アイルランド生活ブログ - 生活・料理・留学の情報満載 -

アイルランド在住者(精通者)によるアイルランド生活の情報を発信中!!

松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「アラン島の思い出」

2007-05-07 20:48:16 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 アイルランドで、いちばん日本人に会う確率の高い場所が、アラン諸島のイニシュモアだと誰かに聞いた気がします。確かに、アイルランドの強烈なイメージといえば、イニシュモアの断崖絶壁ダン・エンガスを思い浮かべる人は多いかもしれません。

92年1月。初めて渡ったイニシュモアの港。
 かくいう私も、2度目のアイルランド旅行で、いちばん行きたかったのがアラン諸島でした。

 92年1月。イニシュモアの港に着いたのは夕方6時すぎで、あたりは暗~くなっており、なにやら心細い感じ。私の乗ってきたフェリーには観光客などまったくいなかったようで、ひと握りの乗船者たちは港に着くなり、お迎えに来ていた人たちの車で、あっという間に立ち去ってしまいました。港にぽつんと私ひとり。カメラの三脚やら大きなバッグを抱えたまま取り残されて、いや、どうしたもんだか。

 ゴールウェイのツーリストインフォメーションで、宿の予約だけはしていたものの、その宿が、いったいどっちの方角にあるのやら、見当もつきません。

 ほとんど、あてずっぽうで歩き出して、しばらくすると、海沿いの道を絵に描いたような「酔っ払い」が、ふらふらと歩いています。アランセーターに帽子をかぶったフィッシャーマンとおぼしき彼は、なかみが三分の一ほど残ったウイスキーだかウォッカだかのボトルを握りしめて、左右に大きく蛇行しながら、ゆっくりと坂道をのぼっていきます。追い越すのもためらわれ、後ろを着いて行く形になって、しばし。

 他に、宿への道をたずねられるような人も、まったく見当たらないし、ましてや、この酔っ払いおじさんに聞くのはなぁ・・と、困り果てました。

 さらに歩いたところで、これはもう彼に聞くしかないな、と意を決し「エクスキューズ・ミー」と声をかけてみると。これがもう、すごく親切な酔っ払いで、「おー、俺についてきな」と、宿まで送りとどけてくれたのでした。

 宿は民家ではなく、こじんまりとしたホテルの体裁で、観光客もいない真冬にオープンしていただけで、私にとっては超ラッキー。確か、宿代は朝食込みで10アイリッシュポンド。3000円くらいだったように記憶していますが、どうだったろう?

 バスルームは共同。バスタブの回りに絨毯が敷きつめてあるクラシカルなつくりで、趣きはあるのですが、じっとりと湿っている感じ・・・。お湯はちゃんと出るのかな、と着替えを抱きしめてチェックしていると、バスタブのへりをささささっとフナムシが走り去った!!

 ロンドンの安宿で、同じような様式のお風呂につかっていたときに、同じような感じでゴキブリが通りすぎるのを見たときは、そっかーロンドンにもいるのね、と落胆しましたが、アイルランドにはゴキブリがいない!というのは私にとって、ものすごく得点が高いのです。そういうなかで、初めて見ました。室内を走るフナムシ。ゴキブリよりははるかにマシだけども・・・。

 旅好きには、何を軟弱なと言われそうですけども、キラーニーから半日かけて移動してきた後、ほとんどフォビア(Phobia)といってもいいくらいのムシ嫌いが、風呂場でフナムシをガマンする余裕は残っておらず、その夜はお風呂をスキップして、夕飯を食べに出かけることにしたのですが・・・

 ・・・珍しくこの項、翌週に続く。


★松井ゆみ子さんのプロフィールはコチラから★
☆「松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー」投稿一覧はコチラから☆

⇒「松井ゆみ子さんの著書はコチラから購入できます!」