日本裁判官ネットワークブログ
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11 数年前に国会で原発の安全性の議論がなされ,原発の危険性の指摘が無視された以外にも,平成21年にIAEA(国際原子力機関)が,「福島原発の耐震安全指針は時代遅れで,巨大地震が発生した場合は持ちこたえられない可能性がある。」と警告したという事実は,最近まで公表されていなかったと思われる。この警告は無視されて,「安全です。そんな心配はありません。」ということで済まされたということであろうか。いざ巨大地震が起こってみると,見事にその指摘は当たっていたことになるが,いったいこの国はどうなっているのだろうかと心配すべき一事例であろうか。

12 平成18年3月,北陸志賀原発2号機の運転差止めを命じた判決の裁判長を務めた 井戸裁判官が,この3月末に退官して弁護士になった。そしてこの6月2日の朝日新聞に一ページの大きさでインタビュー記事が掲載されていた。原発の運転差止めという,国策に反する判決をすることの精神的な大変さ,特に無難な結論への誘惑もあったことや,随分悩んだ末の結論であったことなどを淡々と語っていた。三陸沿岸では869年に貞観(じょうがん)の大津波があったそうで,「長い地球の歴史から見れば,わずか千年前に起こったことはまた起こりうる『具体的な危険』だと思う」と述べていた。今回の震災の現実を見ると,全くそのとおりだと感銘を受けた。とてもよい記事なので,早速丁寧に切り貼りをして,事務所の全員にコピーを配布したほか,沢山コピーを作って鞄に入れておき,親しい人に会うごとに,あの記事を読んだかを尋ね,読んでいないと「読め!」と言ってその場でコピーを渡しているが,まあ我ながらお節介男だなとあきれたりしている。いい表情の大写しの写真などが3枚掲載されていた。きっと取材を担当した記者は,このような裁判官もいる(いた)ことに感動したに違いないと思った。

13 テレビで,津波は頑丈な堤防を壊して進むという,津波の巨大な力について話していた。これまで津波は堤防を乗り越えて進むものと考えられていたようであり,津波の専門家も,堤防を破壊するとは想定していなかったようである。津波はあの頑丈なコンクリートの堤防をどうやって壊すのだろうかと不思議に思った。すると後日のテレビで,津波は堤防の下の砂や土をえぐり取って壊すのだと説明していた。それと引き潮の際に,波で運ばれる大きな物がぶつかるエネルギーで堤防が壊れるとも説明しており,なるほどと納得した。

14 先頃静岡のお茶が放射線物質を含有しているために,出荷停止になったという。これには驚いてしまった。福島原発から見ると,静岡より手前の東京の人達は大丈夫なのだろうか。政府の言うことは本当に信用してよいのだろうか。いささか不安な思いではある。(ムサシ)



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