いぬぶし秀一の激辛活動日誌

おかしな議員[わんちゃん]の激辛日誌です。日々感じたこと、活動報告、行政への提言など、本音で書き込む人気ブログです。

区長の多選自粛条例案に反対討論

2007-09-26 | Weblog
区長多選自粛条例案に反対討論

 本日の本会議に上程された、区長の多選自粛条例案に反対の討論を行った。(賛成したのは自民、公明、民主の各会派と荒木議員)

 私、犬伏秀一は、ただいま上程されました第93号議案、大田区長の任期に関する条例に反対の立場から討論を行います。
 松原忠義区長は、区長選挙を通じ、区民有権者に対し「多選」の弊害を訴え、自ら3期で出馬しないことをマニフェストに掲げられ、民意の信託を得て当選を勝ち取られました。これは、西野大田区政、石原東京都政というそれぞれ強力なリーダーシップを持った首長のもと、区議会議員、都議会議員として関わった松原区長の深い憂慮と高い識見の結果であろうと、と大いに評価するものであります。
 
 地方分権の今日、首長の権限、責任が増大し、多くの弊害が指摘されております。一人の者が長期にわたり首長の座につくことにより、①政治が独裁化する②人事が偏向(側近政治化)する③利益団体等との癒着がはじまる。それらの結果、行政が停滞する、職員の士気が低下する、イエスマンが台頭するなどであります。
 
 そこで、埼玉県や川崎市、杉並区などが県知事あるいは市、区長の多選自粛条例をすでに制定をしているところであります。
しかしながら、いずれも憲法の職業選択の自由、法のもとの平等、公職選挙法への抵触を避けるため「自粛努力」に限定している点が特徴であります。
 
 憲法第94条ならびに地方自治法第14条において地方自治体は条例制定権について保障されており、地方自治体の義務や制限などは条例の定めるところによらなくてはならないとされております。
しかるに、いかなる条例も日本国憲法、またそのもとに公布された法律との整合性が求められるのは言うまでもありません。

 総務省の首長の多選問題に関する調査研究会は、首長の多選禁止については、憲法に抵触するものではない、との報告書を本年5月に発表し、国会レベルでの多選禁止に合憲とのお墨付きを与えましたが、いまだ識者の間では合憲、違憲双方の議論がなされていることも現実であります。

 さて、そこで、本条例の条文を精査してみますと、付則に本条例は平成19年10月1日現在区長の職にあるもの、との文言がございます。当初提案された条例案には、この付則、文言がなかったのですが、当初案を撤回され、再提出された案文に付け加えられたものであります。よく解釈すれば、松原区長が後任の区長の任期につき牽制するのは僭越であると熟慮された結果とも思えます。反面、選挙向けのパフオーマンス、一部会派へのリップサ-ビスという見方も出来るのであります。実際に、そのような疑義から神奈川県議会において、松沢知事に限る多選自粛条例が、自民党、公明党の反対により否決されているのです。
 
 そもそも、わが国の憲法および地方自治法、判例などは一個人を特定しての法律、条例の制定を想定しておりません。たとえば、大田区民犬伏秀一は終生離婚しないよう努めよ、という条例がはたして、ありえるでしょうか。
他自治体の例を見てみましょう。杉並区では対象を現区長に特定しておりません。お隣川崎市については、条例を期限付きとし平成25年11月18日限りとしておりますが、この日まで現市長が市長であり続ける保障はありませんので、特定の個人を対象としていないと言えるでしょう。ところが、本日上程された条例案では、その対象を松原現区長に限定しているのであります。

 この付則をつけたことにより、本条例案は、評価すべきものから、きわめて個人的パフオーマンス、選挙用といった色彩が濃い、さらには法令に抵触する可能性すらあるものへと崩れ去ったのであります。松原区長が区政改革に本気で立ち向かわれ、3期お勤めになった結果、多くの区民から再登板の要請があったとしたら、どうされるのでしょうか。反面、次回選挙において残念ながら破れた場合は、この条例はその存在意味を失います。

 であるとすれば、ご本人が機会あるごとに「多選自粛」を訴えられ、冒頭申し上げたような多選の弊害を常に念頭におきながら、自らを律する姿勢こそ望まれる大田区長の姿であろうと思います。

 付け加えて申し上げるならば、総務財政委員会における大田区議会民主党の討論は、ほとんどが本条例案に反対する内容でありました。しかしながら、区長与党という名のもと、賛成に回られた心情は察するにあまりあるのであります。このこと、つまり、強大な権力を持つ首長の与党でいることに価値を見出すことが、結果として首長の多選の弊害を助長していると申し上げたら言いすぎでありましょうか。

 以上申し述べました理由から、松原忠義氏個人に限定するという、わが国憲政史上稀有な条例案には到底賛成することが出来ないのであります。すでに賛成の意思表明をされている同僚議員各位の良識にお訴えし、反対討論といたします。



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