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寛一郎、俳優デビューから7年で感じる変化「排他的だったのが、間口が広くなってきた」

2024-09-10 | アイヌ民族関連

クランクイン 2024/09/10 07:00

寛一郎、俳優デビューから7年で感じる変化「排他的だったのが、間口が広くなってきた」

 アイヌと和人の歴史を描いた映画『シサム』で主演を務めた寛一郎。2017年に俳優デビューしてから7年、近年、作家性の強い作品への出演が続いている寛一郎だが、俳優としてどんな変化を感じているのだろうか――話を聞いた。

■寛一郎とアイヌの数奇な縁

 映画『シサム』は、江戸時代前期を舞台に、アイヌと和人の対立を描いた時代物語。寛一郎は、交易のために蝦夷地に赴くが、ある事件からアイヌの村で生活することになった青年・孝二郎を演じているが、実は作品との不思議な縁があるというのだ。

 「小学生のとき、当時通っていた塾のようなところの課外活動で、アイヌの集落に2週間ほど滞在する機会があって、とても記憶に残っています。なので、今回のお話をいただいたときは、すごく不思議な縁を感じました。さらによりいろいろなことを知るきっかけになればいいなと思って、ぜひやりたいとお伝えしました」。

 物語の舞台は江戸時代前期。寛一郎演じる孝二郎も武家に生まれた次男坊で、帯刀している武士だ。しかし寛一郎は「江戸時代の話なのですが、そこで終わらない。僕が演じた孝二郎も(三浦貴大演じる兄・)栄之助にコンプレックスを感じているなど、現代にも通ずるようなテーマも内在している」と時代劇でありながらも、現代と地続きの物語であることは、キャスト・スタッフの共通認識だったという。

 撮影は、アイヌと和人が共生してきたという認識を持つ北海道白糠町で多くの場面が撮影された。寛一郎は和人という設定だが、シカヌサシ役の坂東龍汰や、アクノ役の平野貴大、リキアンノ役のサヘル・ローズらはアイヌの役を演じる。

 「現地には、アイヌの血を引く方々もいるのですが、その方々もほとんどアイヌ語はしゃべることができないそうなんです。そのなかで正確なアイヌ語をしゃべるのは相当困難な作業で。僕は元々アイヌの人間ではないという役なので、正しくないアイヌ語も正解になるのですが、坂東君たちは本当に大変そうでした。(イカシコトシ役の)藤本隆宏さんと坂東くんが長いアイヌ語でしゃべるシーンのOKが出たときは現場で拍手が起きたぐらいでした」。

■俳優業も「そんなにキラキラきれいなことばかりではない」

 寛一郎は2017年に俳優デビューして以来、映像を中心に数々の名匠たちと作品を共にし、近年は主演として作品の中央に立つことも増えてきた。寛一郎は「いい意味でも悪い意味でも、昔から視野が広いというか、自分のことよりも相手のことを気にしてしまう性格なんです」と語ると「どちらかというとあまりいいことではないですよね。もともと主演という立場に対してハードルがすごく高いというか、気にしなくてもいいところまで気にしてしまうきらいがあるんです」と苦笑い。

 そんな中で、いまは「なるべく自分のことに集中しつつ、周囲もちゃんと見ることができるような立ち振る舞いをしたい」と理想を掲げると「今回の撮影は町の人とスタッフさん、俳優さんみんなが一つになって……という雰囲気でできたのが良かった」と充実した現場だったことを明かしていた。

 変わりたいもの、変わらなくていいもの、それでも変わっていく関係性――。作品にはそんな“諸行無常”が描かれる。寛一郎は「俳優を始めてから、意思の有無に限らず変わったことはたくさんあります。以前はとても排他的な人間でした」とつぶやく。

 なかなか他を受け入れられない性格――。そんな自分が、俳優という仕事を通じてさまざまな人や文化に触れていくことにより、知ることの楽しみや寛容さが増していった。本作もまさに知的好奇心がくすぐられる映画であり、他者を知ることで、自身の懐も深くなる。

 俳優という仕事の魅力を大いに感じるようになってきたという寛一郎。一方で「華やかばかりではない」という認識も増す。父は名優・佐藤浩市。幼少期から映像の現場には触れてきた。「どこの業界でもそうだと思いますが、外から見るのと内から見るのでは景色が違う。僕は内側も見てきたつもりでしたが、やっぱり実際にこの世界に入ると、そんなにキラキラしていてきれいなことばかりではないな」とより身を引き締めるようになったという。

