日本裁判官ネットワークブログ
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 八代英輝(やしろ ひでき)弁護士(元裁判官)の名前は、有名である。よくテレビでその端正な顔立ちと落ち着いた意見を拝見することが多い。私は、十数年前、大阪地方・家庭裁判所堺支部で、八代さんと一緒に合議体を組み、当時の狭い堺支部の裁判官室で、いろいろな事件や法的な論点等について議論したので、八代さんがテレビに登場すると、自分も若かったころを思い出してとても懐かしい感じがする。

 堺支部の民事部で合議事件を担当したときには、八代さんが判決起案をして、私が右陪席で手直しをして、裁判長に回していた。八代さんは、初任が札幌地裁で、刑事事件を担当していたため、当初、判決書のスタイルが刑事的だったのを覚えている。裁判長がドギマギしていたが、その形式であっても内容が説得的なので、そのままの形式で判決したと記憶している。

 八代さんは、当時から裁判官らしからぬ(全国の裁判官には失礼かもしれないのでお詫びする。)容姿とセンスのよさで、堺支部でも話題の裁判官であった。女性職員にはあこがれの人だったのではないかと思われる。「あのイケメンは誰?」と当事者が話しているという噂も聞こえていた。奥さんも元女性アナウンサー(有名な話です。)ということで、話題がとても多かった。

 そんな八代さんが、裁判官を辞めたと聞き、すでに転勤していた私は、とても残念に思えて仕方がなかった。八代さんの持っている素質からすると、裁判官以外に活躍の場を求めるというのも十分理解できたが、裁判所としても、八代さんのような人材が、裁判官として活躍してくれることが、裁判所という組織の活性化のために重要と思われたからである。一緒に部屋にいるときに、八代さんが、冗談めかして「辞めるかもしれない」などと話すことがあったので、私から「絶対に辞めてはいけない。君は、裁判所にとってとても貴重な人材だよ」と話していた。でも、辞めた後、著作権等知的財産権に詳しい国際弁護士で、タレントとしても目覚ましい活躍ぶりをしているのを見ると、八代さん自らが選んだ道が正しかったのだろうと思う次第である。今後も、元裁判官としての良識もますます発揮しつつ、いろいろな分野で活躍してほしいと願っている。

 講演活動もしているようなので、昔のご縁で、一度裁判官ネットワークにも来てくれるとありがたいのだが、八代さんの知名度と忙しさからすると、ちょっと無理かな、と諦めたりもするところである。

(追伸)
後で調べたら、当時は、「イケメン」という言葉が生まれていなかったかもしれないので、「ハンサムボーイ」だったかもしれません。記憶が曖昧ですいません。


 

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