ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

サフィレット2

2013-12-06 15:14:55 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「サフィレット2」です。

一昨日のTYさんのコメントを読んでからサフィレットの事を調べている内で色んな事が分かって来たと同時に混乱も生じてきました。まるでサフィレットはミステリーのようです。

まず、TYさんのコメントに「サフィリールと聞いた気がします。」とあったので「サフィリール」でWeb検索してみたのですが、そのワードでは検索ができませんでした。それで、ウィキペディアの「サフィレット」に出ていた別名「サフィリーン」でWeb検索してみると天然鉱物サフィリーンが出てきました。

サフィリーンは“サファイヤのような石”という意味で、サフィリン(擬サファイア)とも呼ばれているマグネシウムとアルミニウムを豊富に含有している鉱物です。私はその現物を見た事がないのですが、チョッと質の悪いサファイアの原石のような写真が載っているサイトがありました。ただ、単斜晶系の鉱物なのですが六方柱状に結晶する事もあるようで、鉱物結晶好きには気になる存在です。そして、それはどうも希少石のせいかそのルースはかなり高価になるようです。

希少石で高価となると、人は人工的に造りたくなるものです。そのように考えると、人造宝石を造れる技術がなかった時代にはガラスでそのような模造品を造りたくなったのではないか?と考えてもおかしくありません。サフィリーンは19世紀には知られていた鉱物ですし、サフィレット製造は19世紀末頃のようです。サフィレットの起源はサフィリーンにあった可能性があると思いました。

因みにビーズの世界では一般的に、30年以上100年前までにつくられたものをヴィンテージビーズ、それ以前に作られたものをアンティークビーズと呼んでいるらしいのです。そういう意味ではサフィレットはアンティークビーズとなります。

Web検索でさらに「サフィレット」、「サフィリーン」を調べていくと面白い事が分かってきました。サフィレットはその発祥地チェコスロバキアでは1900年代初期に材料の金が高騰して製造が終わったそうです。サフィレットは製造工程や配合率が不明で、製造していたヤブロネッツの一族が途絶えてからは製造不可能となり、それで幻のガラスとなったようです。実はその後、1950年代にドイツでサフィレットの復刻版サフィリーンが製造されたようです。さらに面白いのは、フランスではサフィレットグラスの事をサフィリーングラスと呼ばれているらしいのです。それもその呼び名は1940年代を境に変わったそうです。そのような事情を鑑がみるとサフィレットは高価な天然石サフィリーンを模したガラスで人が造り出し、そのサフィレットは製造が途絶えた事で高価なガラスとして存在し続け、さらにその高価なサフィレットを模した別名サフィリーンが造られたようなのです。そして今、サフィレットとサフィレーンが混在しているようなのです。また、それらは混同されているようなのです。別名が多いのもそのような理由からかも知れません。

先日ヴィンテージビーズとして入手したサフィレットは、もしかするとサフィリーンかも知れないと思ってしまいました。なぜかと言うと、サフィレットはアンティークビーズですし、それはヴィンテージビーズとして入手したものなので、サフィリーンの可能性があります。どうも業者でも両者を混同している場合があるようです。

色んな写真を見る限り、サフィレットとサフィリーンは似ているとは言え、両者は違います。どうもサフィレットの方が濃い色合いのような気がします。

本当は、両者の違いは、それらの原物を見比べてみないと分からないのかも知れません。

ただし、それがサフィリーンだったとしてもそのものの価値は変わりません。サフィリーンも20世紀のミッドセンチュリーのものとしてのヴィンテージ価値があります。

私はアール・デコと同様にミッドセンチュリーのデザインが好きです。アール・デコのオパルセントガラス同様にミッドセンチュリーのサフィリーンガラスにもその時代感に好感を持ちます。

その色や質感に何となく60年代サイケデリック的な印象も感じてしまったのはそのせいだったのかも知れません。

アール・デコの時代もミッドセンチュリーの時代も戦争のない平和な時代でした。そのような平和な時代に造られたものが後世にも愛され続けていくのだろうと思います。

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
推理小説を読んでいるようで感動しました。 (TY)
2013-12-06 17:56:17
推理小説を読んでいるようで感動しました。
昔の話で記憶違いでサフィリーンが正しいと
思います。
凡地は始め宝飾加工工房の原石部門という位
置づけだったと思います。千駄木にあった時
は工房を通り抜けて奥の部屋が凡地でした。
その話も人造サファイアでこんなものもある
よと出してきたのがそれでどうしてこの「多
色性」が出るのか?だったように思います。
ダイヤより高いガラスがあるとは冗談だった
としてもショックでしたね。
サフィレットとサフィリーンが混在とは面白
かったです。ありがとうございました。
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