いぬぶし秀一の激辛活動日誌

おかしな議員[わんちゃん]の激辛日誌です。日々感じたこと、活動報告、行政への提言など、本音で書き込む人気ブログです。

平成18年度決算賛成討論

2007-10-10 | Weblog
 ネット・無所属・自由連合は、ただいま上程されました第68号議案平成18年度大田区一般会計歳入歳出決算及び第69号から72号にいたる特別会計歳入歳出決算を認定することに賛成をいたします。この際、いくつか問題点の指摘および要望をしておきたいと思います。
 
 平成18年度は、大田区長期基本計画いわゆる2015に基づいた3ケ年実施計画の最終年度、また、区役所の体質改善を目指した「経営改革プラン」の最終年度。さらには、5期20年続いた西野区政の最後の一年という、様々な意味での総括の年度でありました。
 
 その結果、実施計画75事業のうち67事業が完了し、土木事務所、公園管理事務所各3ケ所の業務委託、保育園6園の民営化などをはじめとして多くの成果をあげたことはおおいに評価できるものといえます。また、職員定数の見直しでは、3年で547名の職員を退職不補充により削減し、累積削減額は57億円あまりとなったことは、前政権のもと、心ある大田区職員各位の協力と努力の賜物と敬意と謝意を表したいと思います。
 
 ところが、今、庁内では「適正化」という前政権のキャッチフレーズを使うことがタブ-となっていると聞きます。また、松原区長のもと、大田再生プランが策定されました。再生とは辞書をひきますと「死にかかっているものをいきかえらせること」または「再び生まれ変わること」とあります。過去を全否定するようなこの文言は問題です。20年間続いてきた長期政権をささえてきたのは、そしてその施策に賛成し続けてきたのは、他でもない松原区長誕生に貢献された多くの区議会議員なのです。良いことは認め継続し、問題のあることは中止する潔い姿勢がリーダーには求められます。
 
 さて、平成18年度一般会計決算では実質収支が昨年度より10億6867万円増の82億9517万円となり、財政が好転しているかの印象を与えますが、歳入における特別区税の増73億6404万円、特別区交付金増64億8943万円の影響が極めて大きいことを忘れてはなりません。すなわち、いささかの個人所得の減があれば、実質収支はあっという間に下がってしまうのです。したがって、来年度当初予算策定にあたっては、決してこの数字や基金残高に甘んじることなく、必要なものを最小の予算で執行する今までの流れを継承すべきであります。
 
 また、人件費のうち時間外勤務手当は昨年より10%以上削減され、8億7466万円にとどまったことは特筆に価することであると思います。さらには、各課の書庫が文房具屋の倉庫ようだった過去を反省した文房具類のカタログ注文は、その効果をあげ、4000万円を超える削減効果と、納品まで2ケ月もかかっていたための過剰在庫も一掃されたのは結構なことで、引き続き継続されるべきであります。
 
 反面、問題のある執行も数多く見受けられました。まず大きな問題として、大森北開発計画をあげなければなりません。本計画は、公用・公共用目的のために、区民の財産である区有地に遊休地を加え、足りない分は現金で決済し、NTT開発所有地と土地交換したものであります。本決算においては、交換後の土地の事業計画についての調査委託費約1100万円が執行されておりますが、この調査により出た結論は「建物譲渡条件付30年定期借地権」でしたが、実際にはこの結論を無視し、50年の定期借地権とし、区民とのワークショップの結果や、北センターを移転する前提で行った区議会が採択した陳情をも無視していることは大問題です。
 
 さらには、この変更の意思決定経緯はいまだに明らかにされておらず、区民への説明責任をはたしておりません。この事業の大幅見直しは、新区長になられてからのものであることが、決算特別委員会の審査で明らかになりました。であるとすれば、民間出身の区長であるからこそ、この経緯をわかりやすく説明すべきであると考えます。不透明な密室で決定する時代は終わったのです。そして、区政の透明性の担保こそが、松原区長が懸念されていた長期政権の弊害なのです。つまり、区長の想いを具現するためには、多選自粛条例よりも、重要事項の決定過程の開示こそ重要だと考えます。
 
