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長官や所長は裁判をしないのか?

2008年01月10日 | チェックメイト
長嶺超輝著「サイコーですか?最高裁!」を読む(その4)

「裁判をしない最高裁長官」(99頁)から。
最高裁長官は、大法廷の裁判長しかしないのが慣例です。
同様に「下級裁判所のトップである長官や所長は、一般に法壇に上がることはしません。」。
しかし、高裁長官や地家裁所長も、その裁判所の裁判官の一員なので、裁判官会議で定める規則(事務分配)で事件の配点を受けることもでき、実際に担当している例も珍しくはありません。
特に東京高裁長官は、独占禁止法違反事件など、高裁の裁判官5人による特別部が第一審となる事件の裁判長を務めた例もあります。そのために他の高裁長官よりも少し報酬が高くなっているのだ、という説もあるくらいです。
また、家裁所長が調停事件などの一部の配点を受けている例も少なくありません。
ただし、地裁所長が事件を担当するのは珍しいかも知れません。所長の判決が高裁で覆ると格好がつかないので、避けることになっているという説もありますが。
やはり大半の裁判官は決して「裁判をしない裁判官」になりたいわけではなく、裁判をする仕事が好きで任官しているはずなのです。
最近も、破産事件に関心を抱くあまり、「書記官の補助者」として審理に立ち会い、口を挟んで問題になった地裁所長がいらっしゃいましたが、この例でも、事務分配で事件の配点を受けられるようにしておいて、裁判官として担当すれば全く問題なかったと思われます。
(チェックメイト)

2 コメント

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Unknown (通りすがり)
2008-01-11 03:01:22
裁判所のHPで「法廷一覧」を見ると、地裁や家裁の所長が合議係として名前が入っている事がありますね。実際事件を担当されているのかは謎ですが…
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 (とおりすがり)
2008-01-13 23:43:16
その場合、ほとんどは名目的なもので、実際に事件を担当することは稀です。某地裁の場合、高裁から差し戻された民事合議事件のみ担当となっていますが、ここ10年ぐらい該当事件は無いようです(民事事件の場合はほとんど、原判決が不当と判断しても差し戻さず自ら判決をするため)。
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