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鉱物の部屋へのいざない

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黄鉄鉱5

2015-08-21 12:18:06 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「黄鉄鉱5」です。このブログでは「黄鉄鉱」の登場回数は多いのですが、タイトルになるのは「黄鉄鉱1」(2012.7.19)から「黄鉄鉱4」(2012.7.22)まで連続して書いた時以来、久しぶりとなります。

昨日、久しぶりに加賀市のSさんがご来店しました。お友達と二人でいらっしゃったのですが、「お久しぶりです。」と言いますと「3年ぶりくらいになります。」とおっしゃいました。どうも親御さんの不幸などがあったらしく、私の母も昨年亡くなった事をお話すると、お互いにそういう世代だったと共感しました。そして、一昨日放送していたNHKの「あさイチ」でやっていた「鉱物女子」の話題を出すと「それ、見ました。私の事だと思いました。」というお返事があり、面白く思いました。そんな久しぶりの会話の後は、一緒にいらっしゃった初めてご来店のお友達と十分時間をかけて店の石達をご覧いただきました。

今日の写真はその初めてご来店のお友達が選んだ黄鉄鉱です。昨日、写真を撮らせてもらいました。



それはショーケースの中ではなく、黄鉄鉱をまとめて入れてあるダンボールの箱に入れてあったもので、正直、私はその存在を忘れていました。それは安価な中国産の貫入結晶のひとつだったのですが、初めてのお客様にしては変なものを選んだと思い、あらためてそれを見直してみました。すると、そこに十字のカタチがあったのです。それまで私は全く気づいていませんでした。

思わず「アイアン・クロス!」と思ってしまいました。黄鉄鉱の貫入双晶である鉄十字の存在は知ってはいましたが、私はその写真を見た事があるだけでその現物を見た事がありません。まさか!店の中にあったとは思ってもいませんでした。「良いものを選ばれましたね!」というような話をしました。そして、「どちらの方ですか?」とお尋ねすると、「小松の菩提です。」というお返事でした。私は思わず「聖地の方ですね。」というような話をしました。事実、小松の菩提は加賀瑪瑙の産地として有名ですし、もしかすると加賀紫と称された紫水晶の産地であったかもしれないという特別な場所で、このエリアの石好きさん達にとっては聖地と言っても過言ではない場所だと思います。良い人に選ばれた!と思いました。

石と人との縁は面白いものです。私は過去にSさんが購入された水晶のポイントにマフラーのように巻き付いているローズクォーツの結晶の事を憶えています。それは「地球のしずくたち」というスミソニアン博物館所蔵の鉱物の本にそっくりさんが載っており、その写真のようなイメージが残っております。私は特別に印象の強い石はその購入者と共にしっかり憶えております。

今回は十字・黄鉄鉱と小松の菩提の方とのカップリングでした。記憶に残る組合せになると思います。

ところで、彼らが帰られた後、Webで黄鉄鉱の鉄十字を検索してみました。すると、今回のものは所謂アイアンクロスとは違うタイプのようです。もしかすると黄鉄鉱の鉄十字には複数のタイプがあるのかもしれません。例えば、多くの貫入結晶のものがみられる奈良県桜井市針道産の黄鉄鉱などをじっくり調べてみると面白いものが出てくるかもしれません。
コメント
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