 土地交換は、本区の土地交換条例に基づき執行されたとの答弁を得ていますが、土地交換として許されている公用・公共用目的の範疇を逸脱しているのではないかという疑義のあるところです。公用・公共用としてはその床面積があまりにも狭い、賑わい創出というには中途半端な本計画を改めて原点に立ち返り再検討すべきです。
 
 10月1日から大田区ではプラスチックが可燃ごみになりました。松原区長の環境に対する高い意識が施策に反映されない状況を憂慮するものであります。温暖化・健康への影響を最小限に食い止め、清掃工場を将来的に削減していく方向性を明確にするために、そして、区民の混乱を最小限にとどめるためにも、一日も早く容器包装リサイクル法対象の、その他プラスチックのリサイクルをスタートさせるべきです。その決断こそ、小学校校庭の芝生化などより、3期の任期全う後も永きにわたり「環境区長」として名を残されることと思われます。どうか既定路線を変えることを嫌うお役人に迎合しない「民間区長」を具現されますよう強く要望いたします。
 
 仮称上池台小池公園で本年夏、お魚さんたちが多数お亡くなりになりました。これは、ミネラルオーシャンという名称の生石灰を主成分とする環境浄化剤を9000平方メートルに27トンも散布し、汚泥を攪拌したことによる酸欠死でした。製造元のホームページによる各地の施工例では平米あたり100グラムから300グラムの散布が標準と書いてありました。委託業者に、千葉の釣堀業者だと言って標準使用量を尋ねましたところ、平米500グラム程度で、多くても1キロとの回答がありました。それが、大田区の小池では、なんと平米3キロもの薬剤を散布したのです。
 
 さらに問題なのは、この散布に先立って、複数の調査が行われているにもかかわらず、その調査結果は、この散布業者には知らされていませんでした。調査には、池の浅い部分と深い部分とで酸素濃度が異なっていることが明記されており、攪拌すれば、池の酸素濃度が低下し、生物に影響を与えるであろうことが容易に推測できるものでした。結果として、専門知識を有するという理由で随意契約を行った散布業者も、また調査を委託した区もこの調査結果を活用することができず、多数のお魚さんがこの世を去るという結果を招いてしまいました。いったい何のための調査だったのでしょうか。複数の調査が相互に有機的に活用されることなく、調査そのものが仕事だった好例です。また委託業者選定も、業者からの売り込みにより1000万円を超えるこの契約を随意契約で行うなど、小池の水より不透明です。こうした調査を基に決定した小池をセメントで固めプール化する工法そのものが果たして最善であったのか、工法選定の有効性さえもが疑わしくなるところです。
 
 新区長になられて、様々な調査委託をされているようですが、調査することが目的にならないよう、その結果の公開はもとより、関係部局の全庁的な情報の共有が必要です。
 
 残念なことに、大田区の情報公開は決して透明性の高いものとはいえません。区役所や区職員が持っている情報は、個人情報などを除き、実は区民からその情報の所持を委託されているものであることを忘れてはなりません。このことを管理職のみならず、全職員が改めて認識することが求められます。
 
 本日で、第三回定例会が終了します。松原区長と区議会議員8名は米国セーラム市へ親善訪問に出かけ、野田副区長と森特命担当部長および議員7名は北京市朝陽区へ、さらに清水経営管理部長はタイへ、また区議会議員10名はヨーロッパに視察に出かけます。その総額は約1800万円、すべて区民の税金です。はたして、区内に問題が山積する今日、区の錚々たる幹部や区議会議員が海外に出かけている場合でしょうか。
 
 松原区長は選挙戦を通じ「民間出身」をキャッチフレーズに戦われました。そのことは区民感覚から離れている大田区役所にとって誠に結構なことだと思います。しかし、長い間の議員生活は、実はご本人も知らぬうちに、民間の感覚から乖離し、お役人のそれに近づいていく危険性をはらんでいるのです。この区庁舎の10階の住民も、5階の住民も、常に庁舎の外の空気を忘れてはなりません。
 
 そして、決算特別委員会で指摘された様々な事項を真摯に受け止め、来年度予算策定にあたられますよう強く要望し賛成討論といたします。


(訂正)
清水経営管理部長のタイ視察については、現在どなたが行くか未定です。




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