今日は今年2回目のブログ更新となります。このブログは基本的に「石の華」の店内でお客様のいない店番中に書いていますので、新年から中々ゆっくりと書けない日が続いておりました。うれしい事です。今日は久しぶりの更新となります。
今日は「地底」です。昨年末に興味深い本に出会いました。それは「地底-地球深部探検の歴史」(築地書館 デイビッド・ホワイトハウス著 江口あとか訳)です。私は新年からお客様のいない時間に店内でその本を読んでおりました。その一冊の本を読み終えるまでに何度も中断しながら読んできましたが、先ほどようやく読み終えました。読後の率直な感想は、読み応えがあり、満足感がありました。話題が豊富にあって、面白かったと思います。
その表紙はアタナシウス・キルヒャーの著書「地下世界」にある地球の中心の地図となっており、興味を惹かれましたし、ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」から150年目に書かれたというタイミングも読書欲を刺激されたと思います。
その内容は想像上のカプセルに乗って地表から出発し、地球の中心まで旅をする、といったものなのですが、地球内部の構造がただ直線的に語られるわけではなく、科学的発見に関わった人々がどのように発見したかと言う物語として展開しています。現在の地球科学的な知見は過去の数多くの人々の数多くのできごとよって成り立っているという事が良くわかりました。それは大河ドラマを見ているようでもあって、「地底」をテーマとした歴史ドラマができるような気がしました。実際にNHKかBBCあたりで制作してもらいたいものです。(著者は天文学者だったらしいので、「コズミック フロント」のような番組が最適かもしれません。)
「地底」では興味深かった地球のコアへの旅のあとは他の惑星や系外惑星へ、さらに地球の未来へと広がっておりました。それらの科学的事実に基いた想像は果てしなく広がっていきます。
最後の章では「科学というものは間違いからできているものなんだよ。だが、それはおかしてもいい間違いなんだ。そうした間違いによってだんだん真理に導かれるのだから」というリンデンブロック教授の言葉が紹介されています。地球史観は数々の新発見によって少しずつ事実に近づいてきた事を再認識する事ができました。
今回の地底旅行は、書きかけの物語で、永遠に書き換えられる果てしない物語である、という事を再認識しました。