日本裁判官ネットワークブログ
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1 平成23年3月11日(金)午後2時46分ころ,東日本巨大地震が発生した。マグニチュードは数回訂正のうえで9・0となった。想像を絶する被害であり,最終的な被害が確定するにはかなり時間を要するだろう。震源地から1000キロ近く離れた私の町でも,約10分後にビルが少し揺れた。現時点で死者と行方不明者を合わせると2万5000人を超えている。最終的な死者の数はどこまで増えるか見当もつかない。

2 阪神淡路大地震の時は直下型だったので津波はなく,建物の倒壊と漏電による火災の被害が大きかった。死者の数は6434人とされ,地震の怖さを厭という程思い知らされたが,今回は津波の破壊力をまざまざと見せつけられた。テレビのニュースでも,家や車がまるでオモチャのように流されるのを見た。高さ10メートルという自慢の防波堤も,15メートルの津波の前には無力であった。

3 わが家も,茨城県に住む長女夫婦が孫を連れて数日間避難して来たし,東京に住む次女は夫を残して,孫と2人で今も避難生活を続けている。死ぬほどの恐怖を味わったようであるが,それぞれの夫側の実家や親族なども無事で,幸運であった。
 毎日被災された方々の姿をテレビで見ているが,心が痛む。ささやかな義捐金を弁護士会のルートでお送りしたが,自宅へ帰って行った長女夫婦の所には,第一便として水と野菜を宅急便で送った。

4 地震の恐ろしさは,建物の倒壊や火災もあるが,何といっても海洋国のわが国においては,本当に恐ろしいのは巨大津波であることをまざまざと思い知らされた。数千人の住む町が一瞬にして消滅したというのであるから,その破壊力は想像を絶している。

5 本で調べるとマグニチュードが「1」大きくなると,そのエネルギーは32倍になるとされている。「2」違うと約1000倍ということになるらしい。阪神淡路大震災のときのマグニチュードは7・3とされているが,今回はその何倍になるのであろうか。

6 平成18年3月にある裁判官が,北陸志賀原発2号機の爆発事故による容器損傷,大量の放射線物質漏れ事故に関して,「電力会社の想定を超えた地震動によって原発事故が起こり,住民が被爆する具体的可能性がある」として,巨大地震による事故発生の危険性を認め,運転差し止めを命ずる判決を言い渡した。津波に対する判断ではないようであるが,今回の原発事故を見ると,先見の明ある優れた判断であったと思われる。その後高裁支部がその判決を取り消した。これまで原発は安全であると説明されてきたが,福島第一原発では,何重もの安全対策はなされておらず,わずか5メートルの津波しか想定していなかったのに,14メートルの津波が来たというのである。それで想定外であったというのであるから,その杜撰さに驚いてしまった。ひとたび原発の大事故が発生した場合には,「想定外であったのでごめんなさい。」では済まない。たった一回の原発事故で国が壊滅的な打撃を受けることもないとは言えないと思う。(ムサシ)



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