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鉱物の部屋へのいざない

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産地不明

2016-01-28 13:00:46 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「産地不明」です。久しぶりのブログ更新となります。このところ「書かない癖」がついてしまいました。

さて、「石の華」にも「産地不明」の鉱物標本がいくつかあります。鉱物標本の世界の価値観では「産地不明」は評価を落としますので、そのようなものには比較的安価な値段設定をしております。(「産地不明」のものは価値はゼロという意見もあるようですが、私は必ずしもそうだとは思いません。「産地不明」とはそのようになってしまった何らかの原因があるはずで、石そのものの価値とは関係ありません。価値がゼロというのは標本的な価値観しか認めないという偏狭な考えで、本来、石そのものは人間の価値観からは独立しております。)

「産地不明」となっている石は最初から「産地不明」だった訳ではありません。石は自然界から来たものなので、必ず産地があるはずです。「産地不明」になってしまったのは、その石がどのような経緯で流通してきたのか、という事に関わっていると思います。例えば、水石関係やパワーストーン系の人の価値観ではどうも「産地不明」にはそれほどこだわらないという意識があるような気がします。そのような価値観を通じて流通してきた石は「産地不明」となってしまいます。それから、古い標本などで、標本ラベルが紛失してしまって「産地不明」となってしまったものもあります。さらに、外国産鉱物ではその産出国の価値観によって産地情報を重要視していなかった場合などもあると思います。それらの何らかの理由で「産地不明」となっている石は意外と多いものです。

ただし、「産地不明」の石は今後も永遠に「産地不明」のままとは限りません。「産地不明」となっているのは産地が不明となっているだけであって、後に産地がわかる事があります。

「石の華」の常連さんであるOさんは、これまでにいくつかの「産地不明」の石の産地を突き止めました。その方法は二つの標本を比較検討する事によって、それらの結晶の色や形などや母岩部分の特徴から同一産地である可能性が高いと推定しました。それは「石の華」の石達を知り尽くしているからでもあって、これまでに店主の私も気づいていなかったケースが多々ありました。それらは、パソコンやスマホでのWeb情報で再確認でき、信頼性の高い産地情報となりました。このようなケースは非常にうれしい事です。

本来、石には産地があった訳ですから、「産地不明」とはその関係する側の都合で「産地不明」となっているだけであって、その石の産地がわかる事は我々にとっても石にとっても良かった事だと思います。

そういえば、グーグル開発ソフト「ディープマインド」の人工知能が囲碁のプロ棋士を破ったというニュースがありました。それにはやみくもに計算するのをやめ、膨大なデータを学習して判断能力を高めるAIの「ディープラーニング」と呼ばれる技術を組み合わせているらしく、「勝ちにつながる形」を覚えさせたりしているそうです。その技術は病気の画像診断など状況判断が必要な場面で応用できるそうです。という事は比較的近い未来には鉱物標本で「産地不明」の鉱物でも産地を特定する事にも応用可能だと思います。

そういう意味では「産地不明」とは今現在の状態であって、将来的にはAIの力を借りて、その本来あった産地を特定する事ができる時代が来てもおかしくない、という事です。

今後のAIの進化に期待したいと思います。

コメント
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