ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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椅子

2014-11-14 17:25:23 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「椅子」です。私は石以外にも建築やインテリア等も好きな方です。特に「椅子」に関しては特別な想いがあり、自宅には部屋の広さに相応しくないほどの「椅子」がありますし、店の方の「椅子」に関してもある種のこだわりがあって置いております。(自宅の一室にはミッドセンチュリーを代表するエーロアールニオのボールチェアもありますし、店にはヴァーナー・パントンのコーンチェアとコンスタンティン・グルチッチのチェアワンを置いております。これらの「椅子」に関しては私の名古屋時代に住んでいたビルの2階に「WORKS ワークス」というヘアサロンがあって、そこのインテリアの影響を受けたかも知れません。)他にもミニュチュアでヴィトラ・デザイン・ミュージアム製のデザイナーズチェアを幾つか持っております。「椅子」のコレクションはどうしてもスペース的な制約がありますのでミニチュアで我慢せざるを得ません。

「椅子」が興味深いのはまず第一にはそのデザイン性にあると思います。良い「椅子」は美しいと思います。その次にはその座り心地だと思います。良い「椅子」は気持ちいいと思います。そのデザインと機能性は合致するのが最適だと思いますが、必ずしもそれらが両立するとは限りません。私はエルゴノミクス(人間工学)チェアにはそれほど興味はありません。むしろ、使い勝手が悪くとも見た目が美しいオブジェのようなイスの方を好む傾向があります。

そもそも、「椅子」という存在はある意味、矛盾した存在だと思います。それが見た目が美しい「椅子」だとしても座ると同時に座る本人はそれを見れなくなります。「椅子」とは本来、そのような矛盾を備え持つ存在なのです。その辺が「椅子」の持つ面白いところなのですが、どうも私の価値観は実用よりも美の方に重きを置いているようです。そのような価値観は「椅子」だけでは無いのかも知れません。「椅子」と同じように石に対しても同じような価値観を抱いていると思います。

さて、このブログは石のブログです。石(いし ishi)と椅子(いす isu)は少し音(おん on)が似ているかも知れませんが、それらは共に私の好物というだけで両者には何の関係性も無いと思います。あえて関係性があるとすると石製の椅子といったケースだけになるでしょうか。

ところが、両者に関係する面白い事実に出会いました。それは石の一種である石油の起源がシアノバクテリアであったという事実から来ます。それは微量の炭素同位体の計測の結果から証明されたようですが、いわゆる石油有機起源説の勝利です。石油は元々は化石燃料と言われていましたので、その通りだったという事でしょうか。太古のシアノバクテリアの行った光合成が地球の二酸化炭素を石油と酸素に変えたのです。そして、その光合成に関与したのがマンガンクラスターという結晶構造です。面白い事にその形がひしゃげた「椅子」のようなのです。ようやく今日の「椅子」に辿り着きました。

ここからは私の夢想です。太古のシアノバクテリアは太陽エネルギーで地球上の二酸化炭素から酸素と石油を造りました。そして現代は人類が石油と酸素を反応させてエネルギーをつくり二酸化炭素を排出しています。それは短期間の地球温暖化という弊害を生んでいます。その事を危機とした人類は今また人工光合成という技術を開発し、問題解決をしようとしております。二酸化炭素は人類にとっては有害なものです。人工光合成という技術の発展は食糧問題の解決策にもなります。さらに二酸化炭素から人工ダイヤモンドと酸素を作り出す技術も求められます。有害な二酸化炭素が有益な資源と成りうる訳です。

思うに、二酸化炭素は大気圏に放出されるだけではなく、海にも融けますし、石灰岩にもなります。他の炭酸塩鉱物に固定化する事も可能性があると思われます。自然界の物質循環だけではなく人工的な物質循環も可能かも知れません。

先日の「光る石」で書いたマンガンカルサイトは紫外線でピンク色に発光しました。不思議な事に光合成に関与したのはマンガンクラスターです。何か不思議な繋がりを感じてしまいます。そこに「椅子」の形があった事も不思議です。