 それでも近年は「すごく自分が興味のあることや、知りたいと思える作品に参加できていると思う」と充実感をにじませる。「排他的」ではなくなったことで、より多くの魅力的な“機会”に恵まれるようになったようだ。「僕が間口を広げると、相手もオープンになってもらえるんだなと実感しています」。

 俳優として製作陣から確かな信頼を得つつも、常に先を見つめる寛一郎。「いま情熱を注いでいることは?」という問いに「未来のために何かできることをしたい」と力強く語っていたが、まさに本作は「アイヌの文化を絶やさず未来に繋ぐ」という大きな使命を持つ作品であり、寛一郎の思いが詰まった映画となった。(取材・文:磯部正和 写真:高野広美)

  映画『シサム』は、9月13日より全国公開。

※『シサム』の「ム」は小文字が正式表記

https://news.goo.ne.jp/article/crankin/entertainment/crankin-15298710.html


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約3割が“アイヌを理由に差別受けた“ 道のアンケート調査で

2024-09-10 | アイヌ民族関連

NHK09月09日 18時20分

道が行ったアイヌの人たちに関するアンケート調査で、およそ3割の人がアイヌであることを理由に差別を受けたことがあると答えました。差別を受けた場面については「SNSなどインターネット上の書き込み」が最も多くなりました。
道はアイヌの人たちの生活実態などを把握するため、去年10月、1万1450人を対象に調査を行い、このうち地域バランスなどを踏まえて実施したアンケートでは15歳以上の472人から回答を得ました。
この中でアイヌであることを理由に差別を受けたことがあるか尋ねたところ、「本人が受けた」と答えた人は29%で、「身近な人が受けた」と答えた人は38%でした。
差別を受けた場面については「SNSなどインターネット上の書き込み」が最も多く42%で、次いで「職場」が13%、「学校」が10%などとなりました。
また差別の原因や背景を複数回答で尋ねたところ、「人種的偏見」が最も多く70%、次いで「民族の歴史的・社会的背景への無理解」が55%、「アイヌ文化への無理解」が46%などとなりました。
道の藥袋浩之アイヌ政策監は9日の道議会で「アイヌの人たちに対するいわれのない差別がいまもあることは明らかだ。道としてアイヌ文化や伝統への理解促進を図り、民族の誇りが尊重されるよう努めていきたい」と話していました。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/sapporo/20240909/7000069720.html


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アイヌ民族への差別、「SNSの書き込みなど」が31%で最多 北海道が生活実態調査

2024-09-10 | アイヌ民族関連

産経新聞2024/9/9 17:17

北海道が昨年、アイヌ民族や生計を同じくする人を対象に実施した生活実態調査で、自身が差別を受けたことがあると回答したのは29・0%で、その場面として「交流サイト(SNS)の書き込みなど」が31・6%で最多だったことが分かった。道議会の委員会で9日、報告した。

身近な人が差別を受けたのを見聞きしたことがあるのは38・1%で、場面ではSNSが最多の58・3%だった。担当者は「今なおアイヌの人たちに対する差別が存在することを示す結果だ」と述べた。

SNSなどでの中傷についての感じ方は、複数回答で「不愉快で憤り」が37・5%、「恐怖・不安」は12・1%だった。

差別の原因や背景は、複数回答で「人種的な偏見」が69・9%と最多で、2017年の前回調査から10ポイント以上増えた。一方、アイヌ民族を先住民族と明記したアイヌ施策推進法について、48・3%が「制定は知っているが内容はよく知らない」と回答した。

https://www.sankei.com/article/20240909-KYT4VMYJRBK2HHXFXPODLBZAHY/


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アイヌ民族の差別、SNSが最多 北海道が生活実態調査

2024-09-10 | アイヌ民族関連

共同通信 2024/09/09

 北海道が昨年、アイヌ民族や生計を同じくする人を対象に実施した生活実態調査で、自身が差別を受けたことがあると回答したのは29.0%で、その場面として「交流サイト(SNS)の書き込みなど」が31.6%で最多だったことが分かった。道議会の委員会で9日、報告した。

