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鉱物の部屋へのいざない

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枝分かれ

2013-01-11 11:52:34 | 日記・エッセイ・コラム

昨日は新たに運んできた標本のラベル作業でブログ更新をお休みしました。

今日は「枝分かれ」です。以前に「デンドライト」というタイトルで一度書いておりますが、今日は違った視点で書きます。

昨日のラベリング作業で、違う鉱物なのに、よく似た雰囲気を持つふたつの鉱物が偶然に並びました。そのふたつの鉱物は産地も違いますし、私が入手した時期・場所も異なっています。たまたま偶然に並んでしまっただけなのですが、そのような偶然も面白いものです。

Dscf3058

Cartagena Murcia,Spain 重晶石(Barite)

これがそのひとつです。重晶石の樹枝状結晶です。

Dscf3063

Dscf3080

Second Soviet mine,Dal'negorsk,Primorskiy,Russia 方解石・黄鉄鉱(Calcite/Pyrite)

これがその二つ目です。樹枝状結晶の方解石に5角12面体結晶の黄鉄鉱が付いています。このような共生も珍しいと思います。本当にダルネゴルスク産の鉱物には珍しいものが多いと思います。

両方とも脆く、触ったり運ぶのが怖かった為でしょうか、今まで残されたままでした。

このふたつの鉱物に共通しているのは「枝分かれ」です。「枝分かれ」のかたちは所謂デンドライトです。よくあるデンドライトは忍石のような二次元的な「枝分かれ」だと思いますが、今日のこのふたつは立体的な樹枝状結晶です。

このような樹枝状結晶は魅力的です。「枝分かれ」は自然が創り出す美しいパターンだと思います。

「枝分かれ」という一冊の本を思い出してしまいました。私はその本をまだ「積ん読」状態なのですが、興味深いテーマだけに是非とも読まなければならないと思っています。

「枝分かれ」は「かたち」と「流れ」に続くフィリップ・ボール著の自然の美をテーマとした三部作の完結編です。それらは一昨年から3冊続いて早川書房から翻訳出版されています。美しい写真や図版と共にそれらをテーマにした文章が続いています。そこには自然界を貫く共通性が見出せる、という主張があるようです。共感できます。

私はフィリップ・ボール著の本は「水」の本等、他にも持っていました。またビル・アトキンソンの「WITHIN THE STONE」に載っているエッセイ・詩の作者のひとりとしても登場しておりました。今回あらためて調べてみるとフィリップ・ボール氏はサイエンスライター・劇作家で英科学誌「ネイチャー」の編集者でもあった人でした。私はこれまであまり意識してきませんでしたが、注目すべき人のひとりだと思います。

昨日の標本ラベル作業から「枝分かれ」という本の事を想ってしまいました。








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