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アイヌの明日:有識者懇報告を前に/上 文化学習、道のり遠く

2009-07-27 | 日記
(毎日新聞 2009年7月26日 北海道朝刊)
 衆参両院は昨年6月、アイヌを先住民族と認定することを政府に求め決議した。これを受け、政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」(座長・佐藤幸治京都大名誉教授)は、1年間にわたり議論を重ねてきた。29日、その締めくくりとなる報告書が提出される。アイヌ政策の現状と課題を探った。
 ◇差別、偏見なくす出発点が…副読本の活用不十分
 「糸を回して針を通し、やさしく引っ張るのよ」。7月中旬、胆振管内白老町のアイヌ民族博物館であった白老中学校のアイヌ体験学習。民族衣装の女性職員が、アイヌ刺しゅうを手ほどきする。とげのある独特の文様。木綿のハンカチに縫い針を刺した1年生の矢吹凪紗(なぎさ)さん(12)は「小学校でもやったことがある。本当に楽しい」。
 道教委は08年度から、アイヌや北方領土、石炭などの文化遺産といった郷土に根ざしたテーマを学ぶ事業を実施している。町内にアイヌが多く暮らしている白老中も指定され、白老小学校と連携してアイヌ学習を始めた。今年度は総合学習の授業で、生徒一人一人がアイヌの文化や歴史から興味のあるテーマを選んだ。
 体験学習もその一環。刺しゅうのほか楽器のムックリ製作や木彫りの三つから選び、学んだ成果を新聞にまとめて発表する。名須川敏雄校長は「アイヌ学習は避けて通れないテーマ。アイヌ理解の基礎ができれば」と期待する。
 アイヌ教育の指定校は白老町と釧路管内白糠町の2カ所だけ。自主的に取り組む小中高校もあるが、数はまだ少ない。
   ■  ■
 財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構(札幌市)は昨春、アイヌの歴史や文化、言語などを小中学生向けに解説した副読本を一新した。写真や図を多用し、以前より格段に親しみやすくなった。道内の全小4、中2の児童・生徒向けに15万冊、道外の小中学校にも1冊ずつ配布する。
 しかし、せっかくつくった副読本も、現場では有効に活用されていないのが実情だ。
 編集に携わった小樽市立北手宮小の平山裕人教諭は過去に、アイヌ民話の劇やアイヌ語学習を試みた。しかし、副読本については「教育課程に組み込まれていないので、今は使用を見合わせている」と話す。指導できる教諭も限られている。機構の担当者は「配布だけで精いっぱい。利用を強制する権限もない」。活用を図るため、教諭向けの指導書作成も検討している。
   ■  ■
 アイヌへの正しい理解が差別や偏見をなくす出発点となる。
 6月末、懇談会がまとめた報告書の素案は学校教育の充実をうたっている。しかし、道内ですらその道のりは遠い。
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20090726ddr041040007000c.html
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