 身近な人が差別を受けたのを見聞きしたことがあるのは38.1%で、場面ではSNSが最多の58.3%だった。担当者は「今なおアイヌの人たちに対する差別が存在することを示す結果だ」と述べた。

 SNSなどでの中傷についての感じ方は、複数回答で「不愉快で憤り」が37.5%、「恐怖・不安」は12.1%だった。

https://nordot.app/1205788380838707918?c=302675738515047521


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アイヌ生活実態調査 北海道議会委で公表 「差別受けた」増加

2024-09-10 | アイヌ民族関連

金子文太郎 会員限定記事

北海道新聞2024年9月9日 18:52

北海道は9日、北海道議会環境生活委員会で、2023年度に実施したアイヌ生活実態調査の結果を公表した。アイヌ民族であることを理由に差別を受けたことがあると答えた人は29.0%で、前回の17年度調査より5.8ポイント増加した。差別を受けた場面は「交流サイト(SNS)の書き込みなど」が31.6%で最多だった。

 道によると、自分自身の差別体験で「SNSの書き込みなど」に次いで多かったのは「職場」の15.8%で、「就職のとき」が10.5%と続いた。SNSなどネット上で差別的な書き込みをどう感じるかとの質問には、37.5%が「不愉快で憤りを感じる」、12.1%が「恐怖・不安を感じる」と答えた。

・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1060588/


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サケ迎え 豊漁願う アイヌ団体、今年も川で【浦幌】

2024-09-10 | アイヌ民族関連

十勝毎日新聞2024.09.09

サケの豊漁を祈るアイヌの伝統儀式「アシリチェプノミ」

 浦幌町のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」(差間啓全会長)は8日、新しいサケを迎える伝統儀式「アシリチェプノミ」を行い、豊漁を祈った。同団体は今年も「特別採捕」の許可を得て、浦幌十勝川で丸木舟を使ったサケ漁を1カ月間実施する。

 アシリチェプノミは今年で5年目。十勝太新川水門付近で行われ、約30人が参加した。この日は7日に網入れして取れた雄サケ1匹を使い、差間会長らが「仲間のサケを連れてきてくれますように」との思いを込めて神に祈りをささげた。

 続いて古式舞踊が奉納され、女性たちの歌声に合わせて男性会員が勇壮な「エムシ リムセ(剣の舞)」を披露。「ポロ リムセ(輪踊り)」では来場者と一つの輪になって踊った。

 差間会長は「アシリチェプノミを行えるのも皆さん方の協力のたまもの。豊漁と皆さま方のご健康のために祈りをささげた」と話した。儀式後には十勝太コミュニティセンターでアイヌ料理の試食会も行われた。

 同団体が国と道を相手取り、アイヌ民族が経済活動として河川でサケを捕獲するのは、先住権で認められるとしてサケ捕獲権の確認を求めた訴訟は4月に札幌地裁で棄却され、同団体は控訴している。

https://hokkaido-nl.jp/article/35313


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秋サケ遡上に感謝の祈り 浦幌でアイヌ民族伝統儀式

2024-09-10 | アイヌ民族関連

藤本陽介 有料記事

北海道新聞2024年9月9日 21:45(9月9日 21:51更新)

サケの遡上を神に感謝するアイヌ民族の伝統儀式(浦幌町立博物館提供)

【浦幌】町内のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」(旧浦幌アイヌ協会、会員14人)は8日、秋サケの遡上(そじょう)に感謝し、神に祈りをささげる伝統儀式「アシリチェプノミ」を浦幌十勝川の河口付近で行った。

 2020年に始まり、5回目。町民ら約30人が集まった。北海道知事が許可した「特別採捕」により川で捕ったサケを祭壇に供え、カムイノミ(神へ祈る儀式)を行った。この後、古式舞踊の奉納も行われた。

 差間啓全(さしま・ひろまさ)会長は「サケを含む自然の産物に感謝する気持ちを持って生きていきたい」と話した。

 ・・・・・・

 ※「アシリチェプノミ」の「リ」と「プ」はいずれも小さい字。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1060736/


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白糠でロケの映画「シサム」13日全国公開 アイヌ民族と和人共生訴え 協力の地元関係者、喜びと期待

2024-09-10 | アイヌ民族関連

佐竹直子 有料記事

北海道新聞2024年9月9日 21:31(9月9日 21:55更新)

