日本裁判官ネットワークブログ

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連続テレビ小説「てっぱん」を見て(その2)

2011年04月03日 | ムサシ

7 NHKの連続テレビ小説「てっぱん」が終了した。最後まで意表を突くドタバタした展開があり,いろいろと驚かされたが,全体としては面白く,考えさせられる点も多かった。時に見ながら涙する場面もあった。

8 結局最後まで,父は父であると名乗らなかった。甚だ不自然な話であり,なぜ作者がそのような展開のままで小説を終了させたのかは不可解である。子の気持ちとして,父を恋しいと思い,父と名乗って欲しいと思うのは,余りにも当然のことである。父と名乗らなかったのは,人の心を踏みにじることであり,許されないと私は思う。ただ現実の話であれば,この小説のような父と子の状況において,父と名乗らないままに生涯を終えることはあり得ないことであろうから,余計なお節介ということであろうか。

9 恋人が,主人公を20歳の誕生日に迎えに来ることになっていたのに,結局恋人よりも,「てっぱん」を選んで,結婚することを拒否した。これにも驚いた。しかし主人公はまだ20歳であり,結婚するには早すぎるだろう。あと5年位は,祖母と一緒にお好み焼きを焼いたり,料理の幅を広げた飲食店で腕を磨き,いずれ店を継続できる状態で,その彼と結婚できる時も来るのではあるまいか。こんなことを考えながら見るのであるから,結構私も「お節介人間」なのであろう。

10 「子供が幸せになるのに,親に遠慮することはないんよ。」という場面があった。私も全く同意見ではあるが,実は現実にはそう簡単ではないことも多いと思われる。私自身もこの点に関して痛切な体験の持ち主であり,その結果親を悲しませたので,いずれ,その点について考察してみたいような思いもある。(ムサシ)