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アイヌ:偏見、差別解消へ学校教育充実を 有識者懇報告書

2009-07-30 | 日記
(毎日新聞 2009年7月29日 最終更新 7月29日 16時05分)
 政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」(座長・佐藤幸治京都大名誉教授)は29日、河村建夫官房長官に報告書を提出した。アイヌを「先住民族」と明記したうえで、新たな立法措置や国の審議機関、担当窓口の設置など政策推進体制の確立を求めた。根強い偏見や差別をなくすため、学習指導要領の改訂による学校教育の充実、生活・教育格差を解消する支援策も盛り込んでいる。【千々部一好】
 報告書はアイヌを「日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族」と認定した。近代化とともに生活の場を狭められ、独自の文化を禁止、同化を迫られた結果、「文化に深刻な打撃を受けた」と指摘。「国は文化の復興に配慮すべき強い責任がある」とした。
 具体的な政策は(1)国民の理解の促進(2)広義の文化政策の推進(3)国の推進体制の整備--の三つを掲げた。
 (1)については、現在の学習指導要領によると、アイヌに関する記述は中学校の社会科で鎖国下の対外関係の一部のみにとどまっている。このため、歴史・文化などで十分な内容を盛り込むよう改訂を求めている。教職員への研修や指導法の研究を進め、義務教育段階で基礎的な知識が習得できるようにする。
 またアイヌを先住民族と認めることを政府に求めた、衆参両院の決議があった6月6日を「アイヌ民族の日」(仮称)とする。
 (2)では、北海道苫小牧市周辺を候補地に、文化や歴史の教育・研究・展示施設や、各地の大学に保管された人骨を集め慰霊する公園を整備し、民族共生の象徴とする。来年度中に実態を調査し、奨学金などの生活支援策を全国で実施。対象を特定する「個人認定」は、透明性・客観性のある手法で行う。
 (3)に関しては、今秋にもアイヌの複数の代表も参加した審議機関を設置。政策を立案・推進するための機関を内閣官房などに設けるよう求めている。立法措置については、法律の内容を基本法とするか、具体的な政策を含めた総合的な法律にするかの記述はない。
 懇談会は国会決議を受け昨年7月、官房長官が設置した。委員は学識経験者のほか、北海道アイヌ協会の加藤忠理事長、高橋はるみ道知事ら8人。アイヌ関係の政府懇談会は、96年に報告書を出した「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」に続いて2度目。
 【ことば】▽アイヌ▽ 北海道や千島列島などに住む独自の文化、言語をもつ民族。かつては主に狩猟や漁労、山菜の採取に従事し、明治政府の同化政策で人口が急減したと言われている。道内に約2万4000人、都内に約2700人が居住。北海道大の調査(昨年10月)によると、道内の生活保護受給率は5.2%(全国平均2.1%)、大学進学率は同世代の半数以下の20.2%にとどまっている。
http://mainichi.jp/photo/news/20090729k0000e010063000c.html
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