白糠で撮影された映画「シサム」の1シーン。寛一郎さん演じる主人公(右)がアイヌ民族に徐々に共感していく姿も描く©映画「シサム」製作委員会

 【白糠】町内をロケ地にアイヌ民族と和人の歴史と絆を描いた映画「シサム」(中尾浩之監督)が13日、全国公開される。町民延べ100人余りがエキストラで出演。白糠なまりのアイヌ語で登場人物が会話する場面も多数登場する。白糠アイヌ文化保存会や白糠アイヌ協会が撮影に協力しており、関係者は「和人とアイヌ民族の共生と、アイヌ文化の価値を映画で訴えてくれた」と公開を喜ぶ。

 作品は、江戸時代前期の蝦夷地(えぞち)が舞台。松前藩とアイヌ民族の争いを背景とする人間模様をドラマチックに描く。佐藤浩市さんを父に持つ俳優・寛一郎さんが主人公の松前藩士を演じ、三浦貴大さん、緒形直人さんらが出演。中島みゆきさんが主題歌を歌う。

 昨年6~7月に町内で撮影され、白糠アイヌ文化保存会、白糠アイヌ協会が儀式や漁などの場面で監修、協力した。アイヌ語の台詞は、アイヌ文化研究者の藤村久和・北海学園大名誉教授(札幌)が訳した。

 映画を企画したのは、漫画家らクリエーターのコンサルティングを手がける合同会社プロテカ(東京)。嘉山健一代表(40)が2019年に私用で町を訪問した時に白糠アイヌ文化保存会の磯部恵津子会長(75)と出会い、自然や動植物を神とあがめる風習や、差別されてきた歴史を聞き胸を打たれた。

 ・・・・・・・

 

 14日、イオンシネマ釧路で、映画「シサム」の舞台あいさつが行われる。午前9時45分からの上映後、主演の寛一郎さんらが登壇する。詳細は同施設のホームページで案内している。

 ※「シサム」の「ム」は小さい字

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1060720/


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藤戸竹喜展準備進む 14日から道立旭川美術館

2024-09-10 | アイヌ民族関連

菅沢由佳子 有料記事

北海道新聞2024年9月9日 21:22

クマの木彫りなど展示準備が進む「藤戸竹喜の世界展」(熊谷洸太撮影)

 北海道を代表するアイヌ民族の木彫家、藤戸竹喜(ふじとたけき)さん(1934~2018年)の生誕90年を記念した作品展「藤戸竹喜の世界展」(道立旭川美術館、北海道新聞社、同展実行委員会主催)が14日、同美術館(旭川市常磐公園内)で開幕する。

 藤戸さんは少年期を旭川市近文で過ごし、熊彫り職人の父竹夫さんの元で12歳から熊の木彫りを始めた。その後、阿寒湖畔(釧路市)にアトリエを設け、動物や人間の等身大像などを彫り上げた。

 展示されるのは個人所蔵などの91点。・・・・・

 ※「イランカラプテ像」の「プ」は小さい字。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1060708/


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<新刊と文庫>「戦争映画を解読せよ!」など (一部抜粋)

2024-09-10 | アイヌ民族関連

北海道新聞2024年9月8日 5:00

<単行本>

◆戦争映画を解読せよ! 永田喜嗣著

・・・・

◆ガザからの報告 土井敏邦著

・・・・

<文庫・新書>

◆日本料理史 原田信男著

 国士舘大名誉教授による、日本列島に生きた人々が培ってきた料理の通史。先史時代から現代に至るまでの料理について、時代や社会のあり方との関係を重視して解説。「料理からみた北海道」にも一節を割き、アイヌ民族の食文化や、洋風食品の普及に果たした役割が述べられる。2005年刊行の単行本の文庫化にあたり、「平成・令和の食」も加筆した。(講談社学術文庫 1408円)

◆いのちの芽 大江満雄編

・・・・・

<北海道の新刊>

◆佐藤正午著「かなりいい加減な略歴」・・・・

◆山口裕貴編著「読んで考える学校体育事故裁判」・・・・

◆北村崇教、本郷敏志監修「増補改訂版 北海道『地理・地名・地図』の謎」・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1060369/


