一向宗との闘いに勝利し、三河を平定した松平家康は徳川姓へ変更し、遠江へ進撃を開始。本多平八郎の旗指になった植田茂兵衛は遠江曳馬(ひきま)城攻撃に従軍。女城主田鶴姫主従は奮戦するも落城。城内を検分すると、小屋に隠れていた、薙刀を持つ若い女・綾女を捕獲し、足軽小屋に匿っていたが、逃亡します。茂兵衛は綾女に惚れてしまいます。
駿河に進軍中の甲斐武田信玄を睨みながら、徳川軍は城主朝比奈泰朝の掛川城攻略に繰り出します。城側の士気が高く、膠着状態が続くも、茂兵衛の提案の、城主を火縄銃で狙撃する作戦が功を奏し、開城へ導くも、その作戦執行中に背後から茂兵衛も銃で撃たれ、回復までにはかなりの時間を要しました。闘病中に綾女に再度会い、茂兵衛の心は揺れ動きます。
次は、朝井・朝倉軍と織田・徳川軍の姉川の戦い。姉川を挟んで、1万人の朝倉軍に対峙する徳川軍は6千人。苦戦を強いられるも、本多平八郎の奮戦で勝利を勝ち取ります。城将狙撃の恩賞も含めて、徒侍となり、足軽小頭になった茂兵衛は、彼を撃った張本人との確執でさらなる出世の道を歩むことになります。また、綾女とのロマンスはいかに・・・。
『三河雑兵心得 2 旗指足軽仁義』(井原忠政著、双葉文庫、本体価格630円、税込693円)