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鉱物の部屋へのいざない

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擬態2

2018-11-09 12:12:41 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「擬態2」です。

このまえの日曜日、常連のNさんが、ひとつ前のブログ「擬態」に出したトリバガはブドウトリバ(チョウ目トリバガ科)らしい、と教えてくれました。Nさんは石だけではなく、動物や植物への関心度も高く、自宅にある昆虫図鑑で調べて下さったようです。店にいるだけで、お客さんから教えてもらえて、ありがたい、と思いました。それから、ブログを書いた後、Webの画像検索で、ネコの顔に擬態したガの写真を見つけて、非常に興味深く思いました。擬態には感動的な面白さがあり、もっと深く知りたいと思いました。

さて、前のブログでは鉱物が鉱物に擬態する鉱物同士の擬態について少し触れたのですが、鉱物が他の何かに似ているという現象も一種の擬態としてとらえる事ができるとすると、「石の華」的には、これはこのブログ的にメインテーマに成り得る大きなテーマではないか、と思ってしまいます。

「石の華」とは、言うまでもなく、鉱物結晶の事を言ってきたつもりです。「石の華」はよく「石の花」と間違えられてしまいますが、もちろん、花のように結晶した石を「石の花」とするならば、それも「石の華」の一部であって、いやいや、それは「石の華」のメインストリートにあるべき鉱物結晶の姿です。

今日の写真はブラジル産のフラワーアメシストです。





フラワーアメシストと呼ばれるアメシストの放射状結晶の集合体はそれほど珍しくはありませんが、本物の花のように整ったものは数少なく希少だと思われます。

どうでしょうか?これらは鉱物が花に擬態しているととらえる事が可能でしょうか?

思えば、水石の世界では菊の花のように見える菊花石は王道ですし、山形石・遠山石・島形石や滝石などは自然の風景に擬態していると言えそうです。茅舎(田舎の一軒家を連想させる形状の石)も然りです。水石の美の神髄は見立てにあり、それは広義の石の擬態としてとらえる事ができそうです。

それらを愛でるという事は石を観賞する人間の側のイマジネーションの中にある現象なのですが、そのように擬態している石の方にしてみれば、それにはどのような意味があるのでしょうか?もしかすると、人間に愛でられたい、とでも思っているのでしょうか?そんなはずはありません。それは、勝手な人間原理の過大解釈であって、そもそも、石には意思など、あるはずがありません。

鉱物の擬態、面白いテーマではありますが、それは、どうも、人間側の美意識のテーマなのだろうと思います。



コメント
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