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コンストラクタル法則

2014-11-11 18:07:42 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「コンストラクタル法則」です。「コンストラクタル法則」とは熱工学の学者であるエイドリアン・ベジャンが提唱する新しい物理法則の事です。それは何となくコンストラクションとフラクタルを合わせたような感じのする聞きなれない新語です。その法則は「流れとかたち―万物のデザインを決める新たな物理法則」(紀伊國屋書店 2013.9.20)という翻訳本に詳しく書かれています。その本の帯には「コンストラクタル法則」の定義として「有限大の流動系が時の流れの中で存続する(生存する)ためには、その系の配置は、中を通過する流れを良くするように進化しなくてはならない」とされており、生物・無生物を問わず、すべてのかたちの進化を支配している、というものです。

このブログでは、先日の「台風」、「流体力学」、「可視化」、「流れ」、「CG」という流れで主に流体の美について連続して書いてきたのですが、それを書いている最中に出会った本がその「流れとかたち」という本でした。そして、本日、ようやくその本を読み終わりました。(途中はかなり読み飛ばしましたが・・・)

今、その本を読み終わって「コンストラクタル法則」なるものが何となく分かった気がしております。ただ、それほど革命的理論なのか?という気持ちが残ってしまいました。この本のタイトルも内容も非常に興味深いものを感じた為に本を読んだのですが、読後の素直な感想は印象が薄いのです。それはどうしてかというと、書いてある事は当たり前の事なのです。「すべてはより良く流れるかたちに進化する」それも決定論という世界観の上に成り立っているようです。

それから、黄金比についても述べられていましたが、読んでいてそれほど面白く感じませんでした。それはなぜかと考えたのですが、どうもそこには「美」の視点が感じられないのです。「美」は有用だから美しいのではありません。「美」はそれほど単純なものではありません。確かに流線型は美しいとは思いますが、他にも「美」は存在します。その典型が鉱物結晶や幾何学的な多面体の「美」だと思います。

そもそも時間と言う次元が無くては流れはありません。結晶や多面体の美は時間とは独立した3次元的な「美」です。結晶には成長という時間軸がかかわるかも知れませんが、イデア的な多面体には時間軸は関係ありません。「美」には「用の美」以外にも純粋な「美」そのものの「美」があると思います。

「コンストラクタル法則」による未来予測も原理説明だけで具体的なかたちが見えておりません。原理原則主義では何も語っていない事と同じです。私的にはどうしても当たり前の事を当たり前に語っているようにしか思えませんでした。

残念ながら「コンストラクタル法則」には「フラクタル幾何学」の登場の時のような衝撃は感じられませんでした。

コメント
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