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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

阿寒湖「カムイルミナ」18日開幕 11月まで夜の遊歩道 映像で彩る

2022-06-13 | アイヌ民族関連
北海道新聞06/13 05:00

昨年の「カムイルミナ」で映像が映し出された阿寒湖温泉の木々
 【阿寒湖温泉】体験型観光事業を手掛ける阿寒アドベンチャーツーリズム(釧路市阿寒町)は、阿寒湖の夜の森を映像で彩る「阿寒湖の森ナイトウォーク『カムイルミナ』」を18日に開幕することを決めた。
 カムイルミナは、夜のボッケ遊歩道(約1・2キロ)を歩き、アイヌ文化の世界観や自然の美しさに触れるプログラム。会場内でクマゲラの繁殖行動が確認されたため、5月に予定していた開幕を延期していた。
 11月19日まで。前売り券は中学生以上3千円(当日券3500円)、小学生1500円(同1700円)。未就学児は無料。チケットはホームページ(https://www.kamuylumina.jp/)で販売している。問い合わせは同社(電)0154・65・7121へ。(野呂有里)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/692611

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アイヌ施策にコロナ影響 札幌市21年度 センター来館者、目標の2割

2022-06-13 | アイヌ民族関連
北海道新聞06/13 05:00

アイヌ文化交流センターで行われたアイヌ民族の文化体験イベント=5月
 札幌市は2021年度のアイヌ施策に関する取り組みの実績をまとめた。コロナ禍が影響し、南区小金湯のアイヌ文化交流センター(サッポロピリカコタン)の来館者数が目標の2割強にとどまるなど、全5項目のうち2項目で、達成率が3割未満にとどまった。本年度は同センター内での体験コーナーを充実させるなど、活動を強化する。
 市は10年度に市アイヌ施策推進計画を策定。市民へのアイヌ文化の理解促進を図るため、具体的な目標を設けて毎年度、活動内容を評価している。
 アイヌ文化交流センターは民族楽器の演奏や踊りを随時披露し、伝統工芸品や家屋を展示する施設。観光客や小中高生が多く訪れ、19年度は5万8千人超が来館した。コロナ禍により来館者は激減し、21年度は1万3243人にまで落ち込んで、達成率は23%となった。
 このほかの達成率は、体験交流事業参加者数が35%、文化体験講座参加者数が28%、工芸品販売会の購買者数は56%。新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言でイベントが中止になったことや人出減少の影響を受けた。学校への出前講座を充実させたことで、小中高生向けの体験プログラム参加学校数は95%と、高い水準となった。
 市は本年度、コロナ感染対策に配慮しながら活動を強化する。アイヌ民族の講師が常駐する「体験コーナー」の運用を本格的に開始。刺しゅうなどを常時楽しめるようにした。工芸品の販売会は会場を、札幌駅前通地下歩行空間(チカホ)に加え、サッポロファクトリー(中央区)のアイヌ文化PRコーナーでも行う方針。コロナ禍で実施できなかったアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」(胆振管内白老町)へのバスツアーも町内会対象に行う。
 市は「コロナ禍でも効果的に行える事業を検討していきたい。文化交流センターも、魅力や認知度のアップを図る」と話している。(五十嵐俊介)
※「サッポロピリカコタン」のリは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/692179

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思索のノート〈アイヌ語を語り継ぐ〉隣り合って話され千年超(中川裕)

2022-06-13 | アイヌ民族関連
信濃毎日新聞2022/06/12 12:03
■日本語とは全く別の言語
 大学でアイヌ語の授業をする時には、いつも最初の方でアイヌ語会話の映像を見せる。1993年当時80代だった2人の女性による会話である。
 内容は、昔はよく川でカニを捕ったものだが、今ではカニもエビもドジョウも見なくなったというところから始まり、片方が、だから食べるものがなくていつもおなかをすかせていると言うと、もう1人がカネがないからかい、うそつきおばさんだねと突っ込む。するとカネはないけれどカンピはたくさん持ってるよと返す、というやりとりである。
 カネというのは日本語からの古い借用語で、「金属」を表す言葉としてアイヌ語に入っている。もう一方のカンピも「紙」からの借用語で、そのまま「紙」を表したり、紙を扱う人間ということで和人(日本のマジョリティー)の役人を表したりする。つまり、ここでは片方が日本語の「お金」の意味でカネと言ったのを逆手にとって、カネ「硬貨」はないけれど、カンピ「紙幣」ならあるよと、冗談で返しているのである。
 もちろん、カニやドジョウが上がってこないので、腹をすかせているというのも冗談であり、お互いがいかに面白いことを…
(残り1165文字/全文1655文字)
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022061200089

