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アイヌ文化普及 千歳燃ゆ 儀式を披露、語学教室も

2011-10-31 | 日記
(北海道新聞 10/30 15:00)

 【千歳】アイヌ民族の文化や風習を広く伝える活動が、千歳で熱を帯びてきた。道アイヌ協会千歳支部は、多くの市民が集まる祭り会場で伝統儀式を初めて披露。千歳在住のアイヌ文化伝承者として功績を残し、4月に死去した中本ムツ子さんの遺志を継ぎ、途絶えていたアイヌ語教室も再開された。関係者は、地域に根付いた活動を目指している。(渡辺淳一郎)
 道の駅・サーモンパーク千歳で9月に開かれた秋の恒例行事「インディアン水車まつり」。今年は、アイヌ衣装に身を包む千歳支部のメンバーが初めて参加した。サケの豊漁を祈る伝統儀式「カムイチェプノミ」を披露するためだ。
 千歳川にチプ(丸木舟)を浮かべ、マレク(もり)で射止めたチェプ(サケ)を、アペフチカムイ(火の神)に供える。
 「シ パセ カムイ、オンカミ アン ナ」(尊い神様、謹んでお祈りします)。祭司が歌うような抑揚をつけ祈りをささげると、穏やかな静寂が周囲を包んだ。
 千歳支部はこれまでも、サケを迎える儀式「アシリチェプノミ」を千歳川上流で行い公開してきた。祭り会場での儀式披露は、文化普及に理解を示す市などの働きかけで初めて実現。来年以降の継続的な実施も検討されている。
 財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構(札幌)は「儀式の単独開催は道内各地で行われているが、市などと連携して実施するケースは限られる。千歳は良好な環境が整えられつつある」とみる。
 千歳には、サケが遡上(そじょう)する千歳川沿いなどでアイヌ民族が生活してきた歴史があるが、道内の他地域と同じように、数十年前まで文化の普及活動はほとんど行われていなかった。
 支部の中村勝信事務局長(67)は「いわれなき差別が原因で、古老たちは広めようとしなかった」と説明する。
 そこに風穴を開けたのが、4月に83歳で死去した中本ムツ子さんだった。中本さんは札幌などで暮らした後、50歳のころに千歳に帰郷。地域の古老たちに粘り強く教えを請い、伝承活動に取り組んだ。
 1989年に千歳アイヌ文化伝承保存会を設立。「元気に、楽しく」をモットーにアイヌ語教室などを開催し、自然や平和を大事にするアイヌ民族の心を伝えてきた。
 中断していたアイヌ語教室は、教え子が講師となり9月末に再開。刺しゅう教室は9~10月に3回開かれ、古式舞踊の教室も予定されている。
 課題は、どれだけ市民に周知できるか。アイヌ語教室には10人が出席しているが、新規参加は1人のみ。儀式の進め方や道具の作り方を知る人材も、高齢化などで不足気味だ。
 伝承保存会の副会長で、儀式の祭司を務めている野本久栄さん(60)は「千歳にはアイヌ民族が昔からいて、今も生活していると知ってもらうことが重要。真剣に取り組むメンバーを育てたい」と話している。
 北海学園大の藤村久和名誉教授(アイヌ学)は「アイヌ文化は生活に根ざしたもの。本物を伝えるためには、儀式を一時的に行うだけでなく、昔ながらの慣習も日々実践するように努力してほしい」と提言している。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sapporo/328754.html
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