河北新報2022年7月9日 10:00
地方紙の在京編集部長ら仲間内で6月、北海道を訪ね、白老町の「ウポポイ(民族共生象徴空間)」を見学した。現地では「先住民族の尊厳を尊び、和人とアイヌが差別のない多様で豊かな文化を継承するための施設」と説明された。
伝統あるアイヌの民族衣装や踊り、慣習などに触れ、自然界の全てのものに魂が宿るという宗教観、精神性の違いを実感した。
近くには史跡「白老仙台藩陣屋跡」(白老町)、亘理伊達家由来の品々を展示した「だて歴史文化ミュージアム」(伊達市)もある。ウポポイが伝える世界や史実に心が弾み周辺地域への親近感も湧いたが、それはほんのつかの間だった。
見学後、ラポロアイヌネイション(旧浦幌アイヌ協会)名誉会長の差間正樹さん(71)に話を聞いた。暴力的いじめ、研究者が持ち去ったアイヌ遺骨の返還運動を経験。今はサケ捕獲権を巡り国や道と係争中だ。
ウポポイはまだ訪れていないという。アイヌのさまざまな歴史、文化を白老の一施設に集約した国に疑念を抱いている。「展示物ではなく、生活様式の中にあるものこそが文化」。言葉が胸に刺さった。(東京支社編集部長 末永秀明)
https://kahoku.news/articles/20220709khn000006.html
地方紙の在京編集部長ら仲間内で6月、北海道を訪ね、白老町の「ウポポイ(民族共生象徴空間)」を見学した。現地では「先住民族の尊厳を尊び、和人とアイヌが差別のない多様で豊かな文化を継承するための施設」と説明された。
伝統あるアイヌの民族衣装や踊り、慣習などに触れ、自然界の全てのものに魂が宿るという宗教観、精神性の違いを実感した。
近くには史跡「白老仙台藩陣屋跡」(白老町)、亘理伊達家由来の品々を展示した「だて歴史文化ミュージアム」(伊達市)もある。ウポポイが伝える世界や史実に心が弾み周辺地域への親近感も湧いたが、それはほんのつかの間だった。
見学後、ラポロアイヌネイション(旧浦幌アイヌ協会)名誉会長の差間正樹さん(71)に話を聞いた。暴力的いじめ、研究者が持ち去ったアイヌ遺骨の返還運動を経験。今はサケ捕獲権を巡り国や道と係争中だ。
ウポポイはまだ訪れていないという。アイヌのさまざまな歴史、文化を白老の一施設に集約した国に疑念を抱いている。「展示物ではなく、生活様式の中にあるものこそが文化」。言葉が胸に刺さった。(東京支社編集部長 末永秀明)
https://kahoku.news/articles/20220709khn000006.html