール石井氏の演出は、特に前半でベタな笑いを狙っているが、ちょっとベタ過ぎるきらいが。また、パンフレットによれば、台本は稽古場に徐々に届けられる形式で作られ、つまり最初から各配役の展開が定まっていなかった面があるらしく、それが足かせとなったかのような箇所もある。すなわち、後半の展開を考えれば、領主のキャラ設定が、前半ではちょっとベタ過ぎやしないか、後半と落差がありはしないかと芝居の展開につれて気になってしまう。

 何より、今回の芝居、B作氏は主役を譲って脇を固めるべきではなかったか、B作氏は、「いい人」よりも「悪い人」で光るのだが、と生意気にも思う。

 舞台を引き締めているのは、何と言っても領主の母親役の松金よね子さんである。地方巡業に出た場合、よね子さんは来てくれるのかと心配になる。井之上隆志さんの存在感もすごい。栗田桃子さんも、「父と暮せば」とはかけ離れたコメディエンヌとして健闘している。あめくさんが、新国立劇場の「負傷者16人」に客演中で見られなかったのが残念(今度東京に行ったら、これを見よう)。

 山口良一演じる落武者による前説が凝っている。「このような場所で携帯電話の電源を入れておくと、敵に居場所を察知されてしまいます」と言って、実際に携帯に出て、敵に切られる芝居をする。このネタ、うちの演鑑の前説で使えるかな。笑。実際、マナーモードにしていたって、携帯の画面が光るだけでも、気になるものなのだ。ちょっとした気配りで楽しい観劇。

(くまちん)



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コメント
 
 
 
ねぇ (nene777ne@yahoo.co.jp)
2012-05-06 08:26:06
はじめまして!( )/!ーロハ ンッ( ・) コッチダ!(^ー^)/ハロー!! 初めてコメント残していきます、おもしろい内容だったのでコメント残していきますねー私もブログ書いてるのでよければ相互リンクしませんか?私のブログでもあなたのブログの紹介したいです、私のブログもよかったら見に来てくださいね!コメント残していってくれれば連絡もとれるので待ってますねーそいじゃ*:..。o○☆○o。..:*゜アドレス残していくのでメールしてね!そいじゃ*:..。o○☆○o。..:*゜
 
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