情報洪水の中に身を置く現代人は、居酒屋での飲み放題ならぬ、インプットやりたい放題の状況です。しかしながら、情報過多は劣化している情報も多いので気を付けなければなりません。しかし、これからのAIの進展において、まさにアウトプットをいかにするか、それも上質のものを出来るかが肝要になってきます。よって、
「考えていることを言語化できなければ、考えていないも同じ。」
「頭の中で言語化した思考も、言葉にして伝えなければ、考えていないも同じ。」
なのは明明白白。思考を言語化するには、
①思考を深める~削ぎ落としてシンプルにする
②語彙のストックを充実する~語彙力を向上させる
③伝わりやすいパターンを利用する
が大切であると述べています。ノウハウそのものは本書に譲りますが、この本で一番感銘したのは、「思考の言語化がうまい人とは、『稟(ひん)』が大きい人」という点。古代中国では、天から降ってくる情報を受け止めるための、心の中にある器を『稟(ひん)』と呼び、それを大きくするために学びがあるとしています。語彙だけでなく、先人の様々な考えをストックする器をどれだけ大きくするか、そして、それを基に発信する力こそが生まれてきたすべての人に試されているのですね。
『頭の中を「言葉」にしてうまく伝える。』(山口謠司著、ワニブックス、本体価格1,400円)