いぬぶし秀一の激辛活動日誌

おかしな議員[わんちゃん]の激辛日誌です。日々感じたこと、活動報告、行政への提言など、本音で書き込む人気ブログです。

政策なき教育委員増員に反対討論

2009-12-08 | Weblog
 改革110番、犬伏秀一でございます。
私はただいま上程されました、第106号議案、大田区教育委員会の組織に関する条例につき反対の立場から再び正しい討論をいたします。賛成の意思を表明されている多くの大田区議会議員の翻意を期待するものであります。

 本議案は、大田区教育委員会委員の定員を現行の5名から1名増員をして、6名にするものでございます。平成19年6月27日に公布された「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」によれば、教育委員会委員の定員は、改正前は5名であったものが、改正後は、5名の定員は変わらず、但し書きにおいて「6人以上にすることが出来る」、と定めたのであります。さらには、「保護者であるものを含まれるようにしなければならない」、と保護者からの任命について改正前の「努力義務」から「ねばならぬ」と強制化したのです。
 大田区教育委員会事務局の説明によれば、平成19年7月31日付、19文科発第535号 文部科学事務次官通知により、「改正法施行後初めて委員を任命する際に、保護者であるものを任命せよ」、と示されているため、今回定員増とするとのことであります。
 現在の大田区教育委員は、大田区職員の身分を兼ね備えた教育長、学識経験者として弁護士、この方は以前、保護者でありました。また、社会教育団体からの委員として、長くPTA、青少年対策委員を経験された方、学校医たる医師、教育関係者として私立学校長、という構成であります。
 今般、このうちの2名が4年の任期を終えることになり、その再任又は、同じ出自の委員の選任と、保護者からの委員の任命という、困窮した状況打開策として考案されたのが、本議案であるとしか思えないのであります。
 先般、大田区の若手職員主催で政策フオ-ラムが開催されました。若手職員が政策に興味を持つことは大変結構なことではありますが、残念ながら、大田区においては、個別の施策が、政策と勘違いされているケ-スが後を絶ちません。政策とは、「大田区をこんな街にしたい」「大田区の教育をこんなふうにしたい」という理念がなくてはなりません。その意味からは、この教育委員の定員を1名増やすための政策が一切議会には示されてはいません。政策とは「何をするために、教育委員を1名増員するのか」、「1名増員すると何がどう変わるのか」、という事であります。
 所管委員会で示された増員の理由は、平成19年の国の法律改正で、保護者からの委員を選任しなければならない、と定められたこと、教育委員の定員を6名以上にしてもいいとの法改正があったこと、という事実だけであります。これでは、中央集権国家の地方自治体は国の言うことを聞いていれば間違いがない、という旧態依然とした「考えない」ことを訓練された地方官吏と言われても仕方がないでしょう。
 さらには、はたして、教育委員なる人々が本当に必要なのか、の議論も必要でしょう。月額報酬は、常勤の教育長は785000円、非常勤の委員長が月額297000円、同じく非常勤の委員247000円であり、定例会月1回、協議会月1回、それぞれ約2時間程度と所管委員会で報告がされました。
 インタ-ネット、ウイキペデイアからの情報によれば、教育委員会制度は、戦後、連合国司令部の要請で米国からの教育使節団が、昭和21年3月に来日、同年3月30日に設置勧告をされ、文部省は昭和23年に教育委員会を設置したものです。この制度は、教育行政の地方分権、民主化、自主性の確保の理念、とりわけ、教育の特質にかんがみた教育行政の安定性、中立性の確保という考え方の下に、教育委員会法によって創設されたものです。地方自治体の長から独立した公選制・合議制の行政委員会で、予算・条例の原案送付権、小中学校の教職員の人事権を持ち合わせていたのですが、「教育委員選挙の低投票率、首長のライバルの教育委員への立候補・当選、教職員組合を動員した選挙活動」などにより、教育委員会は発足直後から廃止が主張されていました。
 昭和31年には、教育委員会に党派的対立が持ち込まれる弊害を解消するため、公選制の廃止と任命制の導入が行われ、教育長の任命承認制度の導入、一般行政との調和を図るため、教育委員会による予算案・条例案の送付権の廃止を盛り込んだ地方教育行政法が成立したのです。
 確かに、米国における教育委員会は行政部局から人事、予算面を含め完全に独立した組織を保っておりますが、我が国においては、残念ながらその制度だけが導入されたのであります。「教育の特質にかんがみた教育行政の安定性、中立性の確保」とありますが、本区においての教育長は、大田区幹部職員の最後の花道が恒例化しており、事務局職員は全員、大田区職員で、異動があれば区長部局に戻る訳ですし、教育長を含め委員は区長が選任する訳ですから、はたして「中立性」が確保されるのでしょうか。
 当然、区長に選任された教育委員は、区長に対し「精神的ロイヤリテイ」が生まれるでありましょうし、区長がいやがること、例えば新しい歴史教科書の採択等するはずもないのは当然でありましょう。さらに、前任の教育長に対しては、区執行部が強力に退任を強要した話など、もはや、独立性、中立性はないのではないか思われるのです。
 大阪府知事の「クサレ教育委員会」発言や、民主党による「廃止論」など、なぜ教育委員が必要なのか、月4時間の会議で、247000円を支払うことで、どのような活動をしているのか、アカウンタビリテイ(説明責任)を果たさなければなりません。
 そのような趣旨の私の委員会質問に、大田区教育委員会下遠野茂教育総務課長は「定例会だけでなく、卒業式など学校行事にも顔を出していただいている」と、教育委員の「必要性」を力説されたのですが、まったく、説得力に欠ける理由と断じざるを得ません。
 改めて、申し上げます。政策とは、さらに議案とは、「このような大田区を作りたい」、そのための手段として、「このような方法をとりたいが、区民の代弁者たる議会はどう考えるか」、というものであるべきです。単にいいか悪いかでは、地方分権時代の行政と議会の関係として、はなはだお粗末と言わざるを得ません。
 以上申し述べたように、本議案からは、なんら「大田区の教育に対する政策」が見えてこないのです。員数あわせ、任期切れ教育委員の再任もしくは、その出自を同じくする新委員の数を確保するためとしか思えない本議案には、到底賛成することが出来ないのであります。
 議員各位にお訴え申し上げます。二元代表制の一方である、議会の大きな権能を、首長のたかだか補助機関たる行政職員に左右されることのないよう、議論を尽くしてまいりましょう。そのことが、地方分権の最も重要な課題であると思っております。
 なお、本議案が可決されれば、即刻上程されるであろう、教育委員3名の選任同意議案については、私は採決に加わらず退席をするつもりであることを申し添えておきます。私は、現教育長の教育委員選任同意議案には、その属人的理由により反対をいたしました。しかし、今回は、新たに区長より推挙されるであろう教育委員候補の方々について、その方々の選任そのものを否とするものではないからであります。
 以上、第106号議案に対する私の反対討論といたします。

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