地方創生が叫ばれていますが、地に足着いたことをやっていかなければ失敗に終わってしまいます。そこには「志」「本気の熱意」の存在が不可欠でしょう。
新潟県南魚沼市にある大沢山温泉の温泉旅館が売りに出ているという電話が雑誌『自遊人』の編集部にかかってきました。東京・日本橋から南魚沼に移転して9年目の著者・岩佐氏は「GO」サインを出します。雪害と経年による痛みから改修費が1億円と見積もられた古民家。全面リノベーションを施すと、投資額の3億5千万円が圧し掛かり、銀行には開業後3か月で倒産すると予言されました。
しかし、日本でも有数の絶景露天風呂と、唯一ここでしか食べることが出来ない「自然派日本料理」、ここでしか味わえない地元野菜がメインの食事、共感を呼ぶ客室を創り上げ、オープン3か月で客室稼働率92%を記録しました。宿の名は『里山十帖』、里山での10の物語という意味。
デザイン的思考が成功の糸口とされていますが、私が考えるには
編集力
のなせる業と思います。来られるお客様が求められるのは『心の湯治』として、そこに共感してもらえるお客さんをターゲットにしていく。これは「旅館というモノではなく、お越しになるヒト」にフォーカスした勝利でしょう。それを自力で築き上げたことが素晴らしい!数字ではなく感性を研ぎ澄ませることが大切ですね。
『里山を創生する「デザイン的思考」』(岩佐十良著、KADOKAWA、本体価格1,300円 )