二酸化炭素の物質循環と鉱物とマンガンと「椅子」、不思議な関係性を夢想しました。

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コンストラクタル法則

2014-11-11 18:07:42 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「コンストラクタル法則」です。「コンストラクタル法則」とは熱工学の学者であるエイドリアン・ベジャンが提唱する新しい物理法則の事です。それは何となくコンストラクションとフラクタルを合わせたような感じのする聞きなれない新語です。その法則は「流れとかたち―万物のデザインを決める新たな物理法則」(紀伊國屋書店 2013.9.20)という翻訳本に詳しく書かれています。その本の帯には「コンストラクタル法則」の定義として「有限大の流動系が時の流れの中で存続する(生存する)ためには、その系の配置は、中を通過する流れを良くするように進化しなくてはならない」とされており、生物・無生物を問わず、すべてのかたちの進化を支配している、というものです。

このブログでは、先日の「台風」、「流体力学」、「可視化」、「流れ」、「CG」という流れで主に流体の美について連続して書いてきたのですが、それを書いている最中に出会った本がその「流れとかたち」という本でした。そして、本日、ようやくその本を読み終わりました。(途中はかなり読み飛ばしましたが・・・)

今、その本を読み終わって「コンストラクタル法則」なるものが何となく分かった気がしております。ただ、それほど革命的理論なのか?という気持ちが残ってしまいました。この本のタイトルも内容も非常に興味深いものを感じた為に本を読んだのですが、読後の素直な感想は印象が薄いのです。それはどうしてかというと、書いてある事は当たり前の事なのです。「すべてはより良く流れるかたちに進化する」それも決定論という世界観の上に成り立っているようです。

それから、黄金比についても述べられていましたが、読んでいてそれほど面白く感じませんでした。それはなぜかと考えたのですが、どうもそこには「美」の視点が感じられないのです。「美」は有用だから美しいのではありません。「美」はそれほど単純なものではありません。確かに流線型は美しいとは思いますが、他にも「美」は存在します。その典型が鉱物結晶や幾何学的な多面体の「美」だと思います。

そもそも時間と言う次元が無くては流れはありません。結晶や多面体の美は時間とは独立した3次元的な「美」です。結晶には成長という時間軸がかかわるかも知れませんが、イデア的な多面体には時間軸は関係ありません。「美」には「用の美」以外にも純粋な「美」そのものの「美」があると思います。

「コンストラクタル法則」による未来予測も原理説明だけで具体的なかたちが見えておりません。原理原則主義では何も語っていない事と同じです。私的にはどうしても当たり前の事を当たり前に語っているようにしか思えませんでした。

残念ながら「コンストラクタル法則」には「フラクタル幾何学」の登場の時のような衝撃は感じられませんでした。

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ジョーズ

2014-11-10 15:24:13 | 日記・エッセイ・コラム

先ほど、今日のブログのテーマを考えているタイミングで、店の窓から外の空を見るとちょうどジョーズ雲が見えました。すぐにその写真を撮りました。雲の形は刻一刻と変化しています。すぐにその形は無くなってしまいましたが、そのジョーズ雲の写真から今日のブログのテーマを決めました。

Photo

「ジョーズ」は言わずと知れたスティーヴン・スピルバーグ監督の映画(1975年 アメリカ)です。「ジョーズ」はその強烈なイメージから映画史に残る作品となりました。その強烈なイメージとは口をあけた巨大ホオジロザメの姿です。今日の写真はその「ジョーズ」をイメージしてしまったジョーズ雲です。

「ジョーズ」をイメージするものは雲だけではありません。「ジョーズ岩」というワードで画像検索すると各地の「ジョーズ岩」の写真がたくさん出てきます。自然界には「ジョーズ」をイメージする岩や雲などがたくさんあるようです。もちろん「ジョーズ」をイメージするのは我々人間側の精神作用なのですが、そのように見えてしまう認知現象は面白いと思います。

そうそう、店の中にも「ジョーズ」をイメージするアメシストがありました。

Photo_2

これはブラジル産と思われるアメシストです。よくあるアメシストドームと違ってその形状が面白いと思います。アメシストの結晶がジョーズの歯に見え、あごの部分がメノウ化しており、ところどころにレインボーが見えます。口の奥の方にはカルサイトを噛んでいます。中々、味のあるアメシストドーム?だと思います。