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神戸・二宮市場のカフェで見つけた アメリカ先住民のフード、ナバホタコ 日本ならではのオリジナルも

2022-06-13 | 先住民族関連
クレア6/12(日) 15:01

ナバホタコ。インディアン・タコとか、ネイティブ・タコとか呼ばれているフードをご存知ですか? 
 メキシコ料理として知られているタコス(注/タコの複数形がタコス)のベースは、トウモロコシの粉を使ったトルティーヤ。ナバホタコはそれとは違い、小麦粉を水でこねて油で揚げたフライブレッドがベースです。
 アメリカ先住民のナバホ族は、フライブレッドに蜂蜜をかけたり、目玉焼きを乗せたりして食べるのだとか。フライブレッドのバリエーションのひとつがナバホタコで、アメリカ南西部にある居留区に近いメキシコ風のアレンジです。居留区内のレストランやグランドキャニオンのホテルなどでも食べることができると聞きました。
 そんな珍しい、ナバホタコを出すお店を神戸で発見! (たぶん日本でここだけ? ! )
 そのお店「LITTLE MORE CAFE  リトルモアカフェ」は、中心街・三宮駅から徒歩5分程の二宮市場にあります。オープンは、2022年1月11日。十数軒が営業を続ける市場で、昨年から仲間と一緒に改装を進めた手造りのお店。
 「父はナバホ族、母は日本人です」という下紺(しもこん)たきハズバさんと城崎(じょうざき)駿之さんが営んでいます。
 メニューをご紹介しましょう。
 まずは「ナバホタコ」。下紺さんは「チリビーンズ、チーズ、レタス、トマトを使ったストリートフード、ソウルフードといえる本場の味です」とにっこり。お店ではハラペーニョも加えています。揚げたてのフライブレッドのむっちりとした食感がポイント。
 インドのナンやピッツァ生地よりもモチモチ。チリビーンズはそのままでも程良い辛みですが、タバスコで辛みをプラスして、添えてあるコーンチップスをつまめば、ビールとの相性抜群。クセになる一品です。
 「ハニーナッツ」は、もっちり生地に甘い蜂蜜と香ばしいナッツで、おやつにぴったり。フライブレッドの風味もしっかり感じられて、シンプルだけれどとてもおいしい。「ナバホ族のちびっこも大好きなんですよ」。
 「ラベンダーハニー」は、ラベンダーをトッピングしたオシャレな一品。ラベンダーが香り立ち、デザートにぴったり。ドリンクとのセットメニューで、中国茶をチョイスできるのも、ここならではでしょう。というのも、下紺さんが香港デザートのカフェで働いた経験があるからなんです。
 ベースのフライブレッドは、注文が入ってから、下紺さんが両手を使って生地を丸く延ばし、180度の油でていねいに揚げます。「強力粉を使っているので、モチモチ食感が特徴です。温かいうちに食べてください。油っこくないよう仕上げています」。
 ここだけのオリジナルメニューを紹介しましょう。
●ここでしか食べられないオリジナルメニューも!
 「チーズフォルマッジ」は、たっぷり4種類のチーズを使用し、バーナーで炙り、黒胡椒をパラリ。様々なチーズのリッチな味わいが楽しめます。蜂蜜とナッツもトッピングしていて、お酒のお供にもオススメ。
 「あんバター」は、ナバホと日本の融合。フライブレッドで包んだスタイルは、現地にはないのだとか。ここだけのメニューで、まさに世界初のフード! 
 「ジャムも合うと思う。日本人好みのお惣菜パンのようなアレンジもできる。ナバホのフライブレッドの可能性は無限大」。今後の展開にも興味津々です。
 祖母はナバホ族の薬草師、祖父は祈祷師。5歳で日本に来たという下紺さん。その後も何度も父がいる居留区を訪れています。
 「ナバホタコを日本で作って提供すると父に言うと、とても喜んでくれました。知らないフードを食べるだけでも、親近感がわくと思う。ナバホ族やアメリカ先住民について、少しずつでもいいから知ってもらえればいい。誰もが平等で幸せになる活動をしていきたい」。
 カフェでは、ナバホバーガーやナバホティーなど、ナバホ族にちなんだメニューを増やしていく予定だそう。
 下紺さんの傍で、城崎さんが仕込むカレーも、和風出汁がベースの融合メニュー。城崎さんは「実は辛い食べ物が苦手で」と苦笑い。苦手だからこそ、おいしく食べてほしいと工夫を凝らしているのでしょう。
 ふたりの優しさに包まれる居心地の良いカフェ。ナバホタコという初めて食べるフードの魅力がしっかりと伝わります。
「LITTLE MORE CAFE リトルモアカフェ」
所在地 兵庫県神戸市中央区琴ノ緒町3-3-5-73
電話番号 なし
Instagram @littlemorecafe0
https://news.yahoo.co.jp/articles/d7687b4f1e21b1e96f4595a291a7aa6b84445979

