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鉱物の部屋へのいざない

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黄銅鉱4

2013-01-26 12:36:09 | 日記・エッセイ・コラム

今日も「黄銅鉱4」です。

先日、何度か店にいらっしゃった事のある老人が「私は佐渡金山の金鉱石を持っている。」という話をされました。その金鉱石には幅2cm~3cm位の金の鉱脈が入っていて「昔の鉱山長からもらったものなので本物だ!」という話でした。

私はその話からすぐに「愚者の金」という別名の事が浮かびましたが、その場では話を聞き流しました。黄鉄鉱や黄銅鉱は金色をしているので、しばしば金と間違われます。条痕試験をすれば正誤がはっきりするはずですが、その老人は金であると信じ切っていました。いわく「鉱山長が金だと言った。」

人間の役職や権威は真実の前では何の役にも立ちません。その老人は以前にも普通の黄鉄鉱を「未知の鉱物」という事で見せてくれた事があります。人には自分の持っているものを過大評価してしまう傾向があるようです。

黄銅鉱の魅力はその金色にあるかも知れません。金色には人を惑わす力が宿っていそうです。

今日の黄銅鉱は敢えて金色ではない黄銅鉱を出します。

Dscf3238
Dashkesan mine,iron deposite,Minor Caucasus,Azerbaijan 黄銅鉱(Chalcopyrite)

これは三つの黄銅鉱の四面体結晶が絶妙なバランスで繋がっています。母岩部分の白い所は微小の水晶です。母岩部分にも他の小さな四面体結晶が付いています。これらの黄銅鉱の表面は酸化して金色ではなくなっていますが、内部は恐らく金色のままです。表面は青く黒ずんでいますが、よく見ると虹色が見えます。

Dscf3240
Dashkesan Rayonu,Azerbaijan 黄銅鉱(Chalcopyrite)

これは巨大な黄銅鉱の四面体結晶です。母岩部分には方解石と微細な水晶が張り付いて黄銅鉱を囲っています。この黄銅鉱の表面には緑青がコーティングされておりますが、内部は金色のはずです。

Dscf3245
Dashkesan mine,Azerbaijan,Kavkaz 黄銅鉱(Chalcopyrite)

これはとんがり帽子のような雰囲気の形をした黄銅鉱です。黄銅鉱の結晶としては巨大な方で、表面は青黒く酸化しておりますが、欠けている部分から内部は金色のままである事が分かります。

Dscf3206
Casapara mine,Huarochiri Pro,Peru 黄銅鉱(Chalcopyrite)

これは黄銅鉱の葉片状、板状結晶の群晶です。この標本の表面も酸化により汚れたようにも見えますが、その内側からは黄銅鉱独特の金色が見えます。

これらの黄銅鉱の見た目の色は地味な感じがしてしまいますが、実は内側に鮮やかで派手な金色を秘めているのです。そのように思うと、何と魅力的な石達ではありませんか!

コメント
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