アイルランドで、いちばん日本人に会う確率の高い場所が、アラン諸島のイニシュモアだと誰かに聞いた気がします。確かに、アイルランドの強烈なイメージといえば、イニシュモアの断崖絶壁ダン・エンガスを思い浮かべる人は多いかもしれません。
かくいう私も、2度目のアイルランド旅行で、いちばん行きたかったのがアラン諸島でした。
92年1月。イニシュモアの港に着いたのは夕方6時すぎで、あたりは暗~くなっており、なにやら心細い感じ。私の乗ってきたフェリーには観光客などまったくいなかったようで、ひと握りの乗船者たちは港に着くなり、お迎えに来ていた人たちの車で、あっという間に立ち去ってしまいました。港にぽつんと私ひとり。カメラの三脚やら大きなバッグを抱えたまま取り残されて、いや、どうしたもんだか。
ゴールウェイのツーリストインフォメーションで、宿の予約だけはしていたものの、その宿が、いったいどっちの方角にあるのやら、見当もつきません。
ほとんど、あてずっぽうで歩き出して、しばらくすると、海沿いの道を絵に描いたような「酔っ払い」が、ふらふらと歩いています。アランセーターに帽子をかぶったフィッシャーマンとおぼしき彼は、なかみが三分の一ほど残ったウイスキーだかウォッカだかのボトルを握りしめて、左右に大きく蛇行しながら、ゆっくりと坂道をのぼっていきます。追い越すのもためらわれ、後ろを着いて行く形になって、しばし。
他に、宿への道をたずねられるような人も、まったく見当たらないし、ましてや、この酔っ払いおじさんに聞くのはなぁ・・と、困り果てました。
さらに歩いたところで、これはもう彼に聞くしかないな、と意を決し「エクスキューズ・ミー」と声をかけてみると。これがもう、すごく親切な酔っ払いで、「おー、俺についてきな」と、宿まで送りとどけてくれたのでした。
宿は民家ではなく、こじんまりとしたホテルの体裁で、観光客もいない真冬にオープンしていただけで、私にとっては超ラッキー。確か、宿代は朝食込みで10アイリッシュポンド。3000円くらいだったように記憶していますが、どうだったろう?
バスルームは共同。バスタブの回りに絨毯が敷きつめてあるクラシカルなつくりで、趣きはあるのですが、じっとりと湿っている感じ・・・。お湯はちゃんと出るのかな、と着替えを抱きしめてチェックしていると、バスタブのへりをささささっとフナムシが走り去った!!
ロンドンの安宿で、同じような様式のお風呂につかっていたときに、同じような感じでゴキブリが通りすぎるのを見たときは、そっかーロンドンにもいるのね、と落胆しましたが、アイルランドにはゴキブリがいない!というのは私にとって、ものすごく得点が高いのです。そういうなかで、初めて見ました。室内を走るフナムシ。ゴキブリよりははるかにマシだけども・・・。
旅好きには、何を軟弱なと言われそうですけども、キラーニーから半日かけて移動してきた後、ほとんどフォビア(Phobia)といってもいいくらいのムシ嫌いが、風呂場でフナムシをガマンする余裕は残っておらず、その夜はお風呂をスキップして、夕飯を食べに出かけることにしたのですが・・・
・・・珍しくこの項、翌週に続く。
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92年1月。初めて渡ったイニシュモアの港。 |
92年1月。イニシュモアの港に着いたのは夕方6時すぎで、あたりは暗~くなっており、なにやら心細い感じ。私の乗ってきたフェリーには観光客などまったくいなかったようで、ひと握りの乗船者たちは港に着くなり、お迎えに来ていた人たちの車で、あっという間に立ち去ってしまいました。港にぽつんと私ひとり。カメラの三脚やら大きなバッグを抱えたまま取り残されて、いや、どうしたもんだか。
ゴールウェイのツーリストインフォメーションで、宿の予約だけはしていたものの、その宿が、いったいどっちの方角にあるのやら、見当もつきません。
ほとんど、あてずっぽうで歩き出して、しばらくすると、海沿いの道を絵に描いたような「酔っ払い」が、ふらふらと歩いています。アランセーターに帽子をかぶったフィッシャーマンとおぼしき彼は、なかみが三分の一ほど残ったウイスキーだかウォッカだかのボトルを握りしめて、左右に大きく蛇行しながら、ゆっくりと坂道をのぼっていきます。追い越すのもためらわれ、後ろを着いて行く形になって、しばし。
他に、宿への道をたずねられるような人も、まったく見当たらないし、ましてや、この酔っ払いおじさんに聞くのはなぁ・・と、困り果てました。
さらに歩いたところで、これはもう彼に聞くしかないな、と意を決し「エクスキューズ・ミー」と声をかけてみると。これがもう、すごく親切な酔っ払いで、「おー、俺についてきな」と、宿まで送りとどけてくれたのでした。
宿は民家ではなく、こじんまりとしたホテルの体裁で、観光客もいない真冬にオープンしていただけで、私にとっては超ラッキー。確か、宿代は朝食込みで10アイリッシュポンド。3000円くらいだったように記憶していますが、どうだったろう?
バスルームは共同。バスタブの回りに絨毯が敷きつめてあるクラシカルなつくりで、趣きはあるのですが、じっとりと湿っている感じ・・・。お湯はちゃんと出るのかな、と着替えを抱きしめてチェックしていると、バスタブのへりをささささっとフナムシが走り去った!!
ロンドンの安宿で、同じような様式のお風呂につかっていたときに、同じような感じでゴキブリが通りすぎるのを見たときは、そっかーロンドンにもいるのね、と落胆しましたが、アイルランドにはゴキブリがいない!というのは私にとって、ものすごく得点が高いのです。そういうなかで、初めて見ました。室内を走るフナムシ。ゴキブリよりははるかにマシだけども・・・。
旅好きには、何を軟弱なと言われそうですけども、キラーニーから半日かけて移動してきた後、ほとんどフォビア(Phobia)といってもいいくらいのムシ嫌いが、風呂場でフナムシをガマンする余裕は残っておらず、その夜はお風呂をスキップして、夕飯を食べに出かけることにしたのですが・・・
・・・珍しくこの項、翌週に続く。
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