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ダク・ノン世界ジオパークの火山を探索

2022-06-13 | 先住民族関連
ベトナムフォトジャーナル13/06/2022
1億4千万年以上前、地球の地殻活動により多くの噴火口が形成されました。ダク・ノン世界ジオパークにある噴火口はユニークな構造と野生の美しさを持っていると地質学者によって評価されています。
チュ・ブルク火山
クロン・ノ県にあるチュ・ブルク火山は特徴的な円錐形で、見事な美しさを持ち、遠くのどんな方向からも眺めることができます。
特に、これはダク・ノンジオパークで唯一の火山で、東アジア最大かつ最も特別な50の溶岩洞窟群を形成し、多くの興味深いものが隠されていることから調査と分析が必要とされています。
さらに、この火山の洞窟群に住む先史時代の人々の考古学的遺跡が発見され、このユニークな地質の科学的および教育的価値が浮き彫りになりました。
チュ・ブルク火山は20万年から60万年の歴史を持つ、典型的な中央噴火タイプ。
東南アジアで最も長い火山洞窟群に属する玄武岩の火山洞窟の一つで、入口は2014年末にベトナムと日本の科学者によって発表されたC9 チュ・ブルク洞窟。
非常に独特な真っ赤な色をした洞窟の壁。
チュ・ブルク火山の噴火口。
チュ・ブルク火山洞窟内の崖の美しさ。
チュ・ブルク噴火口の風景を探索する旅に参加した観光客。
ナム・グレ火山
ダク・ミル県にあるナム・グレ火山は中部高原の若い火山の一つです。ナム・グレ火山の形はダク・ノンジオパークの他の火山とは異なってます。
上から見ると、ナム・グレ火山は二つのムール貝の殻が向かい合っているように見えます。これは、割れ目と爆発的噴火が組み合わさった美しい形の火山の一つです。
ナムグレ火山はかなり大きく美しい自然の湖の近くにあります。科学者によると、この湖はこの火山活動に関連している可能性があるそうです。
ダック・ミル地区にあり、中部高原の若い火山の一つと見なされているナム・グレ火山。この火山の形はダク・ノンジオパークの地域の他の火山とは異なる。
ナム・グレ火山地域周辺で見つかった溶岩。
ナム・ゾン火山
ク・ジュット県に位置するナム・ゾン火山はダク・ノンジオパークで三番目に大きな火山で、壮大な景観を持ち、元の姿がそのまま残っています。
噴火口は漏斗状で、地形の高さは周囲と少し異なります。噴火口の高さからすると、遠くからも近くからも(半径1〜2キロメートル以内)火山の形態を判別できないため、ネガティブ噴火口と呼ぶことができます。

ナム・ゾン噴火口で作物を育てる先住民。
撮影:コン・ダット/ベトナムフォトジャーナル
ダク・ノンジオパークで三番目に大きく、魅力的な景観を持ち、元の姿がそのまま残っているナム・ゾン火山。
ナム・カル火山
クロン・ノ県にあるナム・カル火山はダク・ノンジオパークで最も美しい火山の一つです。
主な噴火口に加えて、溶岩ベントの形で形成された二つの副噴火口があります。火山噴火の際に形成された木の化石もあります。
この火山は小規模ですが形成、構造の点で独自性があり、ダク・ノンジオパークで最も壮観で独特な形をしています。
ナム・カー火山近くの田んぼで稲を収穫する先住民族。
ダク・ノンへのアクセス
サイゴンまたはダク・ノン周辺の省からは自家用車でダク・ノンに行くことができる。サイゴンからビン・ズオン省を通り、ビン・フォックのドン・ソアイを経て、高速道路14号線をダク・ノンまで行く。或いは毎日出発するダク・ノン行きのバスも利用できる。距離は約250 kmで、通常所要時間は約7〜8時間。
ダク・ノンには現在空港がない。省の中心部に最も近い2つの空港は130km離れたブオン・マ・トゥオット空港と150kmのリエン・フオン空港(ダ・ラット市)。
 文、撮影:コン・ダット
訳者:ソン・タム・クエン
https://vietnam.vnanet.vn/japanese/tin-tuc/ダク・ノン世界ジオパークの火山を探索-298810.html

