有田麻子 会員限定記事
北海道新聞2024年5月2日 5:00(5月2日 6:32更新)
アイヌ民族の楽器「ムックリ」の演奏体験も楽しめる(いずれも浜本道夫撮影)
「草や木、動物にも『カムイ』がいるんだよ」
胆振管内白老町にある民族共生象徴空間(ウポポイ)内の、伝統的コタンのシノッチセ(アイヌ語で遊びの家の意味)では、1日に2回、約15分間のファミリー向けプログラム「ポン劇場」が催される。
参加者たちは、紙芝居を通して、アイヌ民族が自然のあらゆるものにカムイ(いわゆる神)の存在を意識してきたことや、昔から伝わる歌や遊びに触れることができる。
ウポポイは、2020年に誕生したアイヌ文化復興・発展のための拠点。公益財団法人アイヌ民族文化財団(札幌)が運営する。約10万平方メートルの広大な敷地に、23年度は約33万3千人が訪れた。
年齢にかかわらずアイヌ文化への理解を深められる工夫が随所にある。国立アイヌ民族博物館の体験コーナー「テンパテンパ」(触ってね)では、18の体験ユニットを用意。女性が儀礼の時に使う首飾りの「タマサイ」を、模型パーツを組み合わせて作ったり、素材や刺しゅうを再現したミニチュアの着物を人形に着せたりできる。
靴を脱いで入れるエリアでは、さまざまな動物のぬいぐるみがあり、それぞれにアイヌ語の名前のタグが付いている。絵本やアイヌ文様の塗り絵もあり、幼児でも楽しめそうだ。
「テンパテンパ」はコロナ禍で利用を制限していたが、今年4月から開放している。担当の笹木一義さんは「親子で一緒に体験し、対話につなげてほしい」と話す。
このほか、・・・・・・
〈メモ〉胆振管内白老町若草町2の3。開園は午前9時から、閉園時間は時期により変動し5月6日までの大型連休中は午後8時まで。月曜定休だが、同6日は特別開館。大人1200円、高校生600円、中学生以下無料。ムックリの体験は千円(小学生は保護者同伴)。電話0144・82・3914
<ちょっと一息>チェプオハウ カフェリムセ 伝統的な魚の汁物
来園者に人気なのが、アイヌ民族の伝統料理「チェプオハウ」(魚を使った汁物)。白老町前浜産のサケに大根やニンジンがごろっと入り、子どもも食べやすい。1杯800円。店長の田湯美那子さん(36)は、「素材の味を生かしたシンプルな料理なので、アイヌ料理が初めての方も気軽に挑戦してほしい」と話す。野草茶がつく。
胆振管内白老町若草町2の2の1、ウポポイ入り口前の「歓迎の広場」。月曜定休だが、5月6日は営業。食事提供は午前10時半~ウポポイの閉園時間(時期により変動)の1時間前。電話0144・85・2177
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