日本裁判官ネットワークブログ
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先日,立川市の郊外にある中央大学で開催された刑法学会のワークショップ「裁判員制度について-審理及び評議のあり方を中心として」に参加してきました。

まず立川駅からモノレールで15分ほどの大学の広大さに驚かされたました。付近にもいくつかの大学がありましたが,いずれも自然に恵まれた広い敷地に近代的なビルを林立させた,ある意味理想的な教育施設と見えました。しかし,目的の法学部までかなり歩かされたこともあり,やはり不便だなーと実感しました。教員や学生も大変ではないかと感じ,最近大学の都心回帰が始まっているの肯けました。

裁判員裁判も理想を掲げて出発しましたが,いろいろ実務的な問題点も発生しているのではないかと心配になり,現職裁判官が語る実情と問題点が聞けるのでは,と思ったのが参加の動機でした。

木谷明・元裁判官が司会進行役で,現職の地裁裁判長がお二人,裁判員裁判の現状を熱く語ってくれ,意義のある研究会でした。

若手の裁判官が裁判員裁判の発展のためにいろいろ工夫を重ねているようでした 。

現在,運用上の問題点として①公判前整理手続の長期化②調書朗読の増加③検察官手持証拠のリスト開示④充実した評議⑤判決の在り方などが指摘されていました。

①については,公判に提出されない供述調書の記載をめぐって検察弁護側が無駄な釈明合戦をすることも長期化の一因ではないか②については,旧来の刑事裁判を懐かしむ法曹がなお多いと感じる③については任意開示が増加しているとはいえ,公判開始後に未開示の重要証拠の存在が判明することもあるからルール化が必要④については,裁判員に付せんに意見を書いてもらい,張り出すことにより,意見の匿名性確保と同時発表が可能であり,付せん方式も有効である⑤については,判決をより簡潔にしかも評議の結果を反映させるようにしたい

などの現職の意見が非常に印象に残りました。

                                                              たまに勉強する花



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