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今夏はベネチアに? ベネチア・ビエンナーレの作品を紹介

2022-06-13 | 先住民族関連
CNN2022.06.12 Sun posted at 12:41 JST
2年に1度、8カ月間にわたり行われる芸術と文化の国際フェスティバル「ベネチア・ビエンナーレ国際美術展」が先ごろ開幕した。新型コロナウイルスの影響で1年延期されていた同美術展は、世界屈指のアーティスト作品を一堂に見られるまたとない機会だ。
ビエンナーレが初めて開催されたのは1895年。今回の開催では構成は3つに分かれており、一つ目は工業用建物が連なる旧国立造船所跡のアルセナーレとジャルディーニ・デッラ・ビエンナーレを舞台とするメイン会場での企画展だ。二つ目は国別のパビリオン。その多くはジャルディーニ会場内にあり、英国、フランス、日本、ブラジル、米国をはじめとする29カ国の歴史的、現代的な建築様式で建てられたパビリオンが立ち並ぶ。三つ目は、市内に点在するサテライト展示や関連企画イベントなどだ。
例年、メイン企画展のキュレーションを担当するアーティスティックディレクターが任命され、ディレクターはビエンナーレ全体の方向性を決定する。今回は、開催地のイタリア出身で、ニューヨーク・マンハッタンにあるハイラインのアートプログラムを本業とするチェチリア・アレマーニ氏がディレクターを務めた。同氏がビエンナーレで手掛けた企画展「ミルク・オブ・ドリームズ(夢のミルク)」は、アーティストで作家の故レオノーラ・キャリントン氏が執筆した同名の絵本からインスピレーションを得た。このシュールレアリスム(超現実主義)の絵本に敬意を表した企画展は、素晴らしい逸品に満ちており、女性アーティストを大いにたたえている。200人を超えるアーティストが参加した中で、男性による作品がほとんど見られないという点では、これまでの常識を覆した。
ビエンナーレの作品数は膨大で、時にその数に圧倒される。ほんの一部の作品を楽しみたいという場合でも、計画は必要だ。筆者は1日に約16キロ近く街を歩き回ったが、まだまだ時間が足りないという印象だった。
ビエンナーレの見学はできれば2日間は欲しいところ。履き慣れた歩きやすい靴を選び、水分補給も忘れないようにしたい。
1日目
まずは、アルセナーレのチケット売り場(もしくはウェブサイト)でチケットを入手しよう。それからラモ・デ・ラ・タナを経由し、アレマーニ氏が手掛けた夢のミルク展を鑑賞することから1日を始めたい。
チョコレートのような香りがかすかに漂ってきたら、デルシー・モレロス氏の「地上の楽園」(2022年作)に近づいている証拠だ。この作品はカッサバ粉、体を温めるスパイス、カカオパウダーが混ざった土の回廊で、深く没入できるようになっている。作品の中央に立ち、呼吸を整えよう。
十分にグラウンディング(地に足をつけ大地とつながること)を行ったら、次は20世紀初頭に撮影された一連の白黒写真を見に行こう。写真に写っているのは、エルザ・フォン・フライタークローリングホーフェンという好奇心旺盛なドイツ男爵夫人である。男爵夫人という肩書きに反して、裕福ではなかった。1910年代のニューヨークで、芸術家のためにポーズを取ったり、グリニッジビレッジにあるクラブでスーブレット役(演劇やオペラに出てくる陽気で異性の気を引こうとする小間使い)を演じたりして、自由奔放で気ままな生活を送っていた。美術家のマルセル・デュシャン氏と親交を持ち、ダダのアートシーンで伝説的な存在となった。展示写真には、彼女が盗んだり、ごみ箱から拾ったりした小道具やアクセサリーを身に着け、奇妙なポーズを取っている姿が写っている。すごい女性である。
すぐ近くには、レバノン人アーティスト、アリ・シェリ氏が手掛けた3体の彫刻がある。テラコッタ、木、金属で作られた「タイタンズ」は、古代の守り神をイメージしているという。また、彫刻の近くには、チュニジアのアーティストで活動家のサフィーヤ・ファルハート氏による色鮮やかな数々のタペストリーが展示されている。幾何学的な形と具象的な形が混ざり合い、コラージュのように幾重にも重なった作品は、甘美な雰囲気を漂わせている。
