5/27に旭酒造さんの蔵見学をしてきました。今年10月27日に開催される、兵庫県中小企業家同友会の第28回全兵庫経営研究集会の基調講演を、旭酒造・桜井博志社長にお願いするため、基調講演担当者を指名されている私は一度実際に見させていただきたい思いで訪問しました。
山口県岩国市と聞けば、錦帯橋、岩国基地を擁する14.4万の人口の街。市町村合併で、山間部にもエリアを深く広げ、旭酒造のある周東町は山の地。川沿いのわずかな平坦地に蔵は垂直に建っていました。
「徹底的に『美味しい酒』を造ろう」
ということのみを考え、地域の地酒メーカーから純米大吟醸のみを製造する蔵へ変貌しました。
「勇気を持って、『普通』を捨てることを決断」
し、「目の前にある常識をすべて疑い」、「自分たちの信じる酒を世に問う」ことで倒産の危機のどん底から、世界に市場開拓をするまでになりました。『美味しい酒』の製造のために、人手でなければ出来ない工程は人の力を十二分にかけ、酒造りの常識である杜氏の存在を捨て、社員による製造に切り替え、蔵内温度を常時5度にすることにより四季醸造を可能にしてきました。
そして、日本酒業界全体に対して、「いろいろな蔵元が独自に戦いながら血と汗を流して、その結果、なんとなくいつのまにか、乗り越える何かができ上がっていく」という信念を綴られています。
どんな時も常識を疑う姿勢を堅持していくこと、そして、独自色を積み重ね、変わるべきところを変えることは、長期に渡る下降局面を歩む、われわれの出版・書店業界でも必要不可欠ですね。
『逆境経営 山奥の地酒「獺祭」を世界に届ける逆転発想法』(桜井博志著、ダイヤモンド社、本体価格1,500円)