思えば、「ジョーズ」はJAWS(あご)、味のあるタイトルだったと思います。

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いい石の日

2014-11-07 14:39:38 | 日記・エッセイ・コラム

来週の金曜日は11月14日で、語呂合わせで「いい石」となり、「石の華」では「いい石の日特別セール」を11月14日から11月20日までの1週間行いたいと思います。(11月19日は定休日となります。)セール期間中は鉱物標本、化石、隕石、水石、アクセサリー全品14%OFFと致します。

「石の華」では今年の4月以降も料金据え置き、内税のままにしておりますので、14%+3%=17%、実質17%OFFのセールとなります。この機会に是非ご来店ください。お待ちしております。

「石の華」では過去にもセールを行った事はありましたが、対象商品を全品にしたのは今年の3月の「ポルテ金沢20周年記念セール」の時だけでした。今回は受託商品も含めて全商品とします。当店の全ての商品は一品ものです。なくなり次第なくなります。全品早い者勝ち、となります。また、この期間中に限っては普段行っているお取り置きは中止させて頂きます。宜しくお願い申し上げます。

さて、この「いい石の日」は調べてみると、既に、山梨県石材加工業協同組合が1999(平成11)年に制定しておりました。それは「いい(11)石(14)」の語呂合せと、石工職人が尊ぶ聖徳太子の命日であるこの日を「太子講」としていたことから、という理由からだそうです。他にも何店かのパワーストーンのお店が記念日としてセールをやっておりました。今更ながらというアイデアかも知れませんが、私もこの種の記念日は好きな方です。語呂合わせは面白いと思います。当店はお店をやり始めて4年目に入っており、また何か新しい事をやりたくなって来ました。今回の「いい石の日」という記念日セールは結果次第では恒例化できるイベントです。皆様のご来店をお待ちしております。

「石の華」は元々、私の趣味の延長でやっているようなものです。大儲けしようとは思っていません。その辺の事はご来店経験のあるお客様もお分かりかと思います。当店は石好きさんとのコミュニケーションを大切にしたいと思っております。積極的に通販を行わないのはそのような理由からです。お店をやっている主な理由はお客様とのコミュニケーションであり、価値観の共有です。その辺が他店と大きく違う事だと思っております。

「いい石の日」が本来の意味での「良い石の日」になる事を願っております。

Poster


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スチームパンク

2014-11-06 11:47:49 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「スチームパンク」です。このブログでは過去に一件(「鉱物標本が出てくるゲームソフト」2012.07.23)だけ「スチームパンク」という言葉が登場する記事がありました。

私はいつもアマゾンで「鉱物」というキーワードで検索する習慣があるのですが、アマゾンの検索では引っ掛からなかった本がありました。それは「スチームパンク東方研究所4 理科趣味の部屋」(グラフィック社 2014.8.25)という本です。それはアマゾンとは別のサイトの検索で引っ掛かりました。

その本が気になって早速取り寄せました。「スチームパンク東方研究所」という本はこれまでに近くの本屋でも見た事があったのですが、私的にはそれほど気に留めるような本ではないと思っておりました。「スチームパンク」そのものはそれほど気になるテーマではありませんでしたが、この本の理科趣味の部屋という副題の方が「鉱物」と関係していたようです。

その本では国立科学博物館やインターメディアテクが紹介されており、さらに鉱物入門と題してきらら舎や東京サイエンスや翡翠原石館等も紹介されておりました。

この本の文脈からすると昨今の鉱物趣味も理科趣味の一部で、さらに「スチームパンク」というサイエンス・フィクション(SF)のサブジャンルのひとつの中に組み込まれてしまうような雰囲気です。確かに鉱物趣味は元々は欧米の貴族たちから始まり19世紀的な科学的ロマンスの影響を受けてきたとするとその根元には「スチームパンク」的な要素はあったのかも知れません。私の嗜好も無意識的に「スチームパンク」的な雰囲気を好んでいたのかも知れません。

そういえば、私は私の名古屋時代にはCOPPERS早川の作品や松岡ミチヒロ(その本にも出てきます。)の作品も購入していました。それらは私の鉱物趣味とは全く別の観点から気になったから購入したのであって、「スチームパンク」的な事を意識していた訳ではありませんでした。

鉱物趣味が「スチームパンク」の中に組み込まれてしまう事は何か面白くない気分がするのですが、無視できない事でもあるのは確かな事のようです。

スチームパンク東方研究所4 理科趣味の部屋
クリエーター情報なし
グラフィック社
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