夢のミルク展を一通り鑑賞した後は、アルセナーレ内にある仮設の国別パビリオンを見て回ろう。メイン展示の入口近くにある最初の建物群の2階には、ウクライナのアーティスト、パブロ・マコフ氏の作品が展示されている。同氏の作品「枯渇の泉」の前に置かれた曲線を描くベンチに腰掛けながら、危機的な状況下におけるウクライナ人アーティストの強さについてじっくりと考えてみてほしい。
次は、歩いて数分のところにあるイタリア館を目指してみよう。途中にあるニュージーランド館では、太平洋諸島の先住民族の血を引くアーティスト、ユキ・キハラ氏が撮影した数々の印象的な写真作品が見られる。キハラ氏は、植民地時代の古い楽園の概念に対し、異を唱えている。
イタリアにいるのにイタリア館を訪れないのは無礼だろう。広さ約1858平方メートルの館内では、サイトスペシフィック(特定の場所に存在するために制作)・インスタレーション・アーティストのジャン・マリア・トサッティ氏が、工業用ミシンをはじめとする使われなくなった工場設備を持ち込み、イタリアにおける産業の盛衰を暗示する作品を発表した。
イタリア館のもう一つの空間は、工業化が進んだ時代の自然の成り行きをイメージしたもので、水を張った光のない建物内に設置された桟橋に足を踏み入れることができる。ホタルのように繊細な光が水面を舞う様子を、じっくりと楽しんでもらいたい。次は、光のある空間に再び出て、ジャルディーニ会場内にある国別の常設パビリオンを目指そう。1894年に建てられた「セッラ・マルゲリータ(マルゲリータ温室)」内の居心地の良いカフェを経由して目的地のパビリオンに向かう。
ジャルディーニ会場に入ったら、直感に従い、心をつかまれた建物に吸い込まれてみよう。各国の展示作品を徹底検証するつもりがないのであれば(これには何時間もかかる)、米国館のシモーヌ・リー氏による見事な作品「主権」を見逃してはならない。一連の彫刻作品は、黒人女性の経験を広く直感的に描いており、静かなひとときを過ごすのにふさわしいものだ。
ビエンナーレの最優秀賞である金獅子賞はリー氏(国際展示部門)と、英国のソニア・ボイス氏(国別展示部門)に贈られた。両者とも、ビエンナーレにおける自国を代表する初の黒人女性アーティストであり、最優秀賞を獲得した初の黒人アーティストでもある。英国館にあるボイス氏が手掛けた展示「自分らしく感じる」もぜひ鑑賞したい。
そろそろお腹も空いてくるころなので、近くのレストラン「アル・コーボ」で早めの夕食を取ろう。ここは、運河沿いのメイン遊歩道のすぐ近くにありながら、驚くほど静かで上質なレストランである。繁忙期には予約必須だ。
2日目
見るものがたくさんあるので早起きしよう。本日は、市内に点在する展覧会に注目したい。まずはリアルト橋を渡り、パラッツォ・ベンドラミン・グリマンに向かう。ここで見られるのはメキシコ人アーティスト、ボスコ・ソディ氏の作品だ。ベネチアでは安価なものなどほとんどないが、このパラッツォ内の複数の部屋で開催中の展覧会は無料で、訪問する価値は大いにある。ソディ氏はこの春2カ月間ここに滞在し、貿易と文化の拠点であったベネチアの歴史からひらめきを得たという。これにより、欧州で取引されていた数々の貴重品がどこからやって来たのかを思い起こさせるような、抽象的な彫刻や絵画作品の展示が実現した。例えば、ソディ氏の多くの作品にはコチニールが使われている。これは、16世紀にスペインの植民者によって発見され、欧州で人気を博したメキシコの伝統的な赤色の顔料だ。その豊かで土のような色合いは展覧会のいたるところで見られる。温かみのある色彩は、豪華なパラッツォの内装とは対照的だ。
次は、水上バスの「バポレット」に乗ってアカデミア美術館へ。ここでは英国人の人気アーティスト、アニッシュ・カプーア氏の個展が10月まで開催中だ。もし臆病な性格なら、覚悟を決めたほうがいい。真紅と乾いた血のような茶色の閃光(せんこう)を放つ最初の作品は、血なまぐさく規模も大きい。この著名な作品には暴力性や怒りっぽさがあるが、つい見つめてしまう。
