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風に恋う

2024-05-28 17:11:48 | 

 全日本吹奏楽コンクールで金賞を受賞した千間学院高校の吹奏楽部を取り上げたテレビドキュメントを観て、吹奏楽を始めた茶園基は中学時代に全日本吹奏楽コンクールに進めなかったのを機に吹奏楽をやめる決心をしていました。千間学院高校に入学したのも関わらず。入学後、そのテレビで部長だった不破瑛太郎が吹奏楽部のコーチに就任したのを知り、基は彼からの誘いもあり、吹奏楽部の一員となります。

 瑛太郎は全日本吹奏楽コンクールへ再び導くために、現在の吹奏楽部にカンフル剤を注入することも加味し、1年生の基を部長に抜擢します。男子校だった当時とは違い、共学になり、しかも大学進学校へ軸足を移した学校になったため、練習の時間の確保もままならない状況下、瑛太郎は「勉強も部活も、自分の納得いくように頑張って、他の誰かじゃなく、自分のためにな」と部員に声をかけます。それは瑛太郎自身が吹奏楽に没頭したから。

 部員間の疑心暗鬼もありながらの吹奏楽部の快進撃のドラマは本書に譲り、音楽を追求した基は「大事なものを大事にし続けるには努力しないといけない」という青春ならではの思いを胸にサックスを吹きます。

『風に恋う』(額賀澪著、文春文庫、本体価格810円、税込価格891円)

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