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「認知症をめぐって」(その3)

2014年07月04日 | ムサシ

14 まず運動について検討する。
(1)30年以上認知症の研究を続けてこられたある大学教授は,脳の若返りには有酸素運動であるウオーキングが最適であり,認知症予防には毎日の運動が重要であるとされている。運動をすると,あるホルモン(BDNF・・脳由来神経栄養因子)がたくさん分泌され,これが脳の記憶を担当する「海馬」(かいば)に新しい神経細胞を増やす作用があるというのである。海馬だけは年齢を重ねても神経細胞が増えるらしい。のみならず運動すると脳の司令塔である前頭葉(ぜんとうよう)が活性化するというのである。
(2) 認知症の主要な原因としてアミロイドβ(ベータ)蛋白質が脳に溜まる結果,脳神経細胞が破壊されて発症するアルツハイマー病があり,認知症の6割はアルツハイマーだそうである。また厚労省が出している認知症予防・支援マニュアルでは認知症の主要原因として脳血管障害を挙げており,結局認知症の原因は2種類あるということなのであろう。
(3)まずアミロイドβである。人間の脳細胞はもともと約140億個存在しており,使用されるのは僅かにその3パーセントに過ぎないそうである。また20歳を過ぎると1日に10万個の脳細胞が死滅するというのであるから恐ろしい話である。そして30歳頃から「脳内老廃物」(不要なタンパク質・・アミロイドβのことであろうか)の蓄積が始まり,この結果老齢になった時にアルツハイマーになるということのようである。つまりアルツハイマーによる認知症は突然発症するのではなく,発症する30年くらい前から少しずつアミロイドβが脳に蓄積され始め,認知症がじわじわと忍び寄り,あるとき(例えば70歳くらい)に,最初は「物忘れ」として症状が出始め,約5年後に極端に生活に支障を生ずる状態になり,これがアルツハイマー病である。アルツハイマーになる前に物忘れがひどい期間は誰でも5年位あるとのことである。
(4)ところで運動を続けていると,このアミロイドβの蓄積が減少するというのであるから面白い。できれば若い頃から続けて,時既に遅しの人も諦めず,運動を心がけるべしということなのであろう。
(5)認知症防止や,海馬,前頭葉の活性化,アミロイドβの減少のためには運動が不可欠であることや,ウオーキングがよいということになると,私の認識も大いに改める必要があり,私のこれまでのトレーニング人生も反省すべき点があることになった。運動を如何に工夫して頑張るかは長い人生の中の大きなポイントになるので,今後の人生でも本気で日常的な運動に関する工夫と努力に取り組んでみようという気になってきた。「時既に遅し」の感もないわけではないが,何事も諦めず,しぶといことが肝要であろう。これまで結構朝トレなどを頑張ってきたつもりではあるが,しかし安易に「今日は忙しいから朝トレをやめておこう。」などというチンタラ頑張り根性であった部分もあるので,今後は完全主義者に変身して,アミロイドβと真剣勝負をしてみたい。(ムサシ)