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<ほっかいどうの本>アラシ

2024-09-10 | アイヌ民族関連

北海道新聞2024年9月8日 5:00

ヤマケイ文庫 1100円

今野保著

山奥の暮らし 人間と犬の絆

 手付かずの原始的な環境がまだ残っていた大正から昭和初期の北海道。その無垢(むく)で豊かな自然を舞台に描いたノンフィクション作品として、本書は知る人ぞ知る名作の1冊だ。長く絶版となっていたのだが、今回、二十数年ぶりに復刊された。

 著者は1917年(大正6年)、胆振管内安平村(現安平町)出身。生家が炭焼きを仕事としていたため、幼少から青年期を道内の山奥で暮らした。晩年、著作活動に入った著者は、山の生活の思い出を本書をはじめ「秘境釣行紀」「羆吼(ひぐまほ)ゆる山」の3冊にまとめるが、刊行の数年後にはいずれも中公文庫が文庫化、さらに多くの読者を獲得することになったのである。

 山奥に生きる人間と犬との絆や、犬を通した山の自然の豊かさを描く本書には4編が収録されている。表題作でもある「アラシ」は、吹雪の夜に迷い込んできた山犬の子の成長を描いた作品。山犬とは絶滅したはずのエゾオオカミそっくりで、群れで山中を生きる野犬のことだ。今野少年に懐き驚くほど賢かったアラシは、山犬の襲撃など彼の窮地をたびたび救ってきたが、成長とともに家に戻らない日が増える。そして、野生のおきてに従い群れの仲間と山に帰るときが訪れた…。

 ほかにも、川で溺れた今野少年を助け出した「クロ」。アラシ同様、山犬の子で勇猛果敢に成長した後はヒグマも倒したという「タキ」。これはアイヌ民族の青年が語ってくれた話をまとめたものだ。さらに、知恵を働かすことに優れ、人間と心を通じ合うことができた「ノンコ」。いずれも犬好きには堪らない感動の物語ばかりだ。

 また、農業などとは異なり、北海道の開拓期に木炭生産に携わった人びとの生活記録は、意外に少ないように思える。その意味で本書は山の暮らしを描く一級の史料ともいえそうである。(中舘寛隆・編集者)

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1060366/


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芝公園内の開拓使仮学校跡の碑の前で、日本の先住民族アイヌを想い、語り合う

2024-09-10 | アイヌ民族関連

TBS 2024/09/09

明治政府のアイヌ政策と開拓使仮学校

東京・港区の芝公園の一角に「開拓使仮学校跡」という石碑があります。
明治政府の開拓使は、先住民族のアイヌが暮らす北海道など北方の開拓のための官庁でした。
開拓の指導者養成のための開拓使仮学校は明治5年、1872年に設置されました。
のちの札幌農学校、現在の北海道大学につながるわけですが、仮学校には付属の「北海道土人教育所」がありました。しかし、そのことは石碑の文章に書かれていません。

8月25日、石碑の前で「アイヌ民族の権利回復を求める会」主催のフィールドワークが行われ、メンバーの加藤登さんがこの場所について説明しました。

加藤登さん(アイヌ民族の権利回復を求める会)
「1872年、開拓使仮学校附属土人教育所と第三官園に38名のアイヌ民族が連れてこられた。そのうち5人が亡くなって、多くの人が2年ぐらいで『もう私は国に帰りたい』というようにして、この学校って2年間しか続かなかったんですね」

連れてこられたのは、10代から30代の男女で、年少者は日本語の読み書きにそろばん、裁縫、年長者は渋谷にあった第三官園(農園)で、西洋式の農業を学ばされたようです。

北海道土人研究所について調べた、鹿児島純心大学教授の廣瀬健一郎さんは、「アイヌを明治政府の統治に組み込むため、アイヌの世界観、文化、生活のスタイルを破壊するような教育内容で、場当たり的な政策だった」としています。

文明開化をうたっていたこの時代、行儀作法から和服・洋服、慣れない食事を強制され、体調を崩し、亡くなる人が相次いだことについて、廣瀬さんは「親、兄弟、妻に会えないで、ここで亡くなった方たちなんですよね。親、兄弟、子供にも会えないような生活環境。それが与える精神的なプレッシャーというところも一緒に考えないと、ただ病気の死因はこれですよということでは、ちょっと済まない問題があるだろうということを想像しなきゃいけないなというふうに思います」とこの日、補足していました。

