14(6)私は先頃,自分自身も認知症からそれほど遠くない場所にいるという理屈になることを実感した。そして認知症の本を読み,現代医学の最先端の知識を活用すれば,容易ではないにしても,認知症を防止できるのではないか。そう思って多くの本を斜め読みした。仕事は忙しがってやっているので,脳トレの時間は十分取れないので,細かく工夫するしかないが,何とかなりそうな気がする。そしてあるとき「自分は絶対に認知症にはならない」ことを決意した。そしてついでに妻や身近な人についても,認知症を防止したいと考えるようになった。
(7)専門書を読むだけの気力も余力もないが,健康雑誌や手軽な書物を沢山衝動買いして,この間短い時間であっても毎日必ずそれに関する本を読むことを続けてきた。そうすると面白いことに,何だか健康に関する意欲が急上昇することが感じられて,チンタラ頑張り用トレーニング計画表を本格的頑張り用へと大改訂作業をすることになった。意欲が高まると不思議なことに,あれほど苦闘して破れ続けてきた酒量や体重の減量にも成功しつつあり,この2か月で3キロ痩せた。今後の展開は誰も知らない。
(8)これまで書き落としていたことを少し補充しておきたい。加齢による物忘れは誰にでも生ずることである。人間の脳の重量は20歳をピークとして,その後前頭葉の萎縮が激しく,1日10万個の脳細胞が死滅してゆくが,60歳を過ぎると脳細胞の減少速度が激しくなり,70歳ないし80歳でピークに達するということである。そして認知症の人の多くは海馬と前頭葉にアミロイドβが蓄積されているとのことである。
(9)加齢による物忘れと認知症の違いは,前者には「物忘れが激しい」という認識があるが,後者にはそれがない。例えば夕食を食べたことは覚えているが,おかずに何が出たかを思い出せないのが前者,夕食を食べたこと自体を思い出せないのが後者というような違いがあり,認知症になると極端に日常生活に支障を生ずるということである。
(10)ところでアミロイドβについては,次のような面白い話がある。
① 富山大学の研究チームによると,山芋などに含まれる「ジオスゲニン」という成分がアルツハイマーの病状改善に効果があることが判明したというのである。アルツハイアーを発症させたマウスに,20日間ジオスゲニンを注射した結果,アミロイドβが7割ほど減り,記憶力が回復したというのである。これは人が食べる量に換算するとかなり大量に必要(1日約10キロ)ということなので,すぐに役立つ情報ではなく,いずれ遠い将来には認知症の予防,治療薬として山芋を原料とする錠剤を飲む時代が来るかも知れないという,夢のような話である。
② 長芋は美味しいので,好きだという人は多いだろう。どうせ気楽で無責任な遊びの世界の話として,この話に絡んで何かよい工夫はできないものであろうか。長芋のブツ切りを酢味噌で食べたり,すり卸した長芋の醤油汁なども美味しいが,最近の老人の家出事件などがきっかけとなって,私は多少本気で長芋を沢山食べる工夫をした。アミロイドβと真剣勝負をするのだから,私のアンテナも高感度になっている。
③ そしてふと思いついて,長さ3センチくらいの長芋をすり卸して,三倍酢のモズクを混ぜたところ本格的な「通」(つう)の食べ物になり,すっかり気に入ってしまった。毎日食べても嫌にならないし,これに納豆を加えるととても美味しくて,天下一品の健康食品といってよいだろう。(ムサシ,以下続く)