毎日新聞2016年7月25日 東京朝刊
国境を越えて若者たちが学び合う「アジア学生交流環境フォーラム」(主催・イオン環境財団、後援・毎日新聞社、中国青年報社、朝鮮日報社、トイチェ社)が8月3日、東京の早稲田大学で開幕する。テーマは「生物多様性と叡智(えいち)」。世界自然遺産の知床を擁する北海道をフィールドワークの中心にすえ、8日までの期間中、日本を含め7カ国の大学の学生たちが自然や野生生物と共生する道を探る。【明珍美紀】
「北の大地が育む自然や生態系は、都会に住む学生たちが普段、接しているものとは全く異なる。そんな北海道でも大規模開発や川の汚染などで環境が壊されてきた」と、プログラムの構成を担当した早稲田環境学研究所客員准教授の吉川成美さん(47)は言う。
「生物多様性の破壊が人々の暮らしや精神文化にどんな変化をもたらすのか。一度、壊した自然や絶滅の危機に追い込まれる野生生物をどう保全し、共生の道を探るのか。その実践例を北海道で見てほしい」
早稲田大での開講式の後、学生たちはユーラシア大陸と巨大な生態圏を共有する知床を歩く。また、国際保護鳥(国の天然記念物)のシマフクロウの生息地の復元を目指す標茶町などを訪ね、活動の担い手である「虹別コロカムイの会」のメンバーらと交流。「先住民の叡智」を学ぶためアイヌ民族と対話し、釧路市の猛禽(もうきん)類医学研究所代表で獣医師の斉藤慶輔さんの話を聞く。
「経済活動が生物多様性に深刻なダメージを与えてきた一方で、それらを再生しようとする動きがある。日本の経験はアジアでも教訓として引き継いでいく必要がある」と吉川さんは説く。
国際交流で視野を広げたい 韓国・李さんと台湾・〓さん
早稲田大の参加メンバーに、韓国の李相和(イサンファ)さん(21)=国際教養学部2年=と台湾出身の〓〓萱(チェンジーシュエン)さん(20)=同=が加わった。いずれも「日本のアニメをよく見た」といい、日本への好奇心が同大への進学につながった。
小5から高校まで米国のサイパンで過ごした李さんは「日本や中国だけでなくアジアのさまざまな学生と交流して視野を広げたい」と目を輝かす。〓さんの初の「北海道体験」は昨夏の旭川でのホームステイだ。「台湾も原発を抱えている。エネルギー問題についてみんなの意見を聞きたい」と話す。
マイECOの「マイ」は、「MY(私)」と「毎日新聞」の「毎」をかけたものです。健康医療・環境本部では、「身近なエコを分かりやすく伝える」をコンセプトに、環境関連の特集記事や毎日の生活に役立つ情報をお届けしていきます。
■ことば
アジア学生交流環境フォーラム(Asian Students Environment Platform)
イオン環境財団の岡田卓也理事長(90)が母校の早稲田大学と、文化活動などで親交がある中国の清華大学、韓国の高麗大学に提案して2012年に始まった。初回は日本で開かれ、「環境とは何か」という基本的な主題を掲げて東日本大震災で被災した岩手県田野畑村や世界遺産の中尊寺、京都などを訪れた。以後、フォーラムは韓国、中国、ベトナムで開催。参加校もベトナム国家大学ハノイ校、マレーシア・マラヤ大学、カンボジア王立プノンペン大学と回を重ねるごとに増えてきた。今夏は初参加のインドネシア大学を含め7大学の計84人が集う予定だ。
http://mainichi.jp/articles/20160725/ddm/010/040/070000c
国境を越えて若者たちが学び合う「アジア学生交流環境フォーラム」(主催・イオン環境財団、後援・毎日新聞社、中国青年報社、朝鮮日報社、トイチェ社)が8月3日、東京の早稲田大学で開幕する。テーマは「生物多様性と叡智(えいち)」。世界自然遺産の知床を擁する北海道をフィールドワークの中心にすえ、8日までの期間中、日本を含め7カ国の大学の学生たちが自然や野生生物と共生する道を探る。【明珍美紀】
「北の大地が育む自然や生態系は、都会に住む学生たちが普段、接しているものとは全く異なる。そんな北海道でも大規模開発や川の汚染などで環境が壊されてきた」と、プログラムの構成を担当した早稲田環境学研究所客員准教授の吉川成美さん(47)は言う。
「生物多様性の破壊が人々の暮らしや精神文化にどんな変化をもたらすのか。一度、壊した自然や絶滅の危機に追い込まれる野生生物をどう保全し、共生の道を探るのか。その実践例を北海道で見てほしい」
早稲田大での開講式の後、学生たちはユーラシア大陸と巨大な生態圏を共有する知床を歩く。また、国際保護鳥(国の天然記念物)のシマフクロウの生息地の復元を目指す標茶町などを訪ね、活動の担い手である「虹別コロカムイの会」のメンバーらと交流。「先住民の叡智」を学ぶためアイヌ民族と対話し、釧路市の猛禽(もうきん)類医学研究所代表で獣医師の斉藤慶輔さんの話を聞く。
「経済活動が生物多様性に深刻なダメージを与えてきた一方で、それらを再生しようとする動きがある。日本の経験はアジアでも教訓として引き継いでいく必要がある」と吉川さんは説く。
国際交流で視野を広げたい 韓国・李さんと台湾・〓さん
早稲田大の参加メンバーに、韓国の李相和(イサンファ)さん(21)=国際教養学部2年=と台湾出身の〓〓萱(チェンジーシュエン)さん(20)=同=が加わった。いずれも「日本のアニメをよく見た」といい、日本への好奇心が同大への進学につながった。
小5から高校まで米国のサイパンで過ごした李さんは「日本や中国だけでなくアジアのさまざまな学生と交流して視野を広げたい」と目を輝かす。〓さんの初の「北海道体験」は昨夏の旭川でのホームステイだ。「台湾も原発を抱えている。エネルギー問題についてみんなの意見を聞きたい」と話す。
マイECOの「マイ」は、「MY(私)」と「毎日新聞」の「毎」をかけたものです。健康医療・環境本部では、「身近なエコを分かりやすく伝える」をコンセプトに、環境関連の特集記事や毎日の生活に役立つ情報をお届けしていきます。
■ことば
アジア学生交流環境フォーラム(Asian Students Environment Platform)
イオン環境財団の岡田卓也理事長(90)が母校の早稲田大学と、文化活動などで親交がある中国の清華大学、韓国の高麗大学に提案して2012年に始まった。初回は日本で開かれ、「環境とは何か」という基本的な主題を掲げて東日本大震災で被災した岩手県田野畑村や世界遺産の中尊寺、京都などを訪れた。以後、フォーラムは韓国、中国、ベトナムで開催。参加校もベトナム国家大学ハノイ校、マレーシア・マラヤ大学、カンボジア王立プノンペン大学と回を重ねるごとに増えてきた。今夏は初参加のインドネシア大学を含め7大学の計84人が集う予定だ。
http://mainichi.jp/articles/20160725/ddm/010/040/070000c