故郷を離れ、亡くなったアイヌへの想いを共有する

参加者の1人、宇佐照代さんは北海道・釧路出身のアイヌで、10歳の時、東京に移り住みました。
現在は様々なアイヌ文化の継承に関わり、都内でアイヌ・北海道料理「ハルコロ」を経営しています。
宇佐さんは家族と一緒に参加していましたが、「お墓には、そこには魂はないとわかってるけど、やっぱり自分の先祖のことを想いますよね。今日もここにね、亡くなった方たちの魂があるわけじゃないけど、やっぱりそのときのことを思うのが大事だし、それを思ってみんなで共有しているのを、その子供たちが見るのが大事だと思う」と話していました。

石碑の辺りでは、20年ほど前から、首都圏に暮らすアイヌのグループ「レラの会」を中心に、教育所で亡くなったアイヌ、そして、現在に至るまで、故郷を離れて亡くなったアイヌを一人ひとりを追悼する「イチャルパ」(先祖供養の儀式)を行っています。

レラの会のメンバーもこの日、参加していました。

また、アイヌの権利回復や、明治以降、北海道大学をはじめ、各地の大学の研究者らが墓から掘り出して奪った、アイヌの人骨の返還を求めるといった様々な活動に関わっている日本人、アイヌから見た「和人」も合わせ、20人が参加しました。

最後は参加者全員で黙とうし、連れてこられ、亡くなった5人、そして、アイヌが置かれた状況の中、何らかの事情、理由から、故郷の北海道を離れ、関東で亡くなったアイヌのことを想い、祈りました。

フィールドワークの参加者たちは

参加者による自己紹介の発言より
「同化政策、差別について、この問題をきっかけに、皆さんとこれからも考えていけたらなというふうに思っております」
「ここに無理やり連れてこられたアイヌ民族の無念ですよね。それはやっぱり晴らしたいというか、そういう気持ちがあります」
「ここの碑に初めて来たんですよ。和人として、頭ではわかっていても現実的にね。芝公園っていうと、昔デモでは来たことがありましたけど」
「ここで、集まりがあると聞いて、久しぶりに来ました。過去もしっかり見て、これからもね、見ていく。そういうふうな場所でありたいなと思います」

終了後も場を移して、それぞれに語り合っていました。

過去から現在、そして未来へ

主催した「アイヌ民族の権利回復を求める会」には最近、北海道土人教育所に連れてこられた38人の中の1人の子孫から連絡がありました。

その人は、身内が亡くなったことをきっかけにいろいろと調べ、初めて、自分とこの場所の縁を知ることになったそうです。

宇佐照代さんは「ご親戚というか、身内の方が判明して関心持っていただいたってことは過去のことだけじゃなく、ちゃんと今現在にそれが脈々とね、広がったというか繋がったっていうか、それこそ、これからの未来に繋がりますね。いやびっくりした。いや嬉しいです」と話します。

「開拓使仮学校跡」の石碑は芝公園の4号地、都営地下鉄御成門駅の近くにあります。

追悼の場であり、様々な想いをめぐらし、多様な人、文化が共存する日本列島の現在、未来を考える場でもあります。

TBSラジオ「人権TODAY」担当: 崎山敏也記者

https://nordot.app/1205770792489206443?c=1179248089549373591


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【マレーシア】「国民の平等」に地域間で意識の差=調査

2024-09-10 | 先住民族関連

NNA 9/9(月) 11:31

 マレーシアの独立系調査機関ムルデカ・センターが国内の若者を対象に実施した世論調査で、都市部に住むマレー系若年層の半数が「全ての国民が平等に権利を享受すべきだ」と考えているのに対し、マレー系人口が9割を超すマレー半島東海岸部では75%が反対を唱えた。

 同調査は今年4月3日~5月12日に国内に住む18~30歳の若者1,605人を対象に実施した。回答者の8割は中等教育以上を受けている。

 マレー系もしくはイスラム教徒(ムスリム)のブミプトラ(マレー系と先住民の総称)を対象に、「国民の平等を実現すべきか、またはブミプトラの優遇政策を継続すべきか」と聞いたところ、マレー半島中央部(首都圏)では52%が平等にすべきだと回答し、ブミプトラ政策の継続を望む声(47%)とほぼ拮抗(きっこう)した。南部地域3州(ヌグリスンビラン、マラッカ、ジョホール)も同様の傾向だった。

