北海道新聞2024年5月22日 10:42
■講演会「ガザ、いま再び~私たちはここに未来を植える~」から(5月18日、札幌市)
3日前の5月15日は76年目のナクバ(大災厄)記念日です。1948年、パレスチナの民族浄化の上にイスラエルが建国され、パレスチナ人75万人が難民となりました。67年の第3次中東戦争で、イスラエルは東エルサレムを含むヨルダン川西岸とガザ地区も占領します。ガザは4千年の歴史があり、世界の諸文明が歴史を紡いだ舞台でした。札幌の3分の1の大きさで人口は230万人。ガザ市は札幌と同じ近代都市でしたが、今は壊滅的な状態です。
イスラエルの占領への抵抗組織「ハマス」が主導する攻撃を受け、イスラエルによる大規模なガザ攻撃が始まった10月7日以来、死者は1カ月で1万人を超えました(5月18日現在、死者3万5千人以上)。ウクライナの民間人の犠牲者は2年間で1万人。ガザは若年人口が4割を占めます。14歳以下の子どもが1カ月で4千人殺されました。
米国の独立系ウェブ報道が4月、大手紙ニューヨーク・タイムズがガザ報道で記者に「大量虐殺」「民族浄化」の用語使用を制限していたと伝えました。・・・・・・・・
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イスラエルはハマスを暴力的なIS(イスラム国)と同じと宣伝しています。イスラエルのパレスチナ支配は、かつての日本のアイヌ民族やアジアへの支配と同じ、先住民の排斥を伴う「入植者植民地主義」と「占領」の暴力に他なりません。
抵抗の暴力なら何をしても許されるわけではないですが、イスラエルの占領の暴力がなければ、ハマスもない、ということです。だから「ハマス対ユダヤ」という二項対立ではなく、日本人も歴史に学びガザを見るべきです。(構成・鈴木雅人)