次に続く部屋で見られるのは、いわば口直しのような作品だ。一連の作品には、世界で最も黒いことで知られる塗料のベンタブラックが使われた。ベンタブラックを巡っては、カプーア氏が美術分野における独占使用料を支払ったことで、物議を醸した。この塗料(塗料というより技術の一種)を開発したのは、英国拠点のサリー・ナノシステムズだ。あまりにも黒いことから、立体感のある物体に塗ると目を欺かれ、角度によっては平面的に見えるという。カプーア氏の個展はこれ以外にも、パラッツォ・マンフリンで開催中なので、気になるようなら、そちらの会場にも足を運んでみよう。
もしくは、アカデミア美術館のすぐそばにあるパラッツォ・グラッシを訪れるのはどうだろう。パラッツォ・グラッシは、世界的に有名な日本人建築家、安藤忠雄氏が、この建物を所有するフランス人大富豪のフランソワ・ピノー氏のために、歴史的遺産と現代的改革のバランスをうまく取りながら改装を行った。ここでは現在、南アフリカ出身のアーティスト、マルレーネ・デュマス氏の展覧会が開催中だ。デュマス氏の絵画は情緒的なことで知られ、作品は時に驚きと楽しさを与えると同時に、見る者を誘惑する。
これまでと趣は異なるが、暑さを避けて一休みするのにサンタマリア・デイ・デレリッティ教会があるオスペダレットを訪れるのも良いだろう。イタリア人の衣装デザイナー、ベアトリス・ブルガリ氏が動画アートを支援するために立ち上げた「インビトゥイーン・アートフィルム財団」による8本の短編映画が上映中だ。
注目作品は、ナイジェリアに不法滞在する錫(すず)鉱山労働者たちを追って、彼らの労働条件やリスクに焦点を当てたカリマ・アシャドゥ監督の「プラトー」。このほか、短編シリーズ最後の作品「オルホダ・ルア(アウト・ラウド)」も見逃せない。ブラジル人アーティスト、ジョナタス・デ・アンドラデ氏は、海岸沿いの都市レシフェに住むホームレスたちをキャスティングし、パーカッション奏者のホメロ・バジリオ氏のサウンドトラックに合わせて一連のパフォーマンスを行い、ドキュメンタリーとフィクションの境界を曖昧(あいまい)にした。
映画の後は軽食の時間だ。飲み物と一緒にベネチア名物のおつまみ、チケッティを堪能するために、運河沿いにあるのんびりとしたワインバー「ビノ・ベーロ」まで歩いて行こう。このバーでは、ベネチア生まれの食前酒スプリッツの提供はないものの、ワインの種類は豊富だ。ビノ・ベーロから数分歩いたところに、にぎやかな「イル・パラディソ・ペルドゥート」という食堂がある。大皿のシーフードパスタと1リットルの白ワインを注文しよう。注文した品はテーブルの上に叩きつけるように置かれるので覚悟したい。今日はたくさん見て回ったので、おいしく召し上がれ。
ここでお知らせが2つある。一つ目は、本日のツアーはこれでおしまい。二つ目は、まだベネチア・ビエンナーレのほんの一部しか見ていないということだ。あと1日滞在して、もっと楽しみたいという人には、以下のイベントがお薦めだ。
これがウクライナ:自由を守る
会場の1階では、2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻を受けて、ウクライナのアーティストたちが制作した作品を集めた力強いグループ展が開催中だ。2階では、ダミアン・ハースト氏やマリーナ・アブラモビッチ氏など、現代アートの巨匠たちが、新作やアーカイブ作品によってウクライナ侵攻に抗議している。
会場: スクオーラ・グランデ・デッラ・ミゼリコルディア
開催期間:8月7日まで
アンゼルム・キーファー
ドイツの画家、アンゼルム・キーファー氏の個展。ベネチアを超巨大な14点の絵画で表現した。
会場:ドゥカーレ宮殿、サンマルコ広場
開催期間:10月29日まで
ルイーズ・ネベルソン:永続性
1962年に米国代表としてベネチア・ビエンナーレに参加してから、今年で60周年を迎える米国人アーティスト、ネベルソン氏の回顧展。
会場:ベッキエ公会堂、サンマルコ広場
開催期間:9月11日まで
シュールレアリスムと魔法:魅惑のモダニティー
魔法やオカルトがシュールレアリスム運動にどのように影響を与えたかを紹介する。
会場:ペギー・グッゲンハイム・コレクション、アカデミア
開催期間:9月26日まで
https://www.cnn.co.jp/style/arts/35188475.html

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