 一方、マレー系人口が9割となる東海岸部3州(クランタン、トレンガヌ、パハン)では、75%がブミプトラ政策を支持し、平等を望むのは22%のみだった。北部4州(ペルリス、クダ、ペナン、ペラ)はブミプトラ政策への支持が若干高かった。

 キリスト教徒の先住民族が多く暮らす東マレーシア2州(サバ、サラワク)は、65%が平等を望んでいる。

 東海岸部3州は国政野党連合・国民同盟(PN)の宗教保守政党、全マレーシア・イスラム党(PAS)の牙城。PASは近年、若者世代を中心に支持を伸ばし、首都圏などの都市部にも食い込んでいる。ただ、ムルデカ・センターによると、多様な民族が交じり合う都市部でも、アンワル・イブラヒム現政権を支持する層は特に国民の平等や包摂を望んでいるようだ。

 ■52%が「国の方向は間違っている」

 国が進むべき方向については、52%が「間違った方向に進んでいる」とし、「正しい方向に進んでいる」と答えたのは33%だった。懸念事項の最多は「経済問題」(48%)で、次点の「行政」(10%)を大きく引き離した。

 「来年の経済環境は良くなっている」との回答は47%で、多くがインフレや生活コストの増大を懸念していた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/09efba1debb2ccefdcf622c901c62ce181ccb705


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仏パラ選手が試合後にゲイであることを公表。レインボーを手に「この瞬間を待ち望んでいた」

2024-09-10 | 先住民族関連

ハフポスト2024/09/09 12:37

パリパラリンピックの男子走り幅跳び(T64)決勝に出場したフランスのディミトリー・パヴァデ選手(2024年9月4日)

パリ・パラリンピック男子走り幅跳びで4位に入賞したフランスのディミトリ・パヴァデ選手が、ゲイであることをカミングアウトした。

パヴァデ選手は、3年前の東京大会で銀メダルを獲得している。9月4日に行われたパリ大会男子走り幅跳び(T64)決勝では、わずか0.06メートル差で表彰台に届かなかったものの、4位になった。

パヴァデ選手は決勝後の7日、レインボーカラーで彩られた男性を表す性別記号を手にして微笑む写真をインスタグラムに投稿し、ゲイであることを伝えた。

【画像】レインボーカラーで彩られた性別記号を持って、ゲイであることを公表したディミトリー・パヴァデ選手

キャプションには「新たな闘いが待っています。この瞬間を待ち望んでいました。周りに何を言われようとどう思われようと関係ありません。私はもう一度立ち向かい、克服し、前進する準備ができています」とつづっている。

「私は小柄で、メティス(先住民族とフランス系住民のあいだに生まれた子ども)で、足は一本です。そして、ゲイなのです!!!」

「私や同じような立場の人たちは、自ら選択したわけではありません。だから、惨めなスピーチや根拠のない批判はやめてほしい。それで世界を変えることはできません」

オリンピック公式サイトによると、パヴァデ選手はマダガスカル島の約680キロ東にあるフランス領レユニオン島で生まれ育った。

2007年のクリスマス・イブに、職場だったレユニオン島の港でフォークリフトにはねられて負傷し、右足の脛骨(けいこつ)を切断したという。

事故後、パヴァデ選手は再び自力で歩くことを決意し、リハビリを懸命に行った。その決意が現実となった後に出会ったのが、パラ陸上競技だった。

ブレード(板バネ)を使って、走ったり跳躍したりすることを学んだパヴァデ選手は、走り幅跳びのフランス代表になり、パラリンピックのほか欧州選手権や世界選手権に出場している。

パヴァデ選手は、これまで障害者を代表する人になりたいという夢を持っていたが、LGBTQIA+コミュニティのために闘いたいという願いも加わったとインスタグラムで伝えている。

また、ありのままに生きるのが難しいと感じているアスリートや、自分のアイデンティティを公表できない人々に「強さと勇気」を与える存在でありたいともつづっている。

「障害は隠したり恥じたりするものではありません。性的指向も同じです」

「だから自分自身を受け入れて、孤独ではないことを忘れないでほしい。人生はとてもに短く、たくさんの美しいものがあるのですから」

アウトスポーツによると、パヴァデ選手を含めて5人のゲイをカミングアウトした選手がパリパラリンピックに出場している。

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。

https://news.goo.ne.jp/article/huffingtonpost/world/huffingtonpost-66de44bae4b